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第二章

《〇〇の秋 3》

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「美味しいです。」
「美味い。」
「美味しいっ!」

 絶賛する三人にセイラはよかったと言いながら自分の分も頬張る。

「ドレッシングを変えたんですか?」
「ええ、この前クエストで食堂のお手伝いの時に教わったのよ。」
「そうなんですね、是非わたしにも教えて下さい。」
「ええ、勿論よ。」

 勉強熱心なミラにセイラは快く了承する。

「セイラは本当に貪欲に学んでいくよな。」
「そうかな?」
「そうだよ、普通の人なら嫌々するクエストばっかりやるし。」
「確かにそうですね。」
「何の意図があるんですか?」

 不思議そうな顔をする三人にセイラは口元に手を当て自分の考えを言う。

「人が避けるからかな?」
「どういう事だ?」

 残りの二人の心の声を代表してカルムが言うと、セイラは苦笑する。

「人が嫌がるという事はそのクエストはずっと張り出されたままでしょ?
 そうなると、依頼した人はずっと待っている事になるの、それはとても申し訳なく思うわ。
 だから、自分たちでできるのなら率先したい。
 私たちは年齢制限を受けるから討伐とか遠くには行けないけど、身近なお手伝いならいっぱいできるでしょ?」
「……なんかスゲーな。」
「カルム?」
「俺は今まで戦うしか考えた事がなかった。
 戦えば強くなる、そう信じてた。
 だけど、お前の強さは戦うだけじゃないんだな。」
「そうですね、わたしもセイラ様の崇高なお考えは分かりませんでした。
 ですが、お聞きして思いました。
 やはり、セイラ様は女神なのだとっ!」
「ミラ、それ、流石に引くよ?」

 目を輝かせているミラにレラはかなり引いているが、ミラはそんな事を気にしない。

「レラ、貴女には分かりませんか?」
「セイラ様が凄いのは十分に分かるよ、だけどさ、なんか傍から聞いていたら危ない宗教みたいで怖い。」
「そんな事はありません、慎ましく、お美しいセイラ様を称えるのは当然の事でしょう。」
「「「……。」」」

 熱の入るミラの言葉に三人は黙り込む。

「セイラ様、ミラどうしましょう?」
「もう手遅れなのよ。」
「だよな。」

 残念そうに首を振るセイラにカルムとレラは残念な子を見るような目でミラを見る。
 ミラは一人どれだけセイラが素晴らしいか熱弁しているが、三人の耳には入ってこない。

「そろそろ、お芋が焼けると思うわ。」
「だよな。」
「楽しみだなー。」

 ミラを放置して三人は棒読みするように会話を続けた。
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