【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第68話 おじいちゃんからのお知らせ

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「よぉ。今日は何作ってんだ?」


 おじいちゃんが中に入ってきて、そう言ってたんだけど。

 チョコの匂いがすごいから、すぐに『チョコ系か?』って言ったわ。


「今日はチョコのクリームパンなの!」

「ってことは……あれか? 仕上げに顔描くのか?」

『そうじゃ。面白かろう?』

「子どもいるんなら、いいだろうな? っと……忘れてた」


 おじいちゃんがポッケに入れてた、何かを出すと。

 あたしたちに見えるようにしてくれたわ!


「「「お祭り!!」」」


 夏祭りのチラシだったわ!!

 うちのお店も……たしか、去年『出店』って言うの出してたわ。何だったかはおぼえていないけど。


「うちも出店してくれって、今年も言われてな? パンもいいが、暑いんであんま売れそうにねぇしなあ」

「そうなの?」

「クッキーとかもイマイチですもんね? うちは、駿しゅんくんちと共同して焼き鳥ですけど」

「きょーどー?」

「一緒にお店出すの。うちはつくね担当だから」

「つくね!」


 みおちゃんちのとーふつくね大好き!!

 絶対、買いに行くわ!!

 おじいちゃんは首をくりんってしてたけど……おとうさんとお店出すの考えるのかなあ?


「ま。お前さんらは、祭り楽しめ。祭り自体は二週間後だ」

桜乃さくのと駿は宿題じゃのお?』

「「……がんばります」」


 全部じゃないけど……たっくさん終わんないと遊べないんだもん。

 まだ、漢字や算数のドリルあるからがんばらなきゃ!

 お話はここで終わって、チョコで顔をかくとこよ!

 澪ちゃんが『ゆせん』でトロトロにしたチョコを、ちょっと固いビニール袋に入れて。ハサミでちょんと切ったら……美濃みのさんがパンに顔をかいていった。

 どうぶつ?

 うさぎさん?

 可愛い!!


「「「可愛い!!」」」

『ほほ。ここまでとは言わんが、そちらも描いてみりゃれ?』

「「「はーい!」」」


 何をかこうかなあ?

 なんでもいいなら……そうだわ!

 おかあさんたちの顔、かいてみようっと!!

 決めてから、ギュッと袋をにぎったんだけど。


「ひゃっ!?」


 チョコが出てきて……手以外にも、パンもべちゃべちゃになっちゃった!?


「あー。勢いよく握り過ぎだ。服は……ついてないな?」

「……ごめんなさい」

『大丈夫じゃ。初めてゆえに、意気込んでしまったのだろう』

「濡れタオル持ってきます」


 みんなのおかげで、あたしの手はきれいになったけど。

 パンはチョコだらけ。

 これは、あとで食べることになったわ。

 だから、次はギュッとしないように……優しく袋を持ったわ!


(……ゆっくりゆっくり)


 でも、ゆっくりすぎたら……今度はチョコが全然出てこない!?

 むずかしいわ!!
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