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第一章
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「そんじゃ、お前ら先に入るやつを決めろ、五分後、後を追うようにもう一組が入れ。」
「どうする?」
「じゃんけんでいいじゃねぇ?」
「……。」
「うん、それで、いいね、御神くんと加賀くんでじゃんけんして。」
ひょうちゃんが何で俺がというように睨んでくるが、僕はそれを無視する。
「基準は君たちSクラスの人だし、僕らよりはずっといいだろう?」
「そうだな、御神、ほら、最初はグー、じゃんけん…ぽん。」
加賀くんはグー、ひょうちゃんはパーをだした。
「それじゃ、僕たちが入るね。」
「……。」
ひょうちゃんはスタスタと中に入っていく。
僕はそれを追いかけ、少ししてから彼に僕は選んだアイテムの一つを差し出す。
「何だ、これ。」
「通信機器だよ、耳に着けて、そこの黒い丸いものがマイクになっているから。」
「いらねぇ。」
「ほら、連携とかも重要でしょ。」
僕は半ば無理やり彼にそれを渡せば彼は眉間にしわを寄せ、そして――。
「こんな玩具はいらない。」
「……。」
ひょうちゃんは僕の作ったアイテムを燃やした。
うん、予想はしてたよ、だけど、僕が一月くらい思案して作ったそれを一瞬で燃やすなんて酷くないか?
「お前も、適当に隠れていろ。」
「ついてくるなって言いたいわけ?」
「分かっているじゃねぇか。」
「……。」
冷めた目で僕を見下す彼に僕は足を止める。
「君が好き勝手するのなら、僕もするから。」
「……。」
僕の言葉を聞かない彼はそのまま中心部に向かって歩いていく。
「……。」
残りの加賀くんたちが入ってくるまで、約三分。
罠仕掛けるには道具もない、時間もない。
となると。
僕は持ってきたアイテムを三つ手放す。
それは球体の追跡アイテムだった。一つはひょうちゃんに、もう二つは今から入ってくる彼らに着ける。
僕は最後の持ち込み可能なアイテムを身に着ける。
それは一見すればゴーグルだけど、暗視対応の僕の仕事道具だった。
「はぁ、やっぱり、通信機器じゃなく武器系統がよかったか?
でも、ひょうちゃんが受け取ってくれる可能性が……極めて低かったけどさ…というか、燃やす?」
僕はため息を我慢していると、追跡アイテムの二つが起動する。
「さて、五分経ったみたいだし、ゲーム、スタート。」
僕の力がどれほど通用するかはわからない、だけど、それはそれで楽しみだった。
「っと、はぁ、ひょうちゃんのバカ。」
ひょうちゃんを追っていたアイテムのカメラが潰されたのか砂嵐となる。
「せっかくの雄姿を録画できるせっかくの機会だったのに、何で潰すかな…、というか、この機器だって結構高いのに…。次々壊されたら僕破綻するよ。」
開始は味方による攻撃だったが、まあ、本番はこれからだった。
「どうする?」
「じゃんけんでいいじゃねぇ?」
「……。」
「うん、それで、いいね、御神くんと加賀くんでじゃんけんして。」
ひょうちゃんが何で俺がというように睨んでくるが、僕はそれを無視する。
「基準は君たちSクラスの人だし、僕らよりはずっといいだろう?」
「そうだな、御神、ほら、最初はグー、じゃんけん…ぽん。」
加賀くんはグー、ひょうちゃんはパーをだした。
「それじゃ、僕たちが入るね。」
「……。」
ひょうちゃんはスタスタと中に入っていく。
僕はそれを追いかけ、少ししてから彼に僕は選んだアイテムの一つを差し出す。
「何だ、これ。」
「通信機器だよ、耳に着けて、そこの黒い丸いものがマイクになっているから。」
「いらねぇ。」
「ほら、連携とかも重要でしょ。」
僕は半ば無理やり彼にそれを渡せば彼は眉間にしわを寄せ、そして――。
「こんな玩具はいらない。」
「……。」
ひょうちゃんは僕の作ったアイテムを燃やした。
うん、予想はしてたよ、だけど、僕が一月くらい思案して作ったそれを一瞬で燃やすなんて酷くないか?
「お前も、適当に隠れていろ。」
「ついてくるなって言いたいわけ?」
「分かっているじゃねぇか。」
「……。」
冷めた目で僕を見下す彼に僕は足を止める。
「君が好き勝手するのなら、僕もするから。」
「……。」
僕の言葉を聞かない彼はそのまま中心部に向かって歩いていく。
「……。」
残りの加賀くんたちが入ってくるまで、約三分。
罠仕掛けるには道具もない、時間もない。
となると。
僕は持ってきたアイテムを三つ手放す。
それは球体の追跡アイテムだった。一つはひょうちゃんに、もう二つは今から入ってくる彼らに着ける。
僕は最後の持ち込み可能なアイテムを身に着ける。
それは一見すればゴーグルだけど、暗視対応の僕の仕事道具だった。
「はぁ、やっぱり、通信機器じゃなく武器系統がよかったか?
でも、ひょうちゃんが受け取ってくれる可能性が……極めて低かったけどさ…というか、燃やす?」
僕はため息を我慢していると、追跡アイテムの二つが起動する。
「さて、五分経ったみたいだし、ゲーム、スタート。」
僕の力がどれほど通用するかはわからない、だけど、それはそれで楽しみだった。
「っと、はぁ、ひょうちゃんのバカ。」
ひょうちゃんを追っていたアイテムのカメラが潰されたのか砂嵐となる。
「せっかくの雄姿を録画できるせっかくの機会だったのに、何で潰すかな…、というか、この機器だって結構高いのに…。次々壊されたら僕破綻するよ。」
開始は味方による攻撃だったが、まあ、本番はこれからだった。
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