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第一章
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「水無月祭のエントリー?」
「うん。」
「君が出たら面白そうだからね。」
「いいでしょ。」
お昼休みにSクラスの数人が僕の机に集まり、一枚の紙を見せる。
水無月祭――この学校に年一回行われるトーナメント。
あと、もう一つ神無月祭と言うのもあって、水無月祭は各学年による個人戦、神無月祭は全学年によるタッグ戦となる。
そして、水無月祭はSクラスだと全員参加だが、他A,Bクラスは推薦が必要で、生徒十名以上の署名と、先生の署名が二人以上必要になる。
水無月祭で上位三名が神無月祭の出場権を獲得する。
さらに、水無月祭でA、Bクラスの人が優勝すればSクラスに昇格する。
「いや、僕はいいや。」
「えー、何で?」
「そうです、貴方のような方が出るべきです。」
「そうだよ、リベンジだっ!」
「……。」
みんなの言葉に僕は苦笑する事しか出来なかった。
「僕はあくまでサポーターだから。」
「自分の実力を知るべきだ。」
「そうだ、そうだ。」
「……。」
僕はどうすれば皆が諦めるか考える。
「分かった、だったら、一般生徒二十人の署名と先生の署名がもらえたら、僕の名前を書くよ。」
僕はこういえばきっと諦めてくれると本気で思っていた。
思っていたのに……。
「よっしゃ、言質取ったぞ。」
「二十名か、何とかなるか?」
「なるなる、空野の事だから五十人とかいうかと思って先輩とかにもサインもらっているし。」
「仕事早っ!」
「だろ、褒めろよ。」
「えっ?」
まさかの展開に僕は唖然となった。
「本当に?」
「残念ね。」
「後は先生かー。」
「扇先生の所に行ってくるわ。」
「んじゃ、剣先生の所にするか。」
「何なら玉木先生の分も貰う?」
「いいね、それ。」
「レッツゴーっ!」
散り散りに動き出す周りに僕はただただそれを見ている事しか出来なかった。
「えっ、ちょっと、待って、本当に、何で?」
僕の言葉に答えてくれる人はおらず、十分後には生徒五十名の署名と先生六名の署名がされた紙が目の前に広げられ、僕は水無月祭に出場する事になってしまった。
本当にどうしてこうなってしまったんだっ!
「うん。」
「君が出たら面白そうだからね。」
「いいでしょ。」
お昼休みにSクラスの数人が僕の机に集まり、一枚の紙を見せる。
水無月祭――この学校に年一回行われるトーナメント。
あと、もう一つ神無月祭と言うのもあって、水無月祭は各学年による個人戦、神無月祭は全学年によるタッグ戦となる。
そして、水無月祭はSクラスだと全員参加だが、他A,Bクラスは推薦が必要で、生徒十名以上の署名と、先生の署名が二人以上必要になる。
水無月祭で上位三名が神無月祭の出場権を獲得する。
さらに、水無月祭でA、Bクラスの人が優勝すればSクラスに昇格する。
「いや、僕はいいや。」
「えー、何で?」
「そうです、貴方のような方が出るべきです。」
「そうだよ、リベンジだっ!」
「……。」
みんなの言葉に僕は苦笑する事しか出来なかった。
「僕はあくまでサポーターだから。」
「自分の実力を知るべきだ。」
「そうだ、そうだ。」
「……。」
僕はどうすれば皆が諦めるか考える。
「分かった、だったら、一般生徒二十人の署名と先生の署名がもらえたら、僕の名前を書くよ。」
僕はこういえばきっと諦めてくれると本気で思っていた。
思っていたのに……。
「よっしゃ、言質取ったぞ。」
「二十名か、何とかなるか?」
「なるなる、空野の事だから五十人とかいうかと思って先輩とかにもサインもらっているし。」
「仕事早っ!」
「だろ、褒めろよ。」
「えっ?」
まさかの展開に僕は唖然となった。
「本当に?」
「残念ね。」
「後は先生かー。」
「扇先生の所に行ってくるわ。」
「んじゃ、剣先生の所にするか。」
「何なら玉木先生の分も貰う?」
「いいね、それ。」
「レッツゴーっ!」
散り散りに動き出す周りに僕はただただそれを見ている事しか出来なかった。
「えっ、ちょっと、待って、本当に、何で?」
僕の言葉に答えてくれる人はおらず、十分後には生徒五十名の署名と先生六名の署名がされた紙が目の前に広げられ、僕は水無月祭に出場する事になってしまった。
本当にどうしてこうなってしまったんだっ!
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