【完結】パンでパンでポン！！〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

第72話 夏祭り開始

　チンチン

　ドンドン

　チンドンドン


　夏休みの宿題と、美濃みのさんとのパン作りを繰り返して……何日か過ぎて。

　待ちに待ってた、『夏祭り』の日になったわ！　あたしはルーブルのお店は手伝わなくていいから、おばあちゃんに浴衣を着せてもらったの！　一緒に回るおじいちゃんはじんべーだけどね？


「さっちゃん、可愛く出来たわよ？」

「ありがとう、おばあちゃん！」


　かみのけもかわいくしてもらえたわ！　鏡でくるっと回ると帯がふわってなるのがかわいい！！　あたしが桜乃さくのだから、白い生地にサクラ柄なんだけどかわいいの！！　まだもう一年は着れるからって、去年とおんなじ浴衣だけどいいの！！　かわいいは大事なんだからね？


「おう。可愛いじゃねぇか？」


　おじいちゃんもじんべーにきがえていたんだけど……なんでメガネじゃなくてサングラスしているんだろう？　ちょっとかっこいいけど、不思議。


「うん！　出来たよ！」

「んじゃ、行くか。ばーちゃん、あと頼んだ」

「はいはい、おじいさんにさっちゃんいってらっしゃい」

「いってきまーす！」


　外から聞こえるお祭りの音の中に、早く行きたい気持ちが大きくなっていくわ。

　屋台はどんなものがあるのかなあ。増えているのか減っているのか。新しいのになっているのか気になるわ。

　おじいちゃんの手をしっかりにぎって、ゲタをはいて外に出れば……うちのお店の前もだけど、道にたっくさん屋台が出ていたの！　お客さんもたっくさん来ていたわ！！


「おー。もうすげぇな？」

「お祭りお祭り！！」


　美濃さんへのおみやげ……どこで買おうかなあ？

　冷めてもおいしいものはおいしいっておじいちゃんが言うから、たこ焼きとか焼きそばもいいかなあ？

　あたしは子どもでちっちゃいから、おじいちゃんとはぐれないようにしっかりにぎって歩くんだけど……上がちょっとしか見えないの。かんばんがあんまり見えないわ！　去年よりはちょっとおっきくなったはずなのに！！


「桜乃、とりあえず腹ごしらえに唐揚げ食うか？」

「！　食べる！！」


　うーんしょって動いていたら、おじいちゃんがこっちとからあげの屋台の前に立たせてくれた。

　ねだんを見たんだけど……おじいちゃんがいなきゃ、おこづかいがすぐに無くなる数字だった！

　だって、500円するんだもん！！

　屋台のお金って……こんなにもしたんだ。あたしのおこづかいだけで、美濃さんへのおみやげをたくさん買うのってむずかしいわ。おとなって、お金をたっくさん持っててすごぉい！

　おじいちゃんが買ってくれた、からあげは出来立てあつあつで……ほふほふしないと食べれなかったわ。おいしいけど……これを美濃さんのおみやげにはむずかしいかなあ？