73 / 133
第二章
《学ぶ 27》
しおりを挟む
翌朝、セイラが目を開けると、それはもう大変だった。
「セイラ様~っ!」
「セイラ様っ!」
涙や鼻水を流す双子にセイラは病み上がりの体に鞭打って動かす。
「二人とも、ごめんね。」
「ごめんじゃありません…。」
「そうですよ、死ぬんじゃないかと思って、怖かったです。」
「……大丈夫よ、私はそう簡単にくたばったりはしない。」
「分かっています、分かっていますけど…。」
「ずっと苦しそうなのに、わたしたちなにも出来なかった…。」
「そんな事ないわ、貴女たちが看病してくれたおかげでよくなったのだから。」
双子は顔を見合わせ、そして、肩を落とす。
「でも、本当にわたしたちは何もできませんでした。」
「ミラ。」
「右往左往して、何をしていいのか分かりませんでした。」
「レラ。」
「セイラ様ならば落ち着て、対応できるでしょうに。」
落ち込む二人にセイラはため息を零し、そして、彼女たちの頬を引っ張る。
「過大評価しないで。」
「せいりゃひゃま?」
「う?」
セイラは苦笑する。
「私は貴女たちが思うほどできた人間じゃないわ、もしそうならば、こうやって倒れたりしない。」
「「……。」」
「未熟だから倒れて貴女たちに迷惑をかけた、そして、いらない不安を与えたの。」
「そんな事ありません。」
「そうですよ、わたしたちはこの件でどれだだけ、セイラ様に守っていただいてたか。」
「そして、どれだけ、自分が無力な子どもか理解しました。」
セイラは二人の目を見て理解する。
彼女たちは守ってもらうばかりの子どもじゃない。
力をつけたいと思っている、強い娘(こ)たちなのだと。
「分かったわ、その話はあとで聞くから、神父さんを通して差し上げて?」
ドアの前でずっと待っている老人の姿を見てセイラは苦笑する。
「あっ。」
「申し訳ございません。」
「いやいや。」
首を振っているが、苦笑していた。
「さて、診察をするから、お嬢さんたちは外に出てもらえるかな?」
「はい。」
「セイラ様、何かありました、お呼びください。」
双子はそう言い残すと退出した。
「セイラ様~っ!」
「セイラ様っ!」
涙や鼻水を流す双子にセイラは病み上がりの体に鞭打って動かす。
「二人とも、ごめんね。」
「ごめんじゃありません…。」
「そうですよ、死ぬんじゃないかと思って、怖かったです。」
「……大丈夫よ、私はそう簡単にくたばったりはしない。」
「分かっています、分かっていますけど…。」
「ずっと苦しそうなのに、わたしたちなにも出来なかった…。」
「そんな事ないわ、貴女たちが看病してくれたおかげでよくなったのだから。」
双子は顔を見合わせ、そして、肩を落とす。
「でも、本当にわたしたちは何もできませんでした。」
「ミラ。」
「右往左往して、何をしていいのか分かりませんでした。」
「レラ。」
「セイラ様ならば落ち着て、対応できるでしょうに。」
落ち込む二人にセイラはため息を零し、そして、彼女たちの頬を引っ張る。
「過大評価しないで。」
「せいりゃひゃま?」
「う?」
セイラは苦笑する。
「私は貴女たちが思うほどできた人間じゃないわ、もしそうならば、こうやって倒れたりしない。」
「「……。」」
「未熟だから倒れて貴女たちに迷惑をかけた、そして、いらない不安を与えたの。」
「そんな事ありません。」
「そうですよ、わたしたちはこの件でどれだだけ、セイラ様に守っていただいてたか。」
「そして、どれだけ、自分が無力な子どもか理解しました。」
セイラは二人の目を見て理解する。
彼女たちは守ってもらうばかりの子どもじゃない。
力をつけたいと思っている、強い娘(こ)たちなのだと。
「分かったわ、その話はあとで聞くから、神父さんを通して差し上げて?」
ドアの前でずっと待っている老人の姿を見てセイラは苦笑する。
「あっ。」
「申し訳ございません。」
「いやいや。」
首を振っているが、苦笑していた。
「さて、診察をするから、お嬢さんたちは外に出てもらえるかな?」
「はい。」
「セイラ様、何かありました、お呼びください。」
双子はそう言い残すと退出した。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説


魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる