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第17話 治すパン?②
しおりを挟む「……美濃さん。お久しぶりです」
樹おじいちゃんは、美濃さんの前にしゃがんで……手をにぎったわ。あと、ちょっと泣いちゃってる。
『ほっほ。樹は相も変わらず泣き虫じゃのお?』
「……すみません」
「……お久しぶりです、美濃さん」
『いよ子ものお?』
ほんとだ、いよ子おばあちゃんもちょっと泣いちゃっているわ。
「……んで? 桜乃のパン、樹さんに食わせりゃこうなるのをわかってたのか?」
おじいちゃんは、ブスーってしてたのよね? なんで?
『ほほほ。まあ、少し賭けじゃった。桜乃は飲み込みの早い幼子じゃ。樹のところへ行くとは思わなんだが……見事、役目を果たした』
「……いいこと?」
『そうじゃ。他の人間よりも、弱った者を助けるパンじゃ。毎回ではないがな?』
「うーん?」
むずかしい言葉ばっかりで、よくわかんない。
でも、樹おじいちゃんは元気になれたんだよね?
樹おじいちゃんたちは、泣きやんでから何回も首を縦に振ったけど。
「ええ……ええ。明日診察を受けますが、おそらく……医者にはかなり驚かれるでしょう」
「ふふ。美濃さんの『ままごとキッチン』で作ったパンでしたら……魔法のパンだものね? さっきのもびっくりして、不思議じゃないわ」
「樹おじいちゃんたちは、なんで美濃さんのこと知ってるの?」
喜んでくれてるけど、あたしはわかんないことを聞いてみたわ。だって、おじいちゃんの先生は知ってるけど……樹おじいちゃんたちがなんで知っているのかはわかんないもん。
おじいちゃんたちは、すぐにふふって笑ってくれた。
「まだ、段蔵くんが桜乃ちゃんくらいだったかしら?」
「蔵で騒がしくしてのに気づいてね? のぞいたら……美濃さんにキツく怒られながら、パンを作っていたんだよ」
「……見つかったから、時々……樹さんらもパン食ったりしてたんだ」
「うーん?」
だったら、樹おじいちゃん……もっと元気じゃないの?
あたしが会うようになってからも……おじいちゃん、ずっとベッドだったし。
『桜乃の疑問も最もじゃ。あちきの顕現への効力……まあ、力がちょっと足りんかったのじゃ』
「え?」
「……じーちゃんが、美濃から離れなきゃいかんくなってな? 学校とか忙しくなり過ぎて……まあ、他にも色々あった。美濃がこの姿でいる力を送れなかったんだ」
むずかしい言葉だけど……美濃さんは、あのままごとキッチンから出てこられなくなったの?
あたしが保育園のときは、遊んでてもなーんにもなかったのに?
わかんないでいると、美濃さんはあたしの頭をなでなでしてくれた。
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