【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第18話 次にできること

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『……良い。上手く考えずとも良い。桜乃さくのはそれで良いのじゃ』


 なでなでしてもらってたからか、あたしは『そっか』と思うことにした。

 むずかしいことはわかんないままだけど……美濃みのさんはちゃんといるし、あたしとおじいちゃんとパンが作れた。

 今は……それでいいんだ。

 だから、うんって首を縦にふったわ。


「っかし、いきなり回復薬代わりかよ? すげぇな」

『そちも出来てたではないか?』

「桜乃みてーに、すぐじゃなかっただろ?」


 おじいちゃんがびっくりしてるから……あたしが作ったパンはすごいみたい?

 じゃあ……レベルとか上がったから、もっとすごいのかなあ?

 いつきおじいちゃんを見たときのように、今度はあたしの手をじーっと見てみると。



水城みずき桜乃[七歳]


 ・『ままごとキッチン』契約けいやく


 ・付喪神つくもがみ、美濃のあるじ


 ・技能スキル……時間短縮クイックレベル1


 →次回レベルアップまで、あと500ポイント



 】



 って、多分……またステータスって言うのが見えたわ。

 むずかしい言葉が多いけど……おじいちゃんに聞こうと、いつきおじいちゃんたちとお話してたおじいちゃんの服を引っ張った。


「どした?」

「うん。多分……あたしの、ステータス見れたと思うの」

「ほーぉ?」

「僕も見えるかな?」

「私も見たいわ」


 いよ子おばあちゃんたちもぎゅーぎゅーになりながら、こっちに来たけど。見えたのはおじいちゃんだけだった。


「あ? クイック?」


 おじいちゃんは下の方にあった部分がわかんないみたい。


『ほっほ。文字通り……時間を縮めたりする力じゃ』

「……俺ん時なかったぞ?」

『あの頃は、あちきも付喪神として日が浅かったのじゃよ』

「……そーか」

「え? なになに?」


 時間をちぢめるって……どーゆーこと?

 わかんないから、学校のときみたいに『はい!』って手を上げたら。樹おじいちゃんがうんうん言ってくれたわ。


「桜乃ちゃん。パンを作るのには『発酵はっこう』と言う……パンが大きくなる力が必要なんだよ」

「……美濃さんも言ってた」

「うん。何回か生地が大きくなったんじゃないかな? 覚えてない?」


 思い出したわ!!

 美濃さんとハイタッチしたあと……ぷくーって大きくなったの!!

 うんうんすると、美濃さんがくすくす笑ってくれた。


『あの時は、桜乃の魔力を借りたが……あれをせずとも、自分で出来るようになるのじゃ。ままごとキッチンの中だけじゃが』

「すごーい!」


 ってことは……あたしも魔法が使えるってことなの!?

 すっごいすっごい!! うれしいわ!!

 がんばらなくちゃ!!
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