【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第20話 スキル活用

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『ほほほ。桜乃さくのはやる気にみちておるのお?』

「うん!」


 蔵に行けば、美濃みのさんはお茶を飲んでいたわ。あたしとおじいちゃんが来ると片付けてくれて……すぐに、昨日と同じままごとキッチンを出してくれた。

 それにさわって、あたしはすぐにキッチンをちゅーぼーにしたわ!!


「んで? 今日は何作るんだ?」


 おじいちゃんが美濃さんに聞くと、美濃さんは『うむ』と笑顔になったわ。


時間短縮クイックを活かし、かつ桜乃らのおやつのためならば……ドーナツかマフィンはどうじゃ?』

「……悪くねぇな?」

「……ドーナツって、パン?」

「桜乃、あんドーナツとか店にあんだろ?」

「あった!」


 あんぱんも好きだけど、サクサクふわーで、あんこたくさんのあれも大好き!!

 あのパンがつくれるの!?


『あんドーナツも良いのお? それにするか?』

「……つめるのは、桜乃だと大変だぜ?」

『はさむ方でよかろう?』

「んで、揚げは俺か」

『その方が良い』


 で、もう一回手を洗ってから……今日も生地をこねこねしたわ。ぐちゃぐちゃになるけど……楽しい!!

 一個の丸になったら、昨日と違うのは。


「美濃さん、くいっくってどーするの?」


 こう言うとこで使うって、昨日言ってたけど……どうすればいいのかはわかんない。


『桜乃。時間短縮クイックと言ってみるのじゃ。はっきりと』

「うん。……時間短縮クイック!」


 ちゃんと言うと……あたしの前でぽんと音がして。ステータスじゃなけど、細長い棒のようなのが出てきた。

 数字とか▷とか色々書いてあるわ。これなーに?


『今からあちきが言うように、その数字などを動かすのじゃ』

「うん」


 ちょっとさわるとすぐに数字とかが縦に動いたわ。

 美濃さんに教えてもらいながら……くるくる動かして。最後に、『決定』ってボタンを押したら!!


(わぁ!!)


 棒がブワーって消えて、ボウルの生地がぷくぷく大きくなっていくわ!!

 どんどんどんどん大きくなって……こぼれそうになるとこで止まった。


「……成功だなあ?」

『うむうむ、順調じゃ。桜乃、次はガス抜きの方法じゃよ』

「はーい」


 薄ーい板を使って。ぽん、ぽんとたたんでいくのが楽しい!! もう一回、時間短縮クイックを使って……もっと大きくなったら『はっこー』はおわり。

 昨日より、早いわ!!


「んじゃ、分割ぶんかつだな?」


 おじいちゃんが、重いからと台の上に生地を出してくれて。

 大きさは昨日と違うけど……また生地を切っていって。

 丸くするのは、あたしはまだまだ練習が大事だけど。

 気持ちはがんばっていると思うの!

 たっくさん練習よ!!
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