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幽霊少女サイド

ひとまず嵐は去る

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「それじゃ、北斗、今回は言っておくけど、ちゃんとあんたからもメールか何かしときなさいよ。」
「はいはい。」
「はい、は一回でいいの。」

 じゃれ合う二人に私は思わず笑ってしまう。

「スピカ。」

 笑っている事に気づいた北斗はジトリと私を睨む。

「ははは。」
「……。」
「ねえ、北斗スピカちゃんのいるのはどこ?」
「ここだ。」

 そう言うとお姉さんは私に手をさしだす。

「こんな弟だけど、よろしくね。」
「は、はい。」

 私はどうしてもお姉さんの手を通過してしまうが、それでも、気分的にも握手したような気がした。

「――っ!」

 私とお姉さんが触れた時、お姉さんが何故か目を見開き、そして、私を凝視する。

「スピカちゃん、貴女――ちゃん?」

 キーンと金属音が聞こえ、私は頭を押さえる。

「スピカ?姉貴?」

 様子がおかしい私たちに北斗は怪訝な顔をする。

「何でもないよ。」
「何でもないって、その顔色でよく言える。」
「……。」
「姉貴も何なんだよ、そんな幽霊でも見たような顔してさ。」
「幽霊は視てないわよ。」
「冗談なんだから本気で返すなよ。」

 北斗は嘆息するが、私は彼女の言葉に引っかかりを覚える。

 彼女は幽霊じゃなくて何を視たのだろうか?

「ちょっと、調べたいことができたから、帰るわね、じゃあね、北斗、スピカちゃん。」

 手を振って立ち去るお姉さんに北斗はあからさまにホッとする。

「やっと嵐が居なくなった。」

 北斗の物言いに私は苦笑する。

「北斗、それ言いすぎだよ。」
「そうか?」
「そうだよ。」
「まあ、どうでもいい、さっさと部屋に帰ろうぜ。」
「もう、北斗ってば。」

 私はこの時のお姉さんのあの表情が忘れられなかった。

 お姉さんは本当に何を視たのだろう。

 そればかりが私の中でぐるぐると渦を巻いて回っていた。
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