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第43話 ソースと夢語り

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 あたしや駿しゅんは、まだ小学生だから『ケータイ』は持っちゃダメ。

 おとうさんが、タブレットの方は遊ぶ時に使わせてくれるけど。でも、自分のじゃない。

 みおちゃんが見せてくれた写真みたいなのは……どれもおいしそうだった。

 今から、これ作れるんだ!!

 でも……ソースどうしよう?


「……どれがおいしいんだろう?」


 てりやきとか、おーろらソース。

 マヨネーズだけでもおいしいみたい。

 でも、そいぱては……あんまり食べたことがないから、わかんないや。


「んー。今回は豚ひき肉だし……梅じそは微妙かなあ?」

『そうじゃな。酸味が強いゆえ、桜乃さくのらには厳しかろう』

「「うめじそ」」

「梅干し使ったタレだ。ポン酢よりも酸っぱいな?」

「「ヘー」」


 食べてみたいけど、ハンバーガーにはあんまり美味しくないのかな?

 それから、みんなでいっぱい話し合って……決まったソースは。


『てりやきだけじゃ寂しかろう。間にマヨネーズも挟もうぞ?』

「「「わーい」」」


 決まってからは、澪ちゃんも一緒にパンを作ったんだけど。

 おとーふと違うから、生地をはかるのが楽しいんだって。

 慣れたら、美濃みのさんやおじいちゃんのようにテキパキ出来ていた。やっぱり、大人ってすごぉい!!


「動画とかで見るより、段違いに生地が柔らかいですね! うちの豆腐と違って当然ですけど」

「だろ?」

『豆腐は豆腐でまた面白いじゃろ?』

「はい。だから、継ぐ夢は叶えたいんですが」


 澪ちゃんの将来の夢は、おとーふやさんをつぐことだって。あたしがパン屋になりたいのとそっくり!!


「…………僕は、やきゅーせんしゅなりたいけど」


 駿のお家は焼き鳥屋さんだもんね?

 でも、駿の夢はあたしたちとは全然違う。

 駿がなんでかしょんぼりしてると……美濃さんがぽんぽんと頭をなでたわ。


『良い良い。夢があることが良いのじゃ』

「……夢、ですか?」

『たいていの人間の方が、ないんじゃよ。駿はひとつでもちゃんとある。自信を持つのじゃ』

「……はい」


 ちょっとだけ、駿が笑顔になった。

 やっぱり……美濃さんはすごい。あたしたちのほしい言葉をくれるのよね?

 それからパン生地に、あたしの時間短縮クイックをかけて焼いて。

 美濃さんが冷ましてくれてから……焼いたまあるいパンを半分に切るんだけど。


「豆腐よりしっかりしてるから、切りやすい!!」


 澪ちゃんが、おじいちゃんや美濃さんよりも早く切っていくの!

 手はケガしないけど、すごぉい!!

 その次は……ハンバーグ、じゃなくてパテを焼くんだけど。

 あたしと駿も、一個だけ焼いてみようと美濃さんが言ってくれたの!!
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