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第一章

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 僕はすぐさまひょうちゃんを追いかけたが、相手の方が上手だった。

 ひょうちゃんは能力を主体として戦うスタイルだ。

 だから、普通に戦えば、ひょうちゃんの方が能力的には上だけど、それは彼の有利な条件にある時だった。

 しかも、大半がひょうちゃんに有利な為誰も気づかないが、不利な条件があった。

 それが、今回突かれた。

 一つは狭い所の戦いが苦手な事。

 もう一つは体術が少し不得手なところ。

 今回はその二つを突かれた。

「……僕が一緒になって狭い所に行ってもいいけど、ただ、そうなると、ひょうちゃんが苛立って、ビルを壊すよな。」

 そしたら、僕たちの負けだ。

 幸いにも、僕の今回持ち込んだ武器は銃だった。

 少しの時間さえあれば狙撃も可能、だったら、僕は――。

 ひょうちゃんが消えたビルの隙間が見える場所は、あそこ。

 僕は一つのビルの外階段に向かって走る。

 三階くらいの位置から確認をすれば、ばっちりだった。

 銃を素早く組み立て、それを構える。

 今回持ち込んだのは銃とその付属セット、それに予備の弾。

 無駄は出来ない。

 一発目で一人仕留め、最後の銃弾で仕留める。

「………………。」

 ひょうちゃんが苦戦する姿は胸が痛んだ、だけど、あそこに行けばひょうちゃんの邪魔になるのだと自分に言い聞かせて、機会をうかがう。

 そして、その瞬間が来た。

 しかし、ひょうちゃんがいるため、引き金が引けない、僕は無意識に祈っていた、ひょうちゃん伏せて、と。
まるで、僕の考えを読み取ってくれたのか、ひょうちゃんがしゃがみ込んでくれた。

 行ける。

 僕は乾いた唇をなめ、そして、引き金を引く。

 群青くんは気づいたが、幸いにも涼宮くんがそれを理解することなく、銃弾が彼に命中する。

 まずは、一人目。

 僕はすぐさま銃弾を放つ。

 群青くんはそれをよける。

 予想はしていたけど、ここまで避けるとは思っていないかった。

 僕が一人だったらきっと弾切れで、終了していただろう。

 だけど、僕は一人じゃない、群青くんの近くには負けず嫌いのひょうちゃんがいるのだから。

 案の定、ひょうちゃんが群青くんの足元を狙っている。

 僕は安心して銃弾を無駄にする。

 後、弾が二つ。

 ひょうちゃんの氷が発動して、群青くんの足を止める。

 それだけで十分だった。

 僕は群青くんの胸に向かって銃弾を放つ。

 銃弾が命中したのを最後まで見届けた僕は銃をくるりと回す。

『「C」戦闘続行不可と判断し、「A」VS「C」勝者、「A」』

 先生の声がして、戦闘は終了。

 ……さて、どうするか。

 ひょうちゃんの苦手分野がさらされてしまった、だけど、それをうまくつけるのはきっと群青くんと涼宮くんだからだ。

 彼らは肉弾戦を得意とする。

 だから、あそこまでひょうちゃんを負い込めたけど、多分普通の人じゃ難しいだろう。

 やれるとしても、ひょうちゃんの動きを制限する事だけど、それはセットの問題だけで、今後ひょうちゃんが誘導される可能性は低い……はずだ。

 言い切れないな、彼は頭に血が上ってしまったら、敵の挑発に乗ってしまうだろう。

 さて、本当にどうしよ。

「おい、クソっ!さっさと解毒剤をよこせっ!」

 ビルの隙間から這い出る群青くんに僕は感嘆の声を上げた。

 すごいな、象でも一分は動けない麻痺の効果のある銃弾だったのに、彼は三分もしないうちに動けている。

 普通の人なら三時間くらいは指一本動けないはずなのに、凄いな。

 っと、群青くんはいいけど、涼宮くんには解毒しないと、申し訳ないな、僕は階段を降り、慌てて外に出て解毒剤を取りに行った。
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