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第一章
40 『先生サイド』
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「……はぁ、無事に終わりましたね。」
「無事か?」
「無事なのか?」
玉木の言葉に二人は表情を曇らせる。
「違いますか?怪我人も少なかったですし。」
「……そっちはそうだな。」
「あ~。」
「何ですか、その反応は。」
「おめぇーさ、異常な奴一組おったのに、その反応って逆にすげーな。」
「ああ、御神、空野ペアの事ですか、まさか、空野くん一人で倒すとは思ってもみませんでしたが、偶然でしょ?」
「百回戦って百回あいつらが勝っても偶然と言えればな。」
「扇、それは偶然とは言えないぞ。」
「だって、マジそうだろう。」
「……。」
「何を言っているんですか、二人は。」
「どーすっかな。」
「どうするか。」
玉木を無視する二人にとうとう彼は切れる。
「いい加減にしてください。」
「だってな。」
「ははは。」
切れる玉木に扇は肩を竦め、剣は苦笑いを浮かべる。
「さて、本題に入ろうか。」
「やっぱり、あの組は異常だな。」
「そうだね、彼らだけ条件を付けたいけど。」
「拘束具を両手両足に着けても無駄だと思うぞ?」
「だろうね。」
「何を言っているんですか、生徒ですよ。」
「あー、お前は黙ってろ、面倒だから。」
「何を言っているんですかっ!」
「うーん。今回は悪いけど、玉木黙っててくれないか?君に気を遣う気力はもうないんだ。」
「剣までっ!」
一人のの字を書きだす玉木を無視して二人は会話を続ける。
「武器の制限をしても、きっと無駄だよな。」
「ああ、ダメだ、素手であれだぞ。」
「だよな。」
「いっその事空野だけで戦わせるか?」
「いいのか?」
「冗談だ、つーか、今回御神が戦わなかったお陰でけが人は軽傷ですんだけど、あいつが戦うと下手をすれば死人だぞ。」
「だろうな。」
「それに、壊すことに躊躇なかったしな。」
「ああ、まさかすぐに空野の手持ちを二つ壊すなんてな。」
「ああ、空野も分かっていたはずなのによくやるわ。」
「ああ、一個でも相当な痛手のはずなのな。」
「……。」
剣の言葉に扇はジッと彼を見る。
「何だ?」
「ん、お前の真意を読み取ろうとしただけだ。」
「何だ、それ。」
「お前の痛手ってどいう言う意味だ?」
「あれは高いだろう?金銭面的な意味だ。」
「そっちな、まあ、あいつの伝手なら大丈夫だろう。」
「空野って一般の出じゃ。」
「へいへい、そこは個人情報なのでストップな。」
「……扇、お前どこまで何を知っているんだ。」
「さあな。」
「まあ、いい、それで、今後どうする。」
「あー、もういっその事、空野の好きに動かそうぜ、あいつには条件として相手に必要以上な攻撃をした場合失格と言っておけばどうにか動くだろう。」
「いいのか?」
「ああ、むしろあいつが勝手に調整しそうだしな。」
「そうか。」
「ああ、今日だって何も知らねぇのにあんなに装備してるし、そん中で最低限の装備を選んでたみたいだしな。」
「……。」
「何だよ。」
「お前、担任として連絡しなかったのか?」
「ちっと試した。」
「……お前な。」
剣は呆れた顔をするが、扇は平然とした顔をしている。
「んだよ、別に問題ねぇだろう。」
「あるだろう、担任として。」
「いいだろう、お陰であいつの素が分かったんだしな。」
「素ね。」
「常に準備を怠らない、そして、その場に合わせて柔軟に対応できる。」
「本当にあの子はただの一般人だったのか?」
「さあな、出はそうだけど、あいつはそれに甘んじなかった、それだけだろう。」
「……。」
「さーて、なあ、一翔(いっしょう)。」
「何だよ、誠道。」
「ちっと、付き合ってくれねぇか?」
怪しい色で光る扇の瞳を見て剣は甘く笑う。
「ああ、いいぞ。」
「よし、今日は寝かせねぇからな。」
「受けて立つ。」
「二人とも、いい加減帰りましょうよ。」
「まだまだ。」
「くそ、もう一試合っ!」
「この脳筋どもいい加減にしろ、明日、つーか、今日はまだ火曜だぞっ!」
「無事か?」
「無事なのか?」
玉木の言葉に二人は表情を曇らせる。
「違いますか?怪我人も少なかったですし。」
「……そっちはそうだな。」
「あ~。」
「何ですか、その反応は。」
「おめぇーさ、異常な奴一組おったのに、その反応って逆にすげーな。」
「ああ、御神、空野ペアの事ですか、まさか、空野くん一人で倒すとは思ってもみませんでしたが、偶然でしょ?」
「百回戦って百回あいつらが勝っても偶然と言えればな。」
「扇、それは偶然とは言えないぞ。」
「だって、マジそうだろう。」
「……。」
「何を言っているんですか、二人は。」
「どーすっかな。」
「どうするか。」
玉木を無視する二人にとうとう彼は切れる。
「いい加減にしてください。」
「だってな。」
「ははは。」
切れる玉木に扇は肩を竦め、剣は苦笑いを浮かべる。
「さて、本題に入ろうか。」
「やっぱり、あの組は異常だな。」
「そうだね、彼らだけ条件を付けたいけど。」
「拘束具を両手両足に着けても無駄だと思うぞ?」
「だろうね。」
「何を言っているんですか、生徒ですよ。」
「あー、お前は黙ってろ、面倒だから。」
「何を言っているんですかっ!」
「うーん。今回は悪いけど、玉木黙っててくれないか?君に気を遣う気力はもうないんだ。」
「剣までっ!」
一人のの字を書きだす玉木を無視して二人は会話を続ける。
「武器の制限をしても、きっと無駄だよな。」
「ああ、ダメだ、素手であれだぞ。」
「だよな。」
「いっその事空野だけで戦わせるか?」
「いいのか?」
「冗談だ、つーか、今回御神が戦わなかったお陰でけが人は軽傷ですんだけど、あいつが戦うと下手をすれば死人だぞ。」
「だろうな。」
「それに、壊すことに躊躇なかったしな。」
「ああ、まさかすぐに空野の手持ちを二つ壊すなんてな。」
「ああ、空野も分かっていたはずなのによくやるわ。」
「ああ、一個でも相当な痛手のはずなのな。」
「……。」
剣の言葉に扇はジッと彼を見る。
「何だ?」
「ん、お前の真意を読み取ろうとしただけだ。」
「何だ、それ。」
「お前の痛手ってどいう言う意味だ?」
「あれは高いだろう?金銭面的な意味だ。」
「そっちな、まあ、あいつの伝手なら大丈夫だろう。」
「空野って一般の出じゃ。」
「へいへい、そこは個人情報なのでストップな。」
「……扇、お前どこまで何を知っているんだ。」
「さあな。」
「まあ、いい、それで、今後どうする。」
「あー、もういっその事、空野の好きに動かそうぜ、あいつには条件として相手に必要以上な攻撃をした場合失格と言っておけばどうにか動くだろう。」
「いいのか?」
「ああ、むしろあいつが勝手に調整しそうだしな。」
「そうか。」
「ああ、今日だって何も知らねぇのにあんなに装備してるし、そん中で最低限の装備を選んでたみたいだしな。」
「……。」
「何だよ。」
「お前、担任として連絡しなかったのか?」
「ちっと試した。」
「……お前な。」
剣は呆れた顔をするが、扇は平然とした顔をしている。
「んだよ、別に問題ねぇだろう。」
「あるだろう、担任として。」
「いいだろう、お陰であいつの素が分かったんだしな。」
「素ね。」
「常に準備を怠らない、そして、その場に合わせて柔軟に対応できる。」
「本当にあの子はただの一般人だったのか?」
「さあな、出はそうだけど、あいつはそれに甘んじなかった、それだけだろう。」
「……。」
「さーて、なあ、一翔(いっしょう)。」
「何だよ、誠道。」
「ちっと、付き合ってくれねぇか?」
怪しい色で光る扇の瞳を見て剣は甘く笑う。
「ああ、いいぞ。」
「よし、今日は寝かせねぇからな。」
「受けて立つ。」
「二人とも、いい加減帰りましょうよ。」
「まだまだ。」
「くそ、もう一試合っ!」
「この脳筋どもいい加減にしろ、明日、つーか、今日はまだ火曜だぞっ!」
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