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第二章

《学ぶ 26》

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「…………はぁ。」

 うっすらとセイラは目を開けると状況を確認する。
 自分の手をしっかりと握る二つの手があった。

「ミラ…レラ……。」
「起きたか。」

 億劫そうに眼を動かせば、扉の近くに剣を抱きしめるようにして座るカルムの姿があった。

「カルム…。」
「水いるか?」

 コクリとセイラは頷く。
 カルムは剣を壁に立てかけ、ゆっくりと音をたてないように動き、ベッドの横にあった水差しから水をコップに移す。
 セイラは二人が起きないようにゆっくりと起き上がろうとするが、力の入らない片手では起き上がる事が出来なかった。
 見かねたカルムがいったんコップを置いてから、セイラを起こす。

「ありがとう。」
「いや。」

 お礼を言うセイラだったが、カルムは目を合わせることなく、彼女にコップを渡す。
 セイラはそれを受け取ろうとするが、手が震えていてうまく掴めなかった。

「ごめんなさい。」
「…。」

 カルムはコップをセイラの口元に持っていく。

「飲めよ。」
「うん。」

 カルムは慎重にセイラに水を飲ませる。
 そして、コップの水を三分の一飲んだセイラは限界だった。

「ごめん、まだ気持ち悪いから寝るね。」
「ああ。」
「そう言えば、私が倒れてから、どのくらい経った?
「三日だ。」
「そんなに?」
「……。」

 セイラは驚くが、カルムの表情を見て嘘じゃないのだと理解する。

「ごめんなさい。」
「謝るんじゃなくて、できれば元気な姿を見せてくれ、それで、俺たちは十分だから。」
「…うん。」

 よくよく見ればカルムは今にも泣きそうな顔をしていた。
 きっとセイラが思っている以上に皆に心配をかけさせてしまったのだ。

「ありがとう。」

 セイラは精いっぱいの気持ちを込めて一言呟き、そして、再び眠りにつく。

「……頼むから無茶しないでくれよ。」

 カルムは一粒の涙を零して、懇願する。
 だけど、その願いを叶えてくれる唯一の少女は眠りについていて答えてはくれない。
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