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第一章

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「てめぇ、何で解毒剤を外に置いてやがったんだよ。」
「まあまあ。」

 唸る群青くんは涼宮くんが宥める。

「いや、群青くんの言うとおりだよ、普通にしてたら三時間で抜けるとはいえ、解毒剤は持つべきだった、うーん、かといって、今回の持ち込み僕は三つという縛りがあったし…。」
「解毒剤は持ち込み数には普通入れねぇだろう。」
「でも、解毒剤を持ち込みに入れないと、敵の毒を解毒するよね。」
「……。」
「確かに…。」

 僕の言葉に二人は苦い顔をする。

「それに、毒と薬は表裏一体だからね、薬だと言っても、適量以上を使えば毒にもなるし、本当に扱いは難しいよね。」
「はぁ。」
「そろそろ、効いてきたんじゃないかな?」

 解毒の効果を待っていた二人に僕は声をかける。

「お、動く。」
「……。」

 肩を回したりして涼宮くんは自分を確認する。

 一方、群青くんは僕を一睨みして、そして――。

「危ないな。」

 いきなり殴りかかってきた彼に僕は左手で受ける。

「ちっ。」

 舌打ちをして興味をなくしたように群青くんは外に出る。

「何だったんだあれ?」
「さあ?」
「それにしても、空野はすげーな、あんなところから狙撃するなんてさ。」
「そんな事ないよ、もう少し離れていても大丈夫だし、今回は障害もなかったし。」
「マジか。」
「ただ、御神くんがあの時しゃがんでくれて本当によかったよ、ありがとう、御神くん。」
「……お前、あの時言っただろう?」
「えっ?」
「お前、あんな遠くの事を拾ったのか?」
「……。」

 僕はあの時を思い出すが、確かあの時は声を出さなかったはずだ。

 涼宮くんはただ距離的に離れているのを知っているからギョッとしているけど、うん、確かあの時は声を出していない。

「御神くん、僕、あの時、声には出していないよ?」
「……。」
「マジ?」
「うん。」

 涼宮くんと僕はジッとひょうちゃんを見る。

 ひょうちゃんは何を考えているのか分からない顔で、僕を見て、そして、気がそれたのか、僕から目を離す。

「何だったんだ?」
「さあ?」

 本当にひょうちゃんは何がしたいのか。

 今のひょうちゃんの考えは全く分からない。
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