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第二章
探る
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両手を大きく広げる。
森のいる精霊。
風に潜む精霊。
水辺にいる精霊。
あたたかな炎に隠れる精霊。
彼らに私は声をかける。
多くの情報が私の中に入り込む。
まるで砂漠の中で一粒の砂金を見つけるくらいの負荷が私の中でかかる。
「もっと…。」
見落としのないように私は彼らの情報を捌く。
その中にようやく私が欲しかった情報が入り込む。
まず、ここに居るべきはずのないあの獣たちはやはり、人の手で連れてこられたようだった。
いや、どちらかと言えば召喚術の一種で呼び出されたと言えばいいのだろうか。
そして、呼びだす際の陣に何かを仕込み、獣が召喚されたと同時にそれらは抵抗し、命を落としているようだった。
それは一月前ほどから行われているようで、最初は小さな獣だったが、最近では大きな獣が召喚されている。
「……。」
精霊たちはその陣を私の脳裏に教えてくれる。
「……――っ!」
最初はただの陣に思えた。
だけど、私は違和感を覚え、じっくりと自分の記憶を探ると「前」と今の記憶で該当するものがあった。
それは前では「自分」が作られた陣であり、今回はセラフィナイトが作られた陣だった。
ただ、よくよく見れば違う箇所があるが大まかに見ればかなり似通っていた。
つまりは今回のこの騒動を起こしているのはジェダイドを誘拐した連中と繋がっている事だ。
何としても深い情報が欲しい所だけれども、精霊たちの持ってきてくれているものではこれ以上分かるようなものはなかった。
視界が歪み、私の脚から力が抜ける。
「ペリドットさんっ!」
「おい、大丈夫か。」
私が膝をついた事で二人は心配そうに駆け寄ってきた。
「大丈夫です。」
「……。」
「……。」
何とかそう絞り出して言うと二人は表情を曇らせる。
「早速ですけれども――。」
「今は休め。」
「そうですよ、顔色悪いですよっ!」
「平気です、このくらいでしたら座っていれば。」
「……ちっ、強情だな。」
「お願いですから、休んでください。」
私が居住まいを正そうとすると、何故かクォーツは舌打ちをして、コーラルは泣きそうな顔で私を止める。
「ですが。」
「どうせ今すぐ聞かないと死んでしまうつー訳じゃないんだろう?」
「ええ、それは。」
「だったら、別に問題ない。」
「ですが。」
「いいか、お前に倒れられた方が何倍も迷惑なんだよ。」
「ですから、この程度では倒れません。」
「そんな青白いかをしていて信用できるかよ。」
「本当に大丈夫です、今回は範囲を最大限まで広げましたが、三日くらいぶっ通しても気絶しませんでしたから。」
「てめぇの大丈夫の基準は気絶するか、しないかなのかっ!」
「ええ、そうですね、気絶するという事は精神的にも肉体的にも限界が着た状態ですので。」
「……。」
「……。」
私の言葉を聞いて二人は何故か口を大きく開けている。
「何か可笑しな事を言いましたか?」
「お前狂ってるな。」
「そうでしょうか。」
「ペリドットさん、流石にそれはないですよ。」
「……。」
「取り敢えず、お前は休め、ついでにそっちの泣き虫もさっさと休め、んで、次に見張るのはどちらかで、最後にどっちかが見張ればいいだろう。」
「でしたら、私が真ん中を務めますね。」
「……。」
「だったら、わたしが最後ですね。」
何故か私たちのやり取りを見てクォーツは頭を抱えている。
「本当にお前ってバカじゃねぇの。」
「何がですか?」
「早死にしたいのか?」
「いいえ、今は死ぬ気はありませんよ。」
「……。」
「ペリドットさん?」
私の言葉に何か引っかかりを覚えたのか、二人は怪訝な顔で私を見てくる。
「先に休ませていただきますね。」
「ああ。」
「えっと、おやすみなさい?」
私は寝袋を用意し、さっさと横たわる。
二人が何を思っているのか、何を考えているのか私はあえて目を瞑った。
森のいる精霊。
風に潜む精霊。
水辺にいる精霊。
あたたかな炎に隠れる精霊。
彼らに私は声をかける。
多くの情報が私の中に入り込む。
まるで砂漠の中で一粒の砂金を見つけるくらいの負荷が私の中でかかる。
「もっと…。」
見落としのないように私は彼らの情報を捌く。
その中にようやく私が欲しかった情報が入り込む。
まず、ここに居るべきはずのないあの獣たちはやはり、人の手で連れてこられたようだった。
いや、どちらかと言えば召喚術の一種で呼び出されたと言えばいいのだろうか。
そして、呼びだす際の陣に何かを仕込み、獣が召喚されたと同時にそれらは抵抗し、命を落としているようだった。
それは一月前ほどから行われているようで、最初は小さな獣だったが、最近では大きな獣が召喚されている。
「……。」
精霊たちはその陣を私の脳裏に教えてくれる。
「……――っ!」
最初はただの陣に思えた。
だけど、私は違和感を覚え、じっくりと自分の記憶を探ると「前」と今の記憶で該当するものがあった。
それは前では「自分」が作られた陣であり、今回はセラフィナイトが作られた陣だった。
ただ、よくよく見れば違う箇所があるが大まかに見ればかなり似通っていた。
つまりは今回のこの騒動を起こしているのはジェダイドを誘拐した連中と繋がっている事だ。
何としても深い情報が欲しい所だけれども、精霊たちの持ってきてくれているものではこれ以上分かるようなものはなかった。
視界が歪み、私の脚から力が抜ける。
「ペリドットさんっ!」
「おい、大丈夫か。」
私が膝をついた事で二人は心配そうに駆け寄ってきた。
「大丈夫です。」
「……。」
「……。」
何とかそう絞り出して言うと二人は表情を曇らせる。
「早速ですけれども――。」
「今は休め。」
「そうですよ、顔色悪いですよっ!」
「平気です、このくらいでしたら座っていれば。」
「……ちっ、強情だな。」
「お願いですから、休んでください。」
私が居住まいを正そうとすると、何故かクォーツは舌打ちをして、コーラルは泣きそうな顔で私を止める。
「ですが。」
「どうせ今すぐ聞かないと死んでしまうつー訳じゃないんだろう?」
「ええ、それは。」
「だったら、別に問題ない。」
「ですが。」
「いいか、お前に倒れられた方が何倍も迷惑なんだよ。」
「ですから、この程度では倒れません。」
「そんな青白いかをしていて信用できるかよ。」
「本当に大丈夫です、今回は範囲を最大限まで広げましたが、三日くらいぶっ通しても気絶しませんでしたから。」
「てめぇの大丈夫の基準は気絶するか、しないかなのかっ!」
「ええ、そうですね、気絶するという事は精神的にも肉体的にも限界が着た状態ですので。」
「……。」
「……。」
私の言葉を聞いて二人は何故か口を大きく開けている。
「何か可笑しな事を言いましたか?」
「お前狂ってるな。」
「そうでしょうか。」
「ペリドットさん、流石にそれはないですよ。」
「……。」
「取り敢えず、お前は休め、ついでにそっちの泣き虫もさっさと休め、んで、次に見張るのはどちらかで、最後にどっちかが見張ればいいだろう。」
「でしたら、私が真ん中を務めますね。」
「……。」
「だったら、わたしが最後ですね。」
何故か私たちのやり取りを見てクォーツは頭を抱えている。
「本当にお前ってバカじゃねぇの。」
「何がですか?」
「早死にしたいのか?」
「いいえ、今は死ぬ気はありませんよ。」
「……。」
「ペリドットさん?」
私の言葉に何か引っかかりを覚えたのか、二人は怪訝な顔で私を見てくる。
「先に休ませていただきますね。」
「ああ。」
「えっと、おやすみなさい?」
私は寝袋を用意し、さっさと横たわる。
二人が何を思っているのか、何を考えているのか私はあえて目を瞑った。
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