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第二章
協力者
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「さて、これからどうしましょうか?」
「……。」
「あのー、教員の騎士方にお知らせに行くのはどうですか?」
おずおずとコーラルは提案をするけれど、それは現実的ではないだろう。
「無理だな。」
「ええ。」
「何でですか?」
「一つ、こんな無滑稽な話をあいつらが信じると思うか?」
「信じるんじゃないですか?」
「……コーラルさん、気づいてないのですか?
この場所は教員の騎士たちの管轄から離れております。」
「えっ?」
「元々これ以上近寄るなという範囲内が規定されております。」
「何だよ、それ。」
「えっ、何で、ペリドットさんが知っているんですか?」
「昨日調べている時に、ある声を拾いました。
『あいつら絶対に奥の奥まで言っているよ。』
『いい気味、それにあいつらにワザと注意書きの紙を回さなかったんだしな。』
『違反してさっさと出て行けばいいのにな。』
まあ、他にも色々ありましたし、気を利かせてくれた精霊たちがその紙の内容を教えてくれましたしね。」
「お前、本当に人間か?」
「……。」
クォーツの言葉に私は沈黙する。
「クォーツさん、何酷い事を言っているんですかっ!」
何故かクォーツの言葉にコーラルが憤慨している。
「ペリドットさんは普通のごく普通の女の子ですっ!」
「どこが普通だよ。」
「普通ですよ、そりゃ、綺麗で、しっかり者で、ジェダイドさんという人のお嫁さんで、セラフィナイトちゃんという娘さんがいるごくごく普通のお母さんです。」
「……………………おい、待て。」
「何ですか?」
「今、色々可笑しい言葉が飛び交っただろう。」
「そうですか?」
「……お前結婚しているのか?」
「いえ、しておりません。」
「だよな…。」
「でも、我が子のようなセラフィナイトがいるのは事実ですけど。」
「はあ?って、我が子のような。」
「はい、私が生んだわけではありませんが、あの子は私を母だと思い、慕ってくれていますから。」
「……なんか、お前もお前で複雑何だな。」
どこか同情的な目を向けられ、私は首を傾げる。
「まあ、複雑といえば複雑ですが、それを受け入れているのは私ですから。」
「……。」
「さて、話を戻しましょう。」
私はこれ以上脱線するのはよくないと思い、手を鳴らして、気持ちを切り替える。
「教職員の騎士の……騎士の方にはお話するのは色々と危険があるので、出来るだけ早くコーラルさんのお母様にお話に行く方がいいと思います。」
「ギルドか、そうだな。」
「で、でも。」
「それに、こんな森の中でこんな大々的にできる組織なんてそうそうありませんから、この件を話して無関係な人を巻き込みたくはありませんから。」
「……………。」
「そうなんですかー。」
「おい、お前さ、こいつの話を聞いてそんな返事になるかっ!」
険しい顔をしていたクォーツだったが、コーラルの言葉を聞き、頭を抱えだす。
「えっ?」
「こいつは明らかに騎士団を疑っている言葉を言っただろうがっ!」
「えっ、えっ、えっ!」
クォーツの言葉に見事に狼狽えるコーラルに私は苦笑をする。
「そ、そうなんですか?」
「どうなんでしょうね。」
「………あんたさ、こんな爆弾を落としといて何も話さないとかねぇんじゃねぇか?」
「……さらりと無視をすればいいんじゃないですか?」
「はっ、面白そうな話に食いついてやろうと思っているのに、何を言ってるんだか。」
「そうですか、でしたら、貴方の秘密を一つ教えて下さるとうれしいですけど。」
「なるほどな。」
「そうすれば、貴方の疑問の一つくらいでしたらお話しますね。」
「ふーん、言いきってくれるんだな。」
「ええ、ここで生き残るのは多分一人では厳しいと思いますので、巻き込める人がいたら遠慮しないようにしようと思いまして。」
「ふーん、こんな問題児でもいいわけだな。」
「あっ、自分の事を問題児だと認めました。」
「おい、てめぇは黙ってろっ!」
クォーツの言葉に思わず反応してしまったコーラルは彼に睨まれると体を小さくさせる。
「コーラルさん、ここから話す話は危険を伴います、席を外していただけませんか?」
「いいえ、聞きます。」
コーラルはしっかりとした目で私を見つめ、そして、正座をして聞く姿勢を取った。
「それでは、私が知っている事を一部分だけお話しましょう。」
こうして、私は仲間を手に入れた。
「……。」
「あのー、教員の騎士方にお知らせに行くのはどうですか?」
おずおずとコーラルは提案をするけれど、それは現実的ではないだろう。
「無理だな。」
「ええ。」
「何でですか?」
「一つ、こんな無滑稽な話をあいつらが信じると思うか?」
「信じるんじゃないですか?」
「……コーラルさん、気づいてないのですか?
この場所は教員の騎士たちの管轄から離れております。」
「えっ?」
「元々これ以上近寄るなという範囲内が規定されております。」
「何だよ、それ。」
「えっ、何で、ペリドットさんが知っているんですか?」
「昨日調べている時に、ある声を拾いました。
『あいつら絶対に奥の奥まで言っているよ。』
『いい気味、それにあいつらにワザと注意書きの紙を回さなかったんだしな。』
『違反してさっさと出て行けばいいのにな。』
まあ、他にも色々ありましたし、気を利かせてくれた精霊たちがその紙の内容を教えてくれましたしね。」
「お前、本当に人間か?」
「……。」
クォーツの言葉に私は沈黙する。
「クォーツさん、何酷い事を言っているんですかっ!」
何故かクォーツの言葉にコーラルが憤慨している。
「ペリドットさんは普通のごく普通の女の子ですっ!」
「どこが普通だよ。」
「普通ですよ、そりゃ、綺麗で、しっかり者で、ジェダイドさんという人のお嫁さんで、セラフィナイトちゃんという娘さんがいるごくごく普通のお母さんです。」
「……………………おい、待て。」
「何ですか?」
「今、色々可笑しい言葉が飛び交っただろう。」
「そうですか?」
「……お前結婚しているのか?」
「いえ、しておりません。」
「だよな…。」
「でも、我が子のようなセラフィナイトがいるのは事実ですけど。」
「はあ?って、我が子のような。」
「はい、私が生んだわけではありませんが、あの子は私を母だと思い、慕ってくれていますから。」
「……なんか、お前もお前で複雑何だな。」
どこか同情的な目を向けられ、私は首を傾げる。
「まあ、複雑といえば複雑ですが、それを受け入れているのは私ですから。」
「……。」
「さて、話を戻しましょう。」
私はこれ以上脱線するのはよくないと思い、手を鳴らして、気持ちを切り替える。
「教職員の騎士の……騎士の方にはお話するのは色々と危険があるので、出来るだけ早くコーラルさんのお母様にお話に行く方がいいと思います。」
「ギルドか、そうだな。」
「で、でも。」
「それに、こんな森の中でこんな大々的にできる組織なんてそうそうありませんから、この件を話して無関係な人を巻き込みたくはありませんから。」
「……………。」
「そうなんですかー。」
「おい、お前さ、こいつの話を聞いてそんな返事になるかっ!」
険しい顔をしていたクォーツだったが、コーラルの言葉を聞き、頭を抱えだす。
「えっ?」
「こいつは明らかに騎士団を疑っている言葉を言っただろうがっ!」
「えっ、えっ、えっ!」
クォーツの言葉に見事に狼狽えるコーラルに私は苦笑をする。
「そ、そうなんですか?」
「どうなんでしょうね。」
「………あんたさ、こんな爆弾を落としといて何も話さないとかねぇんじゃねぇか?」
「……さらりと無視をすればいいんじゃないですか?」
「はっ、面白そうな話に食いついてやろうと思っているのに、何を言ってるんだか。」
「そうですか、でしたら、貴方の秘密を一つ教えて下さるとうれしいですけど。」
「なるほどな。」
「そうすれば、貴方の疑問の一つくらいでしたらお話しますね。」
「ふーん、言いきってくれるんだな。」
「ええ、ここで生き残るのは多分一人では厳しいと思いますので、巻き込める人がいたら遠慮しないようにしようと思いまして。」
「ふーん、こんな問題児でもいいわけだな。」
「あっ、自分の事を問題児だと認めました。」
「おい、てめぇは黙ってろっ!」
クォーツの言葉に思わず反応してしまったコーラルは彼に睨まれると体を小さくさせる。
「コーラルさん、ここから話す話は危険を伴います、席を外していただけませんか?」
「いいえ、聞きます。」
コーラルはしっかりとした目で私を見つめ、そして、正座をして聞く姿勢を取った。
「それでは、私が知っている事を一部分だけお話しましょう。」
こうして、私は仲間を手に入れた。
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