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幽霊少女サイド

どんまい、北斗

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「北斗、こっちに来なさい。」
「へいへい。」
「北斗、あっちのクレープを買ってきなさい。」
「……。」
「北斗、この出し物はどこ。」
「これは…。」
「北斗、これに出なさい。」
「へい…って、嫌だよっ!」

 月子さんのパシリになっていた北斗だったけど、月子さんのもつビラを見て、頷きかけ、カッと目を見開いた。

「残念ね。」
「……まさか…。」
「さっき、あんたがクレープを買ってきた時にエントリーしてきたわよ。」

 目をカッと見開き、わなわなと震えている北斗の後ろからビラの内容を見る。

「あっ、あ~~。」

 それは女装男子によるミスコンだった。

 うん、出たくないよね、普通。

「いいじゃない、似合うわよ。」
「似合うわけないだろうっ!」

 怒鳴る北斗の上から下をじっと見る。

 うん、月子さんに似ているからクール系の美女の装いなら大丈夫だと思う。

 というか、似合う。

 絶対に似合う。

「スーピーカー…。」
「あれ?」

 もしかして、また声に出ていたのだろうか?

「ばっちり出てた。」
「あはは。」

 最近はましになったと思ったけど、そう簡単に治らないか。

 私は誤魔化すように笑うが、北斗はそれを受け入れてはくれない。

「因みに、キャンセルは後五分で終了よ。」
「マジかっ!」

 北斗は時計とビラを見て、そして、走り出す。

「ふふふ、間に合うかしらね。」

 月子さんはビラをピラピラと振る。

 私はビラを見る。

「体育館か…。」

 冷静に考えれば間に合わない。

 というか、冷静に考えなくても間に合わないだろう。

 私は両手を合わせ合掌する。

「ふふふ、北斗、どーんまい。」

 悪魔のように月子さんは笑う。

 うん、どんまい、北斗。

 私たちは彼が肩を落として戻って来るまで、休憩室でゆったりとしていた。
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