46 / 122
幽霊少女サイド
どんまい、北斗
しおりを挟む
「北斗、こっちに来なさい。」
「へいへい。」
「北斗、あっちのクレープを買ってきなさい。」
「……。」
「北斗、この出し物はどこ。」
「これは…。」
「北斗、これに出なさい。」
「へい…って、嫌だよっ!」
月子さんのパシリになっていた北斗だったけど、月子さんのもつビラを見て、頷きかけ、カッと目を見開いた。
「残念ね。」
「……まさか…。」
「さっき、あんたがクレープを買ってきた時にエントリーしてきたわよ。」
目をカッと見開き、わなわなと震えている北斗の後ろからビラの内容を見る。
「あっ、あ~~。」
それは女装男子によるミスコンだった。
うん、出たくないよね、普通。
「いいじゃない、似合うわよ。」
「似合うわけないだろうっ!」
怒鳴る北斗の上から下をじっと見る。
うん、月子さんに似ているからクール系の美女の装いなら大丈夫だと思う。
というか、似合う。
絶対に似合う。
「スーピーカー…。」
「あれ?」
もしかして、また声に出ていたのだろうか?
「ばっちり出てた。」
「あはは。」
最近はましになったと思ったけど、そう簡単に治らないか。
私は誤魔化すように笑うが、北斗はそれを受け入れてはくれない。
「因みに、キャンセルは後五分で終了よ。」
「マジかっ!」
北斗は時計とビラを見て、そして、走り出す。
「ふふふ、間に合うかしらね。」
月子さんはビラをピラピラと振る。
私はビラを見る。
「体育館か…。」
冷静に考えれば間に合わない。
というか、冷静に考えなくても間に合わないだろう。
私は両手を合わせ合掌する。
「ふふふ、北斗、どーんまい。」
悪魔のように月子さんは笑う。
うん、どんまい、北斗。
私たちは彼が肩を落として戻って来るまで、休憩室でゆったりとしていた。
「へいへい。」
「北斗、あっちのクレープを買ってきなさい。」
「……。」
「北斗、この出し物はどこ。」
「これは…。」
「北斗、これに出なさい。」
「へい…って、嫌だよっ!」
月子さんのパシリになっていた北斗だったけど、月子さんのもつビラを見て、頷きかけ、カッと目を見開いた。
「残念ね。」
「……まさか…。」
「さっき、あんたがクレープを買ってきた時にエントリーしてきたわよ。」
目をカッと見開き、わなわなと震えている北斗の後ろからビラの内容を見る。
「あっ、あ~~。」
それは女装男子によるミスコンだった。
うん、出たくないよね、普通。
「いいじゃない、似合うわよ。」
「似合うわけないだろうっ!」
怒鳴る北斗の上から下をじっと見る。
うん、月子さんに似ているからクール系の美女の装いなら大丈夫だと思う。
というか、似合う。
絶対に似合う。
「スーピーカー…。」
「あれ?」
もしかして、また声に出ていたのだろうか?
「ばっちり出てた。」
「あはは。」
最近はましになったと思ったけど、そう簡単に治らないか。
私は誤魔化すように笑うが、北斗はそれを受け入れてはくれない。
「因みに、キャンセルは後五分で終了よ。」
「マジかっ!」
北斗は時計とビラを見て、そして、走り出す。
「ふふふ、間に合うかしらね。」
月子さんはビラをピラピラと振る。
私はビラを見る。
「体育館か…。」
冷静に考えれば間に合わない。
というか、冷静に考えなくても間に合わないだろう。
私は両手を合わせ合掌する。
「ふふふ、北斗、どーんまい。」
悪魔のように月子さんは笑う。
うん、どんまい、北斗。
私たちは彼が肩を落として戻って来るまで、休憩室でゆったりとしていた。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
恋愛
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
〖完結〗王女殿下の最愛の人は、私の婚約者のようです。
藍川みいな
恋愛
エリック様とは、五年間婚約をしていた。
学園に入学してから、彼は他の女性に付きっきりで、一緒に過ごす時間が全くなかった。その女性の名は、オリビア様。この国の、王女殿下だ。
入学式の日、目眩を起こして倒れそうになったオリビア様を、エリック様が支えたことが始まりだった。
その日からずっと、エリック様は病弱なオリビア様の側を離れない。まるで恋人同士のような二人を見ながら、学園生活を送っていた。
ある日、オリビア様が私にいじめられていると言い出した。エリック様はそんな話を信じないと、思っていたのだけれど、彼が信じたのはオリビア様だった。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった
白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」
な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし!
ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。
ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。
その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。
内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います!
*ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。
*モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。
*作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。
*小説家になろう様にも投稿しております。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる