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第52話 カレーパン作り②
しおりを挟む「「すごぉーい!!」」
あたしたちががんばって用意した、カレーパンを作るのに大事な材料。
カレーの方が、トロトロだったはずなのに……おじいちゃんが入れた魔法の水のおかげで、プニョプニョになったの!
冷やしたのは、あたしと美濃さんのぱんぱんのおかげだけどね?
『ほほほ。熱いのもいかんが、生地の中に包む時は……このように固くなくてはいかんのじゃ』
「これ……ゼラチンですよね?」
「使ったのは、鶏のゼラチン質だがな? コクもでるし、子どもには好きになる味だ」
おとなのお話はぜーんぜんわかんないわ!
でも、これがカレーパンには大事なんだ?
カレーライスで食べるのには、おいしそうには見えないけど。
『であれば、これから包むぞえ?』
「「「おー!」」」
ここからが本番!!
カレーパンは焼くんじゃなくて、揚げるのはわかっているから……ここをがんばらなくちゃ!!
けど、あたしと駿は生地を少しめん棒でのばすところなんだって。
つまんないって、最初は思ったけど。
「むむむむ!?」
澪ちゃんが。
なんでも出来ると思ってた澪ちゃんが。
おじいちゃんと美濃さんはひょいひょい出来るのに……澪ちゃんは全然ダメだった。何回やってもぐちゃぐちゃに!?
「……むずかしいの?」
「……うん。つくねバーグとか、がんも作るのはいいけど。考えたら、包むのってほとんどしたことないわ」
『良い経験じゃろ? 難しいのはあちきらに任せよ。これを機に、とことん練習するのも良い良い』
「! はい!」
あたしもそうだったわ。
あんドーナツ……全然出来なかった。
おとなとか子どもも関係なく……出来ない人は出来ないけど。
でも、失敗しても……誰もおこらない。おじいちゃんも美濃さんも。
おとうさんとかは……どうかなあ? 作ったパンを持って行くとガッカリしちゃうのよね?
とにかく、出来ることをちゃんと出来るようになろう!
生地をのばすのも……ぶあつくてもうすすぎてもいけないって言われているもん!
「いいぞ、桜乃。だんだん包みやすい生地になってる」
「ほんと!?」
おじいちゃんがほめてくれた!
もっともっと……がんばらなきゃ!!
けど、おじいちゃんがはやくて……あたしとかのちっちゃい手じゃ、すぐにはのばせないけど。でも、あせってもダメ! きれいにしなきゃ!!
『包んだ生地を……今回は水の霧吹きで湿らせたとこに、パン粉をつける』
パン粉をつける前までいくと、流石にお水が欲しいくらいがんばった!!
美濃さんは、人間じゃないから全然大丈夫だったけど。
「あの。卵は使わないんですか?」
澪ちゃんが聞くと、美濃さんはにっこり微笑んだ。
『それでも良いが、手早く……かつ、桜乃らでも簡単に出来る方法じゃな? 軽く湿らせて、パン粉をつけるだけでもカリッと揚がるのじゃ』
「天ぷらでも卵使わずに、氷水ってだけの店もあるしな?」
「「「おお!!」」」
おいしいものに、『ぜったい』って言葉はないんだ!!
霧吹きが簡単で、パン粉もぽんぽんつけて!
天板に並べて……ドウコンに入れて、お片付けをしたら。
おじいちゃんがカレーパンを揚げてくれる前に、美濃さんが冷蔵庫から果物を出してくれた。おっきいから……オレンジ?
『揚がるまでに、絞ったジュースを作ろうぞ? 丁寧に皮などを取り、チョッパーで作るのじゃ』
「「わーい!!」」
「あー。桜乃ちゃん達いるから、ビールはダメですもんね?」
『そうじゃの』
ジュースをたっくさん作りながら、おじいちゃんが油でカレーパンを揚げる音が……ままごとキッチンの中に聞こえてくるわ!!
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