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第三章
《弟 9》
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「さて、自己紹介を始めましょうか。」
セイラはそう言うと、パンと手を叩く。
すると、澄んだ風が吹き、六つの影が落ちる。
しかし、その影はセイラしか分からない、他の人の目にはそれぞれの加護の精霊王しか見えなかった。
「えっ、えっ、えっ!」
行き成り現れた精霊王に初めてのソクドは目を白黒させる。
「お、お姉様…。」
「こちらの方々は私に力を貸して下さる、精霊王の方々よ。」
「方々?」
「ええ。」
キョトンとするソクドにセイラは微笑むが、いくつかの視線は冷ややかだった。
「セイラ。」
「何かしら。」
「何で呼んだ。」
「ソクドなら大丈夫だと思ったから。」
「そうかもしれないけど、こいつはまだ子どもだぞ。」
「それを言うなら私たちだって十分に子どもよ。」
「……。」
カルムはジトリとセイラを睨みが彼女は笑みで受け流す。
「セイラ様人目に付くと思われますが。」
「大丈夫よ、あなたたちくらいの力量を持った人じゃないと視えないわ。」
「しかし。」
「大丈夫よ。」
まだ何か言いたげのミナにセイラは満面の笑みで黙らす。
「セイラ様、信用していいんですか?」
「ええ、心配なら呪(まじな)いをかけるわ。」
「呪いですか?」
「ええ、こちらの方は思ったよりも早く習得できたから簡単な条件なら縛れるわ。」
「……。」
さらりと恐ろしい事を言うセイラにレラは絶句した。
「お姉様。」
「何かしら?」
「……呪いを施してください。」
「……。」
まさか、ソクドからそんな事を言われるだなんて思ってもみなかったセイラは目を丸くさせる。
「それで、他の方が安心するのなら、ぼくは構いません。」
「「「……。」」」
三人はまさか四つの子どもがそう言うとは思ってもみなかったので、何とも言えない顔をする。
セイラは苦笑しながらソクドの目線に合わせる。
「ソクド、いいの?誰にも精霊王の事を話せなくなるおまじないだけだけのつもりだけど。」
「大丈夫です、お姉様の不利益になる事なんですよね。」
「ええ、そうね。」
「だったら、構いません。」
「……信用してくれるのは嬉しいけど、私が貴方に悪い事をしないと思わないの?」
「お姉様はそんな事はしません。」
断言され、セイラは瞬く。
「絶対にお姉様はそんな事をしません。」
「うーん、信用してくれるのは嬉しいけど、お姉様だって人の子よ?」
「もし、お姉様がぼくを傷つけたいと思っても、きっと理由があると思うんです。」
「ソクド。」
「だから、お姉様の好きにしてください。」
「……分かったわ。」
セイラはそう言うと、自分の持っていたロケットのペンダントに自分の髪を一本入れ、そして、念じる。
「……。」
黒いけれども、決して邪悪じゃない光がセイラを包み込み、次にロケットを開けると、そこにはセイラの髪は消えていた。
「ソクド、このペンダントを肌身離さずもっていなさいね。」
「はい、分かりました。」
嬉しそうにそれを受け取るソクドにセイラは複雑そうな顔をしていた。
「呪いでここまで喜ばれるとは思ってもみなかったわ。」
「セイラ、それは呪いだけなのか?」
「ええ、呪いだけよ。」
意味ありげに微笑むセイラにカルムたちはきっと口止めの呪いと、魔よけの呪いを施したのだと気づいた。
「セイラらしいな。」
「ですね。」
「だよね。」
三人は呆れたように、だけど、少し誇らしげにそう漏らした。
セイラはそう言うと、パンと手を叩く。
すると、澄んだ風が吹き、六つの影が落ちる。
しかし、その影はセイラしか分からない、他の人の目にはそれぞれの加護の精霊王しか見えなかった。
「えっ、えっ、えっ!」
行き成り現れた精霊王に初めてのソクドは目を白黒させる。
「お、お姉様…。」
「こちらの方々は私に力を貸して下さる、精霊王の方々よ。」
「方々?」
「ええ。」
キョトンとするソクドにセイラは微笑むが、いくつかの視線は冷ややかだった。
「セイラ。」
「何かしら。」
「何で呼んだ。」
「ソクドなら大丈夫だと思ったから。」
「そうかもしれないけど、こいつはまだ子どもだぞ。」
「それを言うなら私たちだって十分に子どもよ。」
「……。」
カルムはジトリとセイラを睨みが彼女は笑みで受け流す。
「セイラ様人目に付くと思われますが。」
「大丈夫よ、あなたたちくらいの力量を持った人じゃないと視えないわ。」
「しかし。」
「大丈夫よ。」
まだ何か言いたげのミナにセイラは満面の笑みで黙らす。
「セイラ様、信用していいんですか?」
「ええ、心配なら呪(まじな)いをかけるわ。」
「呪いですか?」
「ええ、こちらの方は思ったよりも早く習得できたから簡単な条件なら縛れるわ。」
「……。」
さらりと恐ろしい事を言うセイラにレラは絶句した。
「お姉様。」
「何かしら?」
「……呪いを施してください。」
「……。」
まさか、ソクドからそんな事を言われるだなんて思ってもみなかったセイラは目を丸くさせる。
「それで、他の方が安心するのなら、ぼくは構いません。」
「「「……。」」」
三人はまさか四つの子どもがそう言うとは思ってもみなかったので、何とも言えない顔をする。
セイラは苦笑しながらソクドの目線に合わせる。
「ソクド、いいの?誰にも精霊王の事を話せなくなるおまじないだけだけのつもりだけど。」
「大丈夫です、お姉様の不利益になる事なんですよね。」
「ええ、そうね。」
「だったら、構いません。」
「……信用してくれるのは嬉しいけど、私が貴方に悪い事をしないと思わないの?」
「お姉様はそんな事はしません。」
断言され、セイラは瞬く。
「絶対にお姉様はそんな事をしません。」
「うーん、信用してくれるのは嬉しいけど、お姉様だって人の子よ?」
「もし、お姉様がぼくを傷つけたいと思っても、きっと理由があると思うんです。」
「ソクド。」
「だから、お姉様の好きにしてください。」
「……分かったわ。」
セイラはそう言うと、自分の持っていたロケットのペンダントに自分の髪を一本入れ、そして、念じる。
「……。」
黒いけれども、決して邪悪じゃない光がセイラを包み込み、次にロケットを開けると、そこにはセイラの髪は消えていた。
「ソクド、このペンダントを肌身離さずもっていなさいね。」
「はい、分かりました。」
嬉しそうにそれを受け取るソクドにセイラは複雑そうな顔をしていた。
「呪いでここまで喜ばれるとは思ってもみなかったわ。」
「セイラ、それは呪いだけなのか?」
「ええ、呪いだけよ。」
意味ありげに微笑むセイラにカルムたちはきっと口止めの呪いと、魔よけの呪いを施したのだと気づいた。
「セイラらしいな。」
「ですね。」
「だよね。」
三人は呆れたように、だけど、少し誇らしげにそう漏らした。
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