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第一章

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「それじゃ、簡単にルールを説明する。
 この部屋の先にはいろいろな場面を想定したセットが準備されている。
 今回のここは廃墟のセットだ。
 出入口はここしかない、破壊は出来るだけするな。
 まあ、お前らの能力的には難しいと思うが、出入口だけは破壊はなしだ。
 おっと、まずお前らはそれぞれ敵対していると想定する。
 メインはSクラスのお前らだが、サポートも重要になってくる。
 まず、今回の戦闘の簡単な勝敗の決め方は、ペアの全滅。
 引き分けはSクラスのお前らのどちらかが敗れた場合、サポーターのお前らがこの出入り口から逃げる事、それが唯一の引き分けとする。
 質問はあるか?」
「はい。」
「加賀。」

 加賀くんが手を上げ、剣先生が頷く。

「オレや御神のペナルティとかあるんですか?」
「ないな、まあ、強いて言うなら殺すなは全員共通だが、後はお前らの好きに動け。」
「はい。」
「ほかに質問は?」
「はい。」

 僕が手を上げると剣先生は興味津々というような顔をしている。

「このセットの強度はどのくらいですか?」
「普通の建築基準は通っている。」
「耐熱は?」
「そうだな、扇が全力を出しても部屋は大丈夫だな。」
「つまり、中のセットはその火力だと崩れる恐れがあると?」
「ああ、そうだな。」
「……。」

 つまりは、特別能力に対処するような作りになっていない。
 加賀くんの炎ならきっと鉄筋は解かせるだろうが、時間がかかる、ひょうちゃんの場合は論外だな。

「……ひょ…御神くんの能力を全力で発揮した場合、この部屋は大丈夫ですか?」
「……。」

 僕の質問に剣先生は顔を若干引きつらせる。

「まあ、うん。大丈夫じゃないか?」

 歯切れの悪い言葉に僕はため息を零し、ひょうちゃんを見る。
 彼はこの話を聞いていないのかどこか面倒くさそうな顔をしている。
 一方加賀くんと宇民くんは顔を引きつらせている。

「まあ、安心しろ、命の危機を感じたら強制終了はしてやる。」
「分かりました。」

 僕は小さく息を吐く。

 さて、どうやってこの戦闘を動かそう。

 一番の理想はひょうちゃんが二人を一気に能力を最低限に使って勝つのが一番だけど、多分それは無理だろう。

 二人だってどうにか勝ちたいはずだ。

 つまりは、まず連携を取らせないために分断させるか、僕を潰しにかかる。

 はぁ、僕はあんまり目立ちたくはない…、いや、目立たないとひょうちゃんの視界には入らないし、どうしたものか…。

 うーん。

 僕は自分のアイテムを握る。

 まあ、何とかなるだろう。

 僕は楽観的に考え、この戦いに挑む。

 それでも、僕は油断しない。

 だって、一つの油断が命に係わる。

 僕の命ならそれならば、いい、だけど、僕の油断が彼を、彼の命を脅かすことになるのだった、その時は自分が許せないだろう。

 さて、ミッション、スタート。
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