私モブ（幽霊）だよねっ！

幽霊少女サイド

文化祭二日目

「……憂鬱だ。」
「あはは。」

　重い足取りで北斗は正門に向かっている。

「月子さんと会うの久しぶりだよね。」
「……会いたくねぇ。」
「……。」

　本当に嫌そうに顔を歪めている北斗に私はそっぽを向く。

「ブッチしてぇ。」
「駄目だよ。」
「わーてる、そんな事をすればあの人が何をするか…恐ろしい。」
「……。」

　どこまで北斗は月子さんを恐れているのだと、私は少し呆れる。

「良い人に見えるんだけど。」
「ああ、基本は良い人だろうな。」
「ん？」
「でもな、姉貴が良い人で終わるわけがないんだ、あの人は自分の利益とかいろんなものを考えるんだ。」
「普通の事じゃないの？」
「……幼い弟に情報量として金を請求する人が？」
「……。」
「しかも、その時の俺の全財産を把握してその九割を請求するんだぞ。」
「……。」
「本当にあり得ない。」
「あら、わたしはそれに似合ったものを請求しているのよ？」

　背後から聞こえた声に私たちは驚いて振り返ると、そこにはサングラスで目元を隠した月子さんがいた。

「ね、姉さん。」
「月子さん。」
「久しぶりね、北斗。」
「……。」
「北斗の独り言は大きいわよ、他の人が引いでいるじゃない。」
「……。」

　北斗はギョッとなって周りを見渡すと、他の人はさっと北斗と目を合わせないように目を逸らす。

「……。」
「やってしまったわね。」

　くすくすと笑う月子さんに北斗は頭を抱えてしゃがみ込む。

「まあ、幸いにもあんたの奇行は疲れの所為だってなっているから、よかったわね。」
「よくねぇよ。」
「……ごめんね、北斗。」

　私の所為で北斗が変にみられているだなんて、最初のうちは気にしていなかったけど、最近は普通に話していたかも。

　なれって怖いな…。

「いや、スピカの所為じゃない、多分、あのバ会長に対しての愚痴やうっぷんがたまりにたまってお前にぶつけていたんだと思う。」
「……。」

　確かにそうかも。

　北斗がストレスを抱えるようになってから北斗は確かに人目を気にせずに悪態を吐いていた。
　だから、それに合わせて、私が宥めてたりしたから、いつの間に科それが当たり前になっていたのかも。

「まあ、あんたたちの反省会はどうでもいいけど、そろそろ移動しましょう。」
「そうだな。」

　チクチクと刺さる視線に北斗はため息を零し、生徒会室に足を向けた。