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幽霊少女サイド

お昼は何にしよう

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「北斗は何食べるの?」
「甘くないもん。」
「…うーん、何がある?」

 生徒用のパンフレットをのぞき込む。

「飲食は三年生に偏ってるんだね。」
「ああ、というか、一、二年は展示か、舞台のどちらか、三年はさらに飲食が出店できる屋台からな。」
「へー、って、喫茶とかはないの?」
「衛生上の問題とか色々あって、一つの種類に絞らせてもらっている、それに予算とかがあるからな、お金だって無限にはない。」
「へー。」

 私は感心する。
 だから、そんなに飲食の店がないうえに、北斗のクラスは展示だったんだ。

「あっ、甘いものが多いね。」

 ベビーカステラに、クレープ、タピオカ、綿菓子、りんご飴。

「かろうじてカレーとタコせんか。」
「タコせんはお腹にたまらないよ。」
「だよな。」

 消去法としてカレーか。

「……あっ、先生たちの出し物で、炊き込みご飯とかから揚げとかもあるよ?」
「あー、あっちは駄目だ。」
「何で?」
「クオリティが高くて毎年行列が出来てるんだよ。」
「…マジか。」
「ああ、それならカレーだな。」

 北斗は特に食べ物に執着がないのか肩を竦めながらカレーをやっているクラスに向かって歩き出す。

「…北斗って何が好きなの?」
「藪から棒に何だよ。」

 私の質問に北斗は顔を顰める。

「だって、よくよく考えたら結構側にいるのに、北斗の好きな料理とか知らないなーと思ってさ。」
「お前は甘いもんすきだよな。」
「勿論、甘いのは正義でしょ。」
「……。」

 よくあんなもん食えるな、と少しげんなりとしている北斗に私は頬を膨らませる。

「美味しいのに。」
「へいへい。」
「って、そうじゃない、北斗の好きなものを聞いているんだってば。」
「俺のね…。」

 北斗は何やら考えてるようで、ポツリと言う。

「笑わないか?」
「何で?」
「……絶対に笑うなよ。」
「う、うん。」

 一体どんな食べ物が飛び出るんだろう。

「ナス田楽。」
「……。」

 うん、いたってごくごく普通の料理だった。

「…笑わないのか?」

 真剣な顔をする北斗に私はキョトンと首を傾げる。

「えっと、どこに笑う要素があるの?」
「小学校の頃に笑われた。」
「……。」

 小学生が好きな食べ物でナス田楽、渋いな…。

 あまりにもシュールな光景に真顔になる。

「確かに小学生が言うと違和感だけど、別に好きなものはしょうがないよ、てっきり変な食べ物の掛け算だったらどうしようかと思った。」
「例えば。」
「いかの塩辛とシチュー。」
「……。」

 想像したのか北斗は顔を引きつらせている。

「いや、例えだからね。」
「……そうだとしても、本当に変なものをいうな。」
「しょうがないでしょ、パッと出てきたのがそれだったんだから。」
「それでもだ。」
「もういいよ、というか、急がないとカレー売り切れになるんじゃない?」

 私はこの話は終わりと言うようにぶった切る。
 北斗も私の言葉に一理あると思ったのか、これ以上何も言わなかった。

「行くか。」
「うん。」
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