【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
22 / 128

第22話 おじいちゃん大丈夫

しおりを挟む
 パン作りって……すごいんだ。

 こんなにも楽しいんだ!

 おとうさんが毎日おかあさんとがんばっているのも、すごい。

 でも……お手伝い以上に楽しいと思うわ!!

 あたしも、いろいろ出来るようになりたい!

 だから……あんこをつつむのも、べちゃべちゃになるけどがんばって。

 出来たら、これをこのまま油であげるんじゃないから。


時間短縮クイック!!」


 だから、魔法をつかうの!

 すると……ちょっとだけぷくーっとふくらんだわ!!


『して。これを揚げるのじゃが』


 美濃みのさんがこっちこっちと、こんろの前に立って。あたしに手を出すように言ってきた。


「……ぱんぱん?」

『そうじゃ。少し魔力を使わせてもらう』

「? 何すんだ?」

『なに。簡単なことじゃよ』


 とりあえず……ぱんぱんと美濃さんと手を叩けば、こんろの隣の……なにもないとこが光って!!

 ピンクでできた……こんろでもオーブンでもない、なんかすごいものが出てきた!? 水みたいなのが入っているけど……ちょっと黄色い?


「……おいおい。フライヤーまで出来んのかよ」

『便利じゃろう?』

「……ふらいやー? なーに?」

「簡単にいやぁ。油鍋。ここで、ドーナツとかカレーパンとか揚げれるんだ」

「! あ! おとうさんもやってた!!」


 思い出したわ。

 おじいちゃんもだけど……おとうさんもたっくさんドーナツあげてた! あれができる場所なのね!!


桜乃さくのにはいきなり厳しかろう。段蔵だんぞう

「はいよ」


 おじいちゃんがすぐにあげてくれるらしいけど……一個、気になったことがあったわ。


「……おじいちゃん、腰大丈夫なの?」


 美濃さんと一緒に、パン作るとき……痛いって言わないのよね?

 聞いてみると、おじいちゃんは首を縦に振ってくれた。


「……痛くねぇな」

『桜乃とのパンが、そちにも効いたのじゃろう』

「かもな」

「……痛いのなくなった?」

いつきさんとこと同じタイミングだったろうな」

『念のため、病院には行きゃれ』

「はいはい」


 あたし……おじいちゃんの痛いとこも、無い無いになったの?

 美濃さんと一緒の、パン作りすっごーい!!

 おとうさんとおかあさんは……無理かなあ。

 ないしょじゃって、美濃さんは言うけど。


『ほれ、桜乃。入るぞ?』


 呼んでもらうと……おじいちゃんがピンクの板を使って、一個ずつあんドーナツを油の中へ入れてた!!

 じゅわああ、って……音と泡がすごーい!!


「すごいすごーい!!」

「あんまはしゃぐなよ? 油飛んで、やけどする」

「はーい」


 とりあえず……おじいちゃんが元気ならいいや。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜

瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。 大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。 そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

待つノ木カフェで心と顔にスマイルを

佐々森りろ
キャラ文芸
 祖父母の経営する喫茶店「待つノ木」  昔からの常連さんが集まる憩いの場所で、孫の松ノ木そよ葉にとっても小さな頃から毎日通う大好きな場所。  叶おばあちゃんはそよ葉にシュガーミルクを淹れてくれる時に「いつも心と顔にスマイルを」と言って、魔法みたいな一混ぜをしてくれる。  すると、自然と嫌なことも吹き飛んで笑顔になれたのだ。物静かで優しいマスターと元気いっぱいのおばあちゃんを慕って「待つノ木」へ来るお客は後を絶たない。  しかし、ある日突然おばあちゃんが倒れてしまって……  マスターであるおじいちゃんは意気消沈。このままでは「待つノ木」は閉店してしまうかもしれない。そう思っていたそよ葉は、お見舞いに行った病室で「待つノ木」の存続を約束してほしいと頼みこまれる。  しかしそれを懇願してきたのは、昏睡状態のおばあちゃんではなく、編みぐるみのウサギだった!!  人見知りなそよ葉が、大切な場所「待つノ木」の存続をかけて、ゆっくりと人との繋がりを築いていく、優しくて笑顔になれる物語。

お好み焼き屋さんのおとなりさん

菱沼あゆ
キャラ文芸
熱々な鉄板の上で、ジュウジュウなお好み焼きには、キンキンのビールでしょうっ! ニートな砂月はお好み焼き屋に通い詰め、癒されていたが。 ある日、驚くようなイケメンと相席に。 それから、毎度、相席になる彼に、ちょっぴり運命を感じるが――。 「それ、運命でもなんでもなかったですね……」 近所のお医者さん、高秀とニートな砂月の運命(?)の恋。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

口づけからはじまるかりそめ夫婦、道中お気をつけて~契約婚のはずが、なぜか夫から本気の求婚をされながら勾玉集めの旅をしています〜

星名 泉花
キャラ文芸
穂乃花は巫女姉妹の七女。八ツ俣(やつまた)を封じるために姉妹全員で人柱となった。 だが穂乃花が暴走したことで封印は失敗した。 時は流れ、穂乃花は八ツ俣封じのために再び目を覚ます……がまさかの口づけをきっかけに起きてしまった! なんだかんだと一悶着があったものの、乙女の唇を奪った深琴と「かりそめ夫婦」となり旅をすることとなる。 姉妹たちに会いに行き、罪滅ぼしのために勾玉を集めていくが、道中「かりそめ夫婦」として深琴に振り回されて……。 やがて八ツ俣退治で起きた裏側を知ることとなり、穂乃花の運命が翻弄されていく。 「狭間の巫女」 それが八人姉妹の七女・穂乃花の宿命でーー。 可憐な乙女が「かりそめ夫婦」として八ツ俣退治に向かって奮闘する和風恋愛ファンタジー🌸 「さぁ、この旅の道中お気をつけてお進み下さい」

Rasanz‼︎ーラザンツー

池代智美
キャラ文芸
才能ある者が地下へ落とされる。 歪つな世界の物語。

ウムイウタが聞こえる

桂花
キャラ文芸
十朱は、優雅に高校生活を送りたい女子高生。  ある日祭祀会社の九曜という男から、祖母の遺産相続の話を持ちかけられる。  会ったこともない祖母の存在に戸惑う十朱だったが、彼に言いくるめられ、祖母の住んでいたという島に渡ることに。 だがそこは、厭魅が跋扈する精霊信仰の不思議な島だった。 十朱は島のユタだった久仁の孫で、来たるヨーカビーという厭魅退治の行事のため呼ばれたのだという。 王朝の末裔グスクの妃三子、その息子壱也から、巫覡である九曜、海七、矢束とともに島を救ってほしいと十朱は頼まれ… 恋と友情のひと夏の和風幻想譚!

処理中です...