37 / 125
第一章
35
しおりを挟む
「それじゃ、簡単にルールを説明する。
この部屋の先にはいろいろな場面を想定したセットが準備されている。
今回のここは廃墟のセットだ。
出入口はここしかない、破壊は出来るだけするな。
まあ、お前らの能力的には難しいと思うが、出入口だけは破壊はなしだ。
おっと、まずお前らはそれぞれ敵対していると想定する。
メインはSクラスのお前らだが、サポートも重要になってくる。
まず、今回の戦闘の簡単な勝敗の決め方は、ペアの全滅。
引き分けはSクラスのお前らのどちらかが敗れた場合、サポーターのお前らがこの出入り口から逃げる事、それが唯一の引き分けとする。
質問はあるか?」
「はい。」
「加賀。」
加賀くんが手を上げ、剣先生が頷く。
「オレや御神のペナルティとかあるんですか?」
「ないな、まあ、強いて言うなら殺すなは全員共通だが、後はお前らの好きに動け。」
「はい。」
「ほかに質問は?」
「はい。」
僕が手を上げると剣先生は興味津々というような顔をしている。
「このセットの強度はどのくらいですか?」
「普通の建築基準は通っている。」
「耐熱は?」
「そうだな、扇が全力を出しても部屋は大丈夫だな。」
「つまり、中のセットはその火力だと崩れる恐れがあると?」
「ああ、そうだな。」
「……。」
つまりは、特別能力に対処するような作りになっていない。
加賀くんの炎ならきっと鉄筋は解かせるだろうが、時間がかかる、ひょうちゃんの場合は論外だな。
「……ひょ…御神くんの能力を全力で発揮した場合、この部屋は大丈夫ですか?」
「……。」
僕の質問に剣先生は顔を若干引きつらせる。
「まあ、うん。大丈夫じゃないか?」
歯切れの悪い言葉に僕はため息を零し、ひょうちゃんを見る。
彼はこの話を聞いていないのかどこか面倒くさそうな顔をしている。
一方加賀くんと宇民くんは顔を引きつらせている。
「まあ、安心しろ、命の危機を感じたら強制終了はしてやる。」
「分かりました。」
僕は小さく息を吐く。
さて、どうやってこの戦闘を動かそう。
一番の理想はひょうちゃんが二人を一気に能力を最低限に使って勝つのが一番だけど、多分それは無理だろう。
二人だってどうにか勝ちたいはずだ。
つまりは、まず連携を取らせないために分断させるか、僕を潰しにかかる。
はぁ、僕はあんまり目立ちたくはない…、いや、目立たないとひょうちゃんの視界には入らないし、どうしたものか…。
うーん。
僕は自分のアイテムを握る。
まあ、何とかなるだろう。
僕は楽観的に考え、この戦いに挑む。
それでも、僕は油断しない。
だって、一つの油断が命に係わる。
僕の命ならそれならば、いい、だけど、僕の油断が彼を、彼の命を脅かすことになるのだった、その時は自分が許せないだろう。
さて、ミッション、スタート。
この部屋の先にはいろいろな場面を想定したセットが準備されている。
今回のここは廃墟のセットだ。
出入口はここしかない、破壊は出来るだけするな。
まあ、お前らの能力的には難しいと思うが、出入口だけは破壊はなしだ。
おっと、まずお前らはそれぞれ敵対していると想定する。
メインはSクラスのお前らだが、サポートも重要になってくる。
まず、今回の戦闘の簡単な勝敗の決め方は、ペアの全滅。
引き分けはSクラスのお前らのどちらかが敗れた場合、サポーターのお前らがこの出入り口から逃げる事、それが唯一の引き分けとする。
質問はあるか?」
「はい。」
「加賀。」
加賀くんが手を上げ、剣先生が頷く。
「オレや御神のペナルティとかあるんですか?」
「ないな、まあ、強いて言うなら殺すなは全員共通だが、後はお前らの好きに動け。」
「はい。」
「ほかに質問は?」
「はい。」
僕が手を上げると剣先生は興味津々というような顔をしている。
「このセットの強度はどのくらいですか?」
「普通の建築基準は通っている。」
「耐熱は?」
「そうだな、扇が全力を出しても部屋は大丈夫だな。」
「つまり、中のセットはその火力だと崩れる恐れがあると?」
「ああ、そうだな。」
「……。」
つまりは、特別能力に対処するような作りになっていない。
加賀くんの炎ならきっと鉄筋は解かせるだろうが、時間がかかる、ひょうちゃんの場合は論外だな。
「……ひょ…御神くんの能力を全力で発揮した場合、この部屋は大丈夫ですか?」
「……。」
僕の質問に剣先生は顔を若干引きつらせる。
「まあ、うん。大丈夫じゃないか?」
歯切れの悪い言葉に僕はため息を零し、ひょうちゃんを見る。
彼はこの話を聞いていないのかどこか面倒くさそうな顔をしている。
一方加賀くんと宇民くんは顔を引きつらせている。
「まあ、安心しろ、命の危機を感じたら強制終了はしてやる。」
「分かりました。」
僕は小さく息を吐く。
さて、どうやってこの戦闘を動かそう。
一番の理想はひょうちゃんが二人を一気に能力を最低限に使って勝つのが一番だけど、多分それは無理だろう。
二人だってどうにか勝ちたいはずだ。
つまりは、まず連携を取らせないために分断させるか、僕を潰しにかかる。
はぁ、僕はあんまり目立ちたくはない…、いや、目立たないとひょうちゃんの視界には入らないし、どうしたものか…。
うーん。
僕は自分のアイテムを握る。
まあ、何とかなるだろう。
僕は楽観的に考え、この戦いに挑む。
それでも、僕は油断しない。
だって、一つの油断が命に係わる。
僕の命ならそれならば、いい、だけど、僕の油断が彼を、彼の命を脅かすことになるのだった、その時は自分が許せないだろう。
さて、ミッション、スタート。
0
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
からっぽを満たせ
ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。
そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。
しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。
そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー
僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】
華周夏
BL
かつての恋を彼は忘れている。運命は、あるのか。繋がった赤い糸。ほどけてしまった赤い糸。繋ぎ直した赤い糸。切れてしまった赤い糸──。その先は?糸ごと君を抱きしめればいい。宿命に翻弄される神の子と、眷属の恋物語【*マークはちょっとHです】
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
過食症の僕なんかが異世界に行ったって……
おがこは
BL
過食症の受け「春」は自身の醜さに苦しんでいた。そこに強い光が差し込み異世界に…?!
ではなく、神様の私欲の巻き添えをくらい、雑に異世界に飛ばされてしまった。まあそこでなんやかんやあって攻め「ギル」に出会う。ギルは街1番の鍛冶屋、真面目で筋肉ムキムキ。
凸凹な2人がお互いを意識し、尊敬し、愛し合う物語。
記憶の欠けたオメガがヤンデレ溺愛王子に堕ちるまで
橘 木葉
BL
ある日事故で一部記憶がかけてしまったミシェル。
婚約者はとても優しいのに体は怖がっているのは何故だろう、、
不思議に思いながらも婚約者の溺愛に溺れていく。
---
記憶喪失を機に愛が重すぎて失敗した関係を作り直そうとする婚約者フェルナンドが奮闘!
次は行き過ぎないぞ!と意気込み、ヤンデレバレを対策。
---
記憶は戻りますが、パッピーエンドです!
⚠︎固定カプです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる