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幽霊少女サイド

うん、ファンタジーっ!

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 えっと、司狼って姉弟っていたっけ?

 ……ストーリーでは出てなかったな、ああ、もしかしたら続編の2で出てたかも、あれ、2そんなのあったっけ?

 うーん、プレイした記憶ないな。

「おい、聞いているのかよっ!」
「は、はいっ!」
「……お前じゃない。」

 ジトリと睨まれるが、それは私を責めているというよりは苛立ちでこちらを見ているようだった。

「あん?姉貴聞いているのか?」

 ああ、どうやら、私ではなくお姉さんに怒鳴っているようだった。
 私はこっそりと息を吐く。

「ああ?ようやく気付いたって何んだよっ!」

 私は北斗を見ながら思う。
 でかい独り言みたい、と…。

「おい。」
「えっ……。」

 低い声にハッと顔を上げると北斗は私を睨んでいた。
 あはは…、バレてる。
 これ以上余計な事を考えないように彼の言葉に耳を傾ける。

「…姉貴、このゲームは何だよ。……だから、この七色何チャラだよ。……はぁ!?」

 驚く彼に私はただただ待つ事しか出来なかった。

「……マジかよ……、まあ、その通りだけどさ……、ああ……、うん……、はぁ、わーたよ。」

 どこか疲れた顔をする北斗に私はただ黙って見る事しか出来なかった。

「うん……ああ………っ!うっせっ!この馬鹿姉貴っ!」

 勢いで電話切った北斗に私はようやく話しかける。

「北斗、大丈夫?」
「………大丈夫じゃないけど、大丈夫だ。」
「どっちよ。」
「はぁ……。」

 溜息を零し北斗はジッと私を見る。

「何かついている?」
「いや。」
「なら、何で見つめるの?」
「……。」

 私の言葉に僅かに北斗は顔を赤らめる。

「いや……。」

 何も説明しない北斗に私は肩を竦める。

「話したくないのなら仕方ないね。」
「……。」
「で、お姉さん何を言っていたの?」
「ああ。」

 北斗は何を思い出したのか、額に手を当てた。

「本当はあんまり外部の人間には離してはいけないんだけどな…そうも言ってられねぇから話すが、姉貴には予知能力があるんだ。」
「えっ?」

 予想もしていない言葉に私の口から間の抜けた言葉が飛び出る。

「まあ、予知と言っても姉貴曰く人には様々な分岐点が合って、どのような道に行くかはその人次第なんだと。
 そんでもって、姉貴はその数多ある分岐点の先をランダムに見る事が出来るんだが、今回は何故だか複数の分岐点が見え、その上、様々な人の方向性が見えた。
 姉貴はそれを姉貴のダチに話してそれじゃ、ゲームにしよう、という話になって姉貴の予知した未来がゲームという形で世間に出回っているらしい。」
「えっ!それって、いいわけっ!」
「いいわけが、あるかよ。」

 不機嫌な顔をする北斗に私は苦笑いを浮かべる。

「姉貴は予知する事は出来るけど、いくつか条件があるんだ。
 一つは自分や身内の事は見れない事。
 一つは予知した内容を直接はその予知した関係者に話せない事。
 一つは……まあ、これはいいな。」

 私は北斗の言葉をゆっくりと咀嚼して、ふと、疑問を抱く。

「ちょっと待って。」
「何だ?」
「身内の事を見れないのに、何でお姉さんは北斗の事を見れたの?」
「それは抜け道だな。」
「抜け道?」
「ああ、姉貴が予知した事はこの学校で起きる事、だったから。」
「……つまり、「学校」で起きる事を見たからたまたま、そこに身内の北斗が入り込んでいたとう事?」
「そうだ。それで、姉貴も人の子だったから、その夢の事を何とか俺に知らせたかった、でも、直接関係者には話せない。」
「直接じゃなければ、いいという事で、ゲームという形でそれを知らせようとした。」
「まあな、でも、知らせる気があるのなら何で俺が全く手を出さないものにしたのか、そこだけは分からないがな。」

 北斗の言葉に私は苦笑する。

「でも、良いお姉さんだね。」
「なんとも言えないな。」
「ふふふ。」

 私は北斗の表情を見て思わず笑った。
 彼は憮然としたような顔をしているが、その耳は若干照れているのか赤くなっている。
 可愛い所があるな、と思い、私はニッコリと北斗に笑いかける。

「何だよ。」
「何でもありませーん。」
「……。」

 明らかに楽しんでいる私に彼は半眼になっている。

 でも、あんまり怖くないかも。

「そう言えば。」
「何だよ。」
「入学式大丈夫?」
「やべっ!」

 私の言葉に北斗は顔を真っ青にさせる。

「忘れてた。」
「あー…頑張って。」
「お前、他人事だと思って。」
「だって、思いっきり他人事ですから。」
「くそっ!」

 悪態を吐きながら私を睨む北斗だったが、その時間も惜しいと思ったのか、何も言わずに駆け出した。

「……。」

 北斗の背中を見ながら寂しさの波が押し寄せて来た。
 そんな寂しさの海に沈みかけた私に北斗はわざわざ振り返ってくれた。

「おい、スピカっ!」
「えっ?」
「終わったら来るから、どっか行くんじゃねぇぞ。」
「――っ!」

 私はまるで、その力強い腕に引き上げられたかのように気分が浮上する。

「待っているから、絶対に来てね。」
「ああっ!」

 立ち去る北斗に私はギュッと胸の中を掴まれたような痛みを感じながら、見送った。
 それは寂しさからではなく、ずっと、ずっと、甘いもののように思いながらも、私はそれを認めようとしなかった。
 だって…無駄な感情だから、無意識に私は分からないふりをしていた。
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