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第14話 幼なじみ②

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 もくもく、もくもく。


 ちょっと行くと、けむりがすごい。

 でも、火事とかじゃないわ。焼き鳥屋さんだからしょーがない。

 おじいちゃんが車を止めると、もくもくがすっごい!

 外に出るといい匂いはしたけど!!


「あれ? さっちゃん」


 あたしが車から出ると、ちょっとばっちぃ服を着た男の子がいたわ。ここに住んでいる幼なじみの駿しゅんよ!!


「ヤッホー! 野球おわった?」

「うん、そうだけど」


 駿は子ども野球のエースなのよね? おやすみの日でも、がんばって練習しているんだって。

 だったら、おなかぺこぺこよね?


「駿! いいもの持ってきたの!!」

「? いいもの?」

「パン持ってきたの!!」

「! パン!!」


 駿はうちのお店のパン、大好きだもんね?

 ただ……今日はおとうさんのパンじゃないけど。


「駿。今日のパンは桜乃さくのがほとんど作ったもんだぜ?」


 おじいちゃんが出てくると、駿は『え?』って言ったわ。


「……さっちゃんが?」

「安心しな。俺が教えたし、豆腐屋のみおちゃんも美味いって言ってくれた」

「……だんぞーじいちゃんが言うなら」

「んもぉ!」


 たしかに!

 あたしは今日が初めてだけど!!

 そこまで心配するの!?

 わかんなくもないけど!!

 おじいちゃんがケースを持ってくると、中身を見た駿はすぐにお家の中入っちゃったわ。


「手洗い大事」


 って、すぐにもどってきたわ。駿、野球から帰ってきたばっかりだからばっちぃもんね?

 で、取ったのは卵のだった。

 男の子だから、あーんって大きくお口を開けて。


「!?」


 澪ちゃんより、わかりやすく『おいしい』が顔に出た。

 もぐもぐごっくんしたら、またぱくぱく食べて……すぐに、ぺろりと食べ終わっちゃった。


「……どう?」

「おいしい!!」


 あたしが聞くと、すぐに返事をくれたわ。やった!!


「たっくさんあっから、お父さんらにも持っていきな?」

「いいの!? とーさん、かーさん!!」


 って、またおうちに入っていき……今度はおばさんと一緒にもどってきた。おばさんはぺこぺこしてたけど。


「まあまあ、段蔵だんぞうさん。いつもパンをありがとうございます」

「いや。今日のは桜乃が作ったんだ」

「さっちゃんが?」

「かーさん、さっちゃんのパン。すっごくおいしー!!」

「そうなの?」

世辞せじ抜きに子どもの素直な感想だ。たくさんあるし、遠慮なく持ってってくれ」

「……まあ。本当に美味しそう」


 おじさんはちゅーもんで大変だから、おばさんがトレーを持ってきて……たくさんパンを持ってってくれたわ。

 あとは、もうひとつくらいかしら?

 長生きおばあちゃんのところに行こう!!
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