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第77話 付喪神のつぶやき②
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おやおやおや。
なかなかに……男としての気持ちがあったのじゃなあ?
式神を通じ、祭りの並木道をあちこち覗いておったのじゃが。あちきは途中で桜乃と段蔵を見つけ、ルーブルの屋台に式神を移動させたのだ。
そこで、樹と張り合っておる駿を見つけたのじゃ。桜乃の似顔絵を書いておった駿じゃが……まだ幼子であるのに、一人前に恋をしている目をしておった。
常日頃、桜乃を気にかけておったが……まさかのお?
桜乃に恋をしておったか、なかなかに男じゃった。桜乃が来た時には、えらく複雑そうな表情をしていたから、それが決め手ではあった。初恋……と今でも言うのであろうな。
樹もじゃが、段蔵も聡いから気づいておろう。式神を移動させると彼奴らは苦笑いしておったわ。
『ほほほ。愛い……愛いのお?』
桜乃はあの様子だと全く気づいておらんじゃろうが……あちきへの思いとは、また別の気持ちはまだ育んではおらんのが現実。
恋、と呼べるものはまだあまりないじゃろう。あちきへの思いも、大事にしていた玩具などをもう失いたくないがための願望に似たことかもしれんが。
真剣に考えてくれておる。その気持ちも無駄にはしたくない。
であれば……もし、将来の伴侶となり得る可能性がある、駿への対処。あちきも、あちきなりに手助けをしようではないか。
式神を駿に近づかせ、あちきは言葉を紡ぐことにした。
駿へ、桜乃への贈り物にそのチョコパンを渡すのじゃと。
『駿……駿よ。返事をせずとも良い。あちきが力添えをしようぞ』
さてさて、素直に動くか。駿よ。
己の心に正直になり、桜乃に少しでも心を近づかせるのじゃよ。
なかなかに……男としての気持ちがあったのじゃなあ?
式神を通じ、祭りの並木道をあちこち覗いておったのじゃが。あちきは途中で桜乃と段蔵を見つけ、ルーブルの屋台に式神を移動させたのだ。
そこで、樹と張り合っておる駿を見つけたのじゃ。桜乃の似顔絵を書いておった駿じゃが……まだ幼子であるのに、一人前に恋をしている目をしておった。
常日頃、桜乃を気にかけておったが……まさかのお?
桜乃に恋をしておったか、なかなかに男じゃった。桜乃が来た時には、えらく複雑そうな表情をしていたから、それが決め手ではあった。初恋……と今でも言うのであろうな。
樹もじゃが、段蔵も聡いから気づいておろう。式神を移動させると彼奴らは苦笑いしておったわ。
『ほほほ。愛い……愛いのお?』
桜乃はあの様子だと全く気づいておらんじゃろうが……あちきへの思いとは、また別の気持ちはまだ育んではおらんのが現実。
恋、と呼べるものはまだあまりないじゃろう。あちきへの思いも、大事にしていた玩具などをもう失いたくないがための願望に似たことかもしれんが。
真剣に考えてくれておる。その気持ちも無駄にはしたくない。
であれば……もし、将来の伴侶となり得る可能性がある、駿への対処。あちきも、あちきなりに手助けをしようではないか。
式神を駿に近づかせ、あちきは言葉を紡ぐことにした。
駿へ、桜乃への贈り物にそのチョコパンを渡すのじゃと。
『駿……駿よ。返事をせずとも良い。あちきが力添えをしようぞ』
さてさて、素直に動くか。駿よ。
己の心に正直になり、桜乃に少しでも心を近づかせるのじゃよ。
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