【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第30話 幼馴染みと作る②

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 じゃがいもをゆでて。

 つぶしたら、ゆでたとーもろこしと一緒に……ツナとマヨネーズ。あと、塩にコショウも入れて混ぜていく!

 混ぜるのは、駿しゅんとあたしじゃダメだったから……美濃みのさんが。重たくて、子どもじゃ無理だったの。


『このようなタネの注意がもうひとつある。何かわかるかえ?』

「「えー?」」


 まだ気をつけなくちゃいけないことがあるの? なんだろう??

 駿と首を横に振ると、美濃さんはにっこり笑ったわ。


『答えは……揚げる前にあたたかな状態ではダメなのじゃ』

「なんで?」

「……ダメですか?」

『それは、一度手本を見せようか?』


 美濃さんが、コロッケの仕上げをやっていく。一個だけ形を作って……粉とかパン粉をつけて。

 ふらいやーに入れる前に、あたしと駿に離れるようにと言ったの。


「どーして?」

『怪我をするぞ?』

「「ケガ??」」

『では、行くぞ』


 美濃さんも油の中に、コロッケを入れると……すぐに離れたわ。


 ジャアアアアアア!!


 バチバチバチ!!



 すっごく大きな音もだけど。

 ふらいやーが大変!!

 どんどん汚れていく!?

 大丈夫なのかな!?


「み、美濃さん!? どーするの!?」

「こ、こわい……!!」

『大丈夫じゃ』


 指をぱちんと鳴らすと……音もだけど、ばちばち飛んでいたのも無くなったわ!

 ふらいやーも元通りキレイ!


「「……こわかった」」


 でも、びっくり以上にこわかったわ。

 昨日、おばあちゃんと作ってた時は……あんな風にはならなかったのに。


『あれはな? タネがあたたかいとあのようになるのじゃ』

「あれなーに?」

『爆発したのじゃ』

「「ばくはつ?」」

『失敗しやすい状態じゃからの。コロッケもじゃが……揚げものはほんに……冷えたものを扱うのが良い。コロッケは特にそうじゃ』

「「はーい」」


 またひとつ……覚えることができたわ!

 お料理って……色々大事なことが多いのね?


「おーい。桜乃さくのいるか?」


 おじいちゃんが帰ってきたわ!


「いるよー!」

「やっぱここか。……駿もいたか」

「おじゃましてます」

「おう。何作ってんだ?」

「コロッケサンド! おじいちゃん、腰だいじょーぶ?」

「ちょっと様子見だが……桜乃のパンがあったから、大丈夫だ」

「えへへ」


 なでなでされるのはうれしい。

 あたしが作ったパンが……おじいちゃんたちの役に立ててうれしいわ!!


『今は、コロッケを揚げる注意を教えておったのじゃ』

「……爆発か?」

「こわかったけど、美濃さんがいたからだいじょーぶ!」

「はい!」

「……ならいいが」


 おじいちゃんも来たから、次はタネをコロッケの形にするところね!
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