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北斗サイド

そっくりだ

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「ねー。」
「ん?」

 暇なのか、スピカはぷかぷかと浮かびながら俺を見下ろしながら声をかけてくる。

「北斗は帰省しないの?」
「したところで、どうせ家に人はいねぇからな。」
「……。」
「……。」
「でもさ。」
「……。」
「それ、五月蠅くない?」

 スピカは俺がずっと無視をしていたそれをあえて指さす。

「…………。」
「ねー、北斗。」
「はー、分かったちょっと出てくる。」

 本当は出たくなかった、絶対このしつこさは姉貴に決まっている。
 姉貴がここまで鳴らすという事は確実にろくでもない事に決まっているから。
 俺は渋々部屋から出て行く。

「はい。」
『もう、北斗やっと出た、遅いっ!』

 キーンと耳が痛くなるほどの音量が俺の耳を襲う。

「俺だって忙しいんだ。」
『嘘おっしゃい。』
「何が嘘だ。」
『お姉ちゃん知っているのよ、どうせ、可愛い女の子と勉強しているんでしょ?』
「……。」

 姉の言葉はあながち間違っていない、だけど、勉強しているのは俺で、彼女は上から眺めるか、背後から見てくるからのどちらかだ。
 だから、姉貴の言葉は若干違う。

『図星~。』

 くすくすと笑っている姉貴に俺はぶちぎれたくなる。

「ちげーよ、勉強は俺一人だっ!」
『勉強は?』
「……。」

 嫌なところを拾う姉貴に俺は舌打ちしたくなる。

『まあ、いいわ、今そっちに向かっているんだけど、後二分すれば校門前に着くから迎えに来なさいよ。』
「ああ?」
『じゃ、後でね。』

 勝手に用件だけ言って切る姉貴に俺は切れている携帯を見る。

「マジか…。」

 一瞬呆けそうになるけど、そんな余裕は俺には残されていなかった。
 俺はひとまず部屋に戻り、カードキーを持って、今度は外に飛び出す。
 絶対に迎えに行かねえとあの姉貴はうるさい。
 マジでねちねち、チクチク言ってくるに決まっている。

「ちょっと、北斗っ!」

 後ろからスピカが叫んでいるけど、この際無視だ。
 俺は手足を動かす事だけに集中をする。
 そして、校門前までたどり着くと――。

「はーい、北斗。電話でないから来ちゃった。」
「来ちゃったじゃねぇよ。」
「うわ…。」

 つーか、さっき出ただろうが……。

 というか、スピカ、その「うわ」とは何だ、「うわ」とは…。

 俺は校門前にいる姉貴を睨もうとするが、それよりも許せない言葉が後ろから発せられる。

「うわ…、そっくりだ…。」

 おい、何がそっくりだ。

 それはこの女と俺と言いたいのか、ああ?

 俺はギロリとスピカを睨んだ。
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