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第二章
植え付けられていた破壊衝動
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目が覚めたら何故か拘束されていた。
「これはなんですか、金剛。」
「……。」
「……。」
「……。」
『……。』
何故か三人と一頭は私を見つめている。
一体何なんだろう。
私は最後の記憶を探る。
そう言えば、私はシャドードラゴンと戦っていた。
皆が無事と言う事は倒せたのだろうが、一体何が起こったのだろう。
「シャドードラゴンは金剛が倒したのですか?」
「えっ、覚えてないのか?」
「……。」
金剛の反応を見ればどうやら違うようだ。
他の二人と一頭を見るが、彼らのはずはないだろう。
という事は、私なのだろう。
目を閉じて最後の記憶を拾い出す。
砂を掬うように丁寧に記憶の欠片を掬う。
何か冷たいものが私の中で反応を示した。
そして、泣き顔のセラフィナイトが浮かんだ。
「会いたい…。」
「誰にだ?」
どうやら勝手に口が動いていたみたいで金剛が問うてきた。
「セラフィナイトよ。」
「ああ、あの赤子か。」
「もう赤ちゃんじゃないわ。」
「お姫さんによく似てたから別嬪さんに育ったんだろうな。」
「私に似ているとは思わないけど、とても美人さんに育っているわ、まだ可愛い分類だけど、きっと綺麗な顔立ちに育つわ。」
「…………お姫さん見かけによらず、親ばかなんだな。」
「いいえ、事実を言っているだけよ。」
「……。」
金剛は何とも言えない顔で嵐牙を見る。
「あの、ペリドットさんが正気だと分かったんですから縄を離していただけませんか?」
「どうだろうまた、襲い掛かってきても知らないよ。」
「クォーツさん、何を言っているんですか。」
「事実だろう。」
「……。」
どうやら私はやらかしてしまったようだ。
話の内容からして私は彼らに襲い掛かったのだろうか、それにしては私も彼らも怪我がない。
治癒の能力を使った形跡もないのでそんなに酷くは争っていないとは思いたいが、周りが悲惨すぎるので何とも言えない。
さて、私は一体何をやらかしたのだろうか。
考えても仕方ないので、動くことにした。
「お願い。」
私の一言で精霊は動いてくれる。
火花が散って私の手を縛っていた縄が焼き千切れる。
「げっ。」
「ちっ!」
私の行動を見て金剛は顔を引きつらせ、クォーツは舌打ちをして剣の柄に手をかける。
一方、コーラルと嵐牙はじっと私を凪いだ目で見ていた。
「展開。」
この周辺一帯に術を展開するための陣を描く。
金剛とクォーツは一気に私に襲い掛かってくる。
「駄目ぇぇぇっ!」
コーラルの悲鳴と共に二人は同時に私に攻撃を仕掛けようとするが、私はそれを素手で押さえる。
「なっ!」
「くそ、素手だとっ!」
驚く二人を無視して私はこの場の記憶を精霊たちを通して視る。
能力を使えばもっと色々な事を調べる事が出来るだろうけれども、それをしてしまうとしばらく動けなくなってしまうので、負担は少し軽いけれども時間はかかるこちらを選択した。
「………………。」
シャドードラゴンを殺ったのは、どうやら私だ。
だけど、私にはその記憶はない。
それに、精霊の目から見ると先ほどの私には黒い何かが纏っていた。
だけど、苦しみ倒れる間にそれは払われるように私から離れ、散り散りになって消えて行った。
あまりよくないものとまでしか分からないそれに私は何とも言えない気持ちになる。
分からないことだらけにため息を一つ零す。
「おい。」
「あら?」
不機嫌がそのまま服を着ているようなクォーツが私の真正面に居る事に不思議に思うが、すぐに先ほど何があったか思い出す。
「ごめんなさいね。」
私はあっさりと二人の武器を離し、身を引く。
「強い、強いと分かっていたが、その細腕で攻撃を受け止めるのかよ。」
「お姫さん、素手で受け止めたのに手のひらに怪我一つないなんてマジありえないんだけど。」
「あ、あのっ!」
全身を震わせ、コーラルは必死にこちらを訴えいるように見ている。
「どうしたの?」
「ペリドットさん、体は大丈夫ですか?」
「ええ、何ともないわ。」
「よかったです。」
コーラルは笑みを浮かべたと思ったとたん一粒の涙を零した。
「あ、あれ?」
頬を伝った涙は一粒零れた事によって、それはとめどなく流れる。
コーラルは必死でそれを手で拭うが止まる事はなかった。
私はポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出す。
「これを使って。」
「えっ、でも…。」
コーラルは戸惑いを見せるが、私は手を引く事はなしなかった。
「……ありがとうございます。」
はにかみながらコーラルは私からハンカチを受け取る。
さて、こちらは終わったけれども、殺気を放っていた二人は。
そう考えて振り返ると何故か二人は脱力していた。
「何があったの?」
「お姫さんが本当に正気何だと分かってホッとしてんだよ。」
「見たらわかると思いますけど。」
「油断させて殺されたくないからな。」
「そうですか。」
クォーツの言葉は理解は出来たので私はこれ以上何も言う事はなかった。
平穏が訪れたのに体が油断したのか、誰かのお腹の音が大きく響いたのだった。
「これはなんですか、金剛。」
「……。」
「……。」
「……。」
『……。』
何故か三人と一頭は私を見つめている。
一体何なんだろう。
私は最後の記憶を探る。
そう言えば、私はシャドードラゴンと戦っていた。
皆が無事と言う事は倒せたのだろうが、一体何が起こったのだろう。
「シャドードラゴンは金剛が倒したのですか?」
「えっ、覚えてないのか?」
「……。」
金剛の反応を見ればどうやら違うようだ。
他の二人と一頭を見るが、彼らのはずはないだろう。
という事は、私なのだろう。
目を閉じて最後の記憶を拾い出す。
砂を掬うように丁寧に記憶の欠片を掬う。
何か冷たいものが私の中で反応を示した。
そして、泣き顔のセラフィナイトが浮かんだ。
「会いたい…。」
「誰にだ?」
どうやら勝手に口が動いていたみたいで金剛が問うてきた。
「セラフィナイトよ。」
「ああ、あの赤子か。」
「もう赤ちゃんじゃないわ。」
「お姫さんによく似てたから別嬪さんに育ったんだろうな。」
「私に似ているとは思わないけど、とても美人さんに育っているわ、まだ可愛い分類だけど、きっと綺麗な顔立ちに育つわ。」
「…………お姫さん見かけによらず、親ばかなんだな。」
「いいえ、事実を言っているだけよ。」
「……。」
金剛は何とも言えない顔で嵐牙を見る。
「あの、ペリドットさんが正気だと分かったんですから縄を離していただけませんか?」
「どうだろうまた、襲い掛かってきても知らないよ。」
「クォーツさん、何を言っているんですか。」
「事実だろう。」
「……。」
どうやら私はやらかしてしまったようだ。
話の内容からして私は彼らに襲い掛かったのだろうか、それにしては私も彼らも怪我がない。
治癒の能力を使った形跡もないのでそんなに酷くは争っていないとは思いたいが、周りが悲惨すぎるので何とも言えない。
さて、私は一体何をやらかしたのだろうか。
考えても仕方ないので、動くことにした。
「お願い。」
私の一言で精霊は動いてくれる。
火花が散って私の手を縛っていた縄が焼き千切れる。
「げっ。」
「ちっ!」
私の行動を見て金剛は顔を引きつらせ、クォーツは舌打ちをして剣の柄に手をかける。
一方、コーラルと嵐牙はじっと私を凪いだ目で見ていた。
「展開。」
この周辺一帯に術を展開するための陣を描く。
金剛とクォーツは一気に私に襲い掛かってくる。
「駄目ぇぇぇっ!」
コーラルの悲鳴と共に二人は同時に私に攻撃を仕掛けようとするが、私はそれを素手で押さえる。
「なっ!」
「くそ、素手だとっ!」
驚く二人を無視して私はこの場の記憶を精霊たちを通して視る。
能力を使えばもっと色々な事を調べる事が出来るだろうけれども、それをしてしまうとしばらく動けなくなってしまうので、負担は少し軽いけれども時間はかかるこちらを選択した。
「………………。」
シャドードラゴンを殺ったのは、どうやら私だ。
だけど、私にはその記憶はない。
それに、精霊の目から見ると先ほどの私には黒い何かが纏っていた。
だけど、苦しみ倒れる間にそれは払われるように私から離れ、散り散りになって消えて行った。
あまりよくないものとまでしか分からないそれに私は何とも言えない気持ちになる。
分からないことだらけにため息を一つ零す。
「おい。」
「あら?」
不機嫌がそのまま服を着ているようなクォーツが私の真正面に居る事に不思議に思うが、すぐに先ほど何があったか思い出す。
「ごめんなさいね。」
私はあっさりと二人の武器を離し、身を引く。
「強い、強いと分かっていたが、その細腕で攻撃を受け止めるのかよ。」
「お姫さん、素手で受け止めたのに手のひらに怪我一つないなんてマジありえないんだけど。」
「あ、あのっ!」
全身を震わせ、コーラルは必死にこちらを訴えいるように見ている。
「どうしたの?」
「ペリドットさん、体は大丈夫ですか?」
「ええ、何ともないわ。」
「よかったです。」
コーラルは笑みを浮かべたと思ったとたん一粒の涙を零した。
「あ、あれ?」
頬を伝った涙は一粒零れた事によって、それはとめどなく流れる。
コーラルは必死でそれを手で拭うが止まる事はなかった。
私はポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出す。
「これを使って。」
「えっ、でも…。」
コーラルは戸惑いを見せるが、私は手を引く事はなしなかった。
「……ありがとうございます。」
はにかみながらコーラルは私からハンカチを受け取る。
さて、こちらは終わったけれども、殺気を放っていた二人は。
そう考えて振り返ると何故か二人は脱力していた。
「何があったの?」
「お姫さんが本当に正気何だと分かってホッとしてんだよ。」
「見たらわかると思いますけど。」
「油断させて殺されたくないからな。」
「そうですか。」
クォーツの言葉は理解は出来たので私はこれ以上何も言う事はなかった。
平穏が訪れたのに体が油断したのか、誰かのお腹の音が大きく響いたのだった。
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