私モブ（幽霊）だよねっ！

幽霊少女サイド

白昼夢

　それは北斗が学校に行っている時に起こった。
　私はぼんやりと彼の部屋に浮かんでいて、退屈だ～、と思っていたその瞬間。
　突然、キーンという甲高い音とともに、私の意識が飛んで行った。

　赤くなり始めた空。
　しかし、それは窓の外の光景であって、そこは赤とは正反対な真っ白な部屋。
　病室。
　点滴の落ちる音が聞こえる。
　ポツン
　ポツン
　ポツン
　そんなシンとした光景を打ち破るようにすすり泣く女性の声が聞こえる。
「どうして、どうして。」
「……まだ、あの子は死んでいない。」
「だけど、目を覚まさないのよ。」
「……ああ。」
「お医者様だって、覚悟をと……。」
　堪え切れなくなったのか、彼女はくぐもりながら泣き叫ぶ。
「……大丈夫だ、あの子は昔から頑丈だったじゃないか。」
「……それと、これと、話しが違うわ。」
　女性は泣き、男性は女性を慰める言葉を探す。
　ポツン
　ポツン
　点滴の落ちる音は絶え間なく響き渡る。

――…か

　ふいに点滴のチューブの先が見えた。

――…ぴか

　真っ白な腕

――すぴか

　そして、彼女の黄色いパジャマをたどり、顔がーー

――スピカっ！

　弾かれるようにして、私の意識はハッとなる。