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幽霊少女サイド
試験勉強
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あれから色々と遭ったけど、どうやら、北斗の出会いイベントをこなせなかったヒロインは彼と出会うことなく、あっという間にこの学校初であり、一学期末の試験が迫っていた。
私はジッと教科書とノートを見ている北斗を上から眺める。
「……。」
「……。」
「………。」
「………。」
「…………おい。」
「えっ?」
途中でペンを止め、睨みつけてくる北斗に思わず目を丸くする。
「どうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろう。」
北斗は溜息を吐く。
「じっと見られていたら気が散るだろう。」
「あっ。」
私はそこまで言われ、ようやく気付く。
確かにじっと見られれば気が散る。
しかも、私なんて、横からじゃなくて上からだから余計気が散るような気がする。
「ご、ごめん。」
「……。」
「怒っているようね?」
「………はぁ、怒ってはいねぇよ。」
北斗は先ほどまでの険のある表情ではなく駄目な子どもを見ように優しい顔をする。
「気になるのか?」
「うん。」
「普通の勉強だぞ。」
「何にもないと暇なの。」
「……そう言うものか。」
「うん。」
今まではきっとそんな退屈だと思った事はなかった。
ゲームはあるし。
本はあるし。
娯楽にあふれていた日常だったけれども、この体になって娯楽が楽しめなかった。
唯一障れるのは北斗だけ。
後は周りを見たり、こうして、北斗がしているのを見る事くらいは出来るけど、それ以外は特にできる事がなかった。
「……。」
「……。」
「しょうがねぇ、お前、問題出せ。」
「どうやって?」
「適当にそのへんにノートとか奥から問題を出せ。」
「見ないでよ。」
「見ねぇよ。」
私は取り敢えず北斗に言われたように問題を出し始める。
そして、北斗は問題を口頭で答える。
それを二時間ほど続ける。
「……疲れた~。」
「お疲れさん。」
北斗は肩が凝っているのかほぐすように肩を動かす。
「お疲れ様。」
「お前もな。」
「は~、チョコ食べたい。」
「腹減っているのか?」
「ううん、気分的な問題だよ。」
「ふーん。」
どうでもよさそうな北斗に私は唇を尖らせる。
「北斗だってない?」
「何がだ?」
「疲れた時に甘いものが欲しくなる事。」
「特にないな。」
「えー、嘘でしょ、絶対人生の半分損しているよ。」
「大げさだな。」
「大げさじゃないよ、だって、私受験勉強の時マジで疲れが吹っ飛ぶかと思ったもん。」
「ふーん。」
「その顔信じてないでしょう。」
私は拗ねたような顔をする。
「甘いもん苦手だからな。」
「へー。」
「何だよ。」
意外だった。
「何だよ、その顔。」
「いや~、だって、差し入れとかでクッキーを渡されても普通に食べそうだと思って。」
「食えねぇよ。」
「マジで?」
「マジだ。」
意外だ。
あっ、でも。
「おい、スピカ。」
「ん?」
「まーた、あのゲームキャラと比較しただろう。」
「してないよ(まだ)。」
「…………ふーん。」
私の表情を読んで彼は胡散臭そうな顔をするが、諦めたのかそっぽを向く。
「それにしても、お前。」
「何?」
「意外に頭いいな。」
「何で?」
「お前が出してきた問題、過去に何度も出ているんだよ。」
「えっ?」
北斗はそう言うと机の上にいくつかのプリントを置く。
「これは?」
「過去問、伝手で手に入れた。」
「私必要じゃないじゃない。」
「暇だったんだろう?」
「まあ、そうだけど…。」
唇を尖らせる私に北斗は私の髪を撫でる。
「で、話し戻すけど、お前、よく過去問と同じ部分出せるな。」
「うーん、目についたところとか、ひっかけやすいだろうな、というところから出したらかな。」
「やっぱ、すげーな。」
「そうかな?」
「ああ。この調子で頼むな。」
期待の視線を向けられ、私の胸がくすぐられたように心が喜ぶ。
「私で良ければ力になるよ。」
「ああ、頼んだ。」
私は早速教科書に目を通り、いくつか問題を練り直す。
私はジッと教科書とノートを見ている北斗を上から眺める。
「……。」
「……。」
「………。」
「………。」
「…………おい。」
「えっ?」
途中でペンを止め、睨みつけてくる北斗に思わず目を丸くする。
「どうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろう。」
北斗は溜息を吐く。
「じっと見られていたら気が散るだろう。」
「あっ。」
私はそこまで言われ、ようやく気付く。
確かにじっと見られれば気が散る。
しかも、私なんて、横からじゃなくて上からだから余計気が散るような気がする。
「ご、ごめん。」
「……。」
「怒っているようね?」
「………はぁ、怒ってはいねぇよ。」
北斗は先ほどまでの険のある表情ではなく駄目な子どもを見ように優しい顔をする。
「気になるのか?」
「うん。」
「普通の勉強だぞ。」
「何にもないと暇なの。」
「……そう言うものか。」
「うん。」
今まではきっとそんな退屈だと思った事はなかった。
ゲームはあるし。
本はあるし。
娯楽にあふれていた日常だったけれども、この体になって娯楽が楽しめなかった。
唯一障れるのは北斗だけ。
後は周りを見たり、こうして、北斗がしているのを見る事くらいは出来るけど、それ以外は特にできる事がなかった。
「……。」
「……。」
「しょうがねぇ、お前、問題出せ。」
「どうやって?」
「適当にそのへんにノートとか奥から問題を出せ。」
「見ないでよ。」
「見ねぇよ。」
私は取り敢えず北斗に言われたように問題を出し始める。
そして、北斗は問題を口頭で答える。
それを二時間ほど続ける。
「……疲れた~。」
「お疲れさん。」
北斗は肩が凝っているのかほぐすように肩を動かす。
「お疲れ様。」
「お前もな。」
「は~、チョコ食べたい。」
「腹減っているのか?」
「ううん、気分的な問題だよ。」
「ふーん。」
どうでもよさそうな北斗に私は唇を尖らせる。
「北斗だってない?」
「何がだ?」
「疲れた時に甘いものが欲しくなる事。」
「特にないな。」
「えー、嘘でしょ、絶対人生の半分損しているよ。」
「大げさだな。」
「大げさじゃないよ、だって、私受験勉強の時マジで疲れが吹っ飛ぶかと思ったもん。」
「ふーん。」
「その顔信じてないでしょう。」
私は拗ねたような顔をする。
「甘いもん苦手だからな。」
「へー。」
「何だよ。」
意外だった。
「何だよ、その顔。」
「いや~、だって、差し入れとかでクッキーを渡されても普通に食べそうだと思って。」
「食えねぇよ。」
「マジで?」
「マジだ。」
意外だ。
あっ、でも。
「おい、スピカ。」
「ん?」
「まーた、あのゲームキャラと比較しただろう。」
「してないよ(まだ)。」
「…………ふーん。」
私の表情を読んで彼は胡散臭そうな顔をするが、諦めたのかそっぽを向く。
「それにしても、お前。」
「何?」
「意外に頭いいな。」
「何で?」
「お前が出してきた問題、過去に何度も出ているんだよ。」
「えっ?」
北斗はそう言うと机の上にいくつかのプリントを置く。
「これは?」
「過去問、伝手で手に入れた。」
「私必要じゃないじゃない。」
「暇だったんだろう?」
「まあ、そうだけど…。」
唇を尖らせる私に北斗は私の髪を撫でる。
「で、話し戻すけど、お前、よく過去問と同じ部分出せるな。」
「うーん、目についたところとか、ひっかけやすいだろうな、というところから出したらかな。」
「やっぱ、すげーな。」
「そうかな?」
「ああ。この調子で頼むな。」
期待の視線を向けられ、私の胸がくすぐられたように心が喜ぶ。
「私で良ければ力になるよ。」
「ああ、頼んだ。」
私は早速教科書に目を通り、いくつか問題を練り直す。
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