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第二章
休憩
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「よし、こんなもんか。」
クォーツは慣れた手つきで一角ウサギの血抜きを済ませている。
「おい、こいつはどうする?」
「そうですね、そろそろ野宿の準備を始めましょう、そちらのウサギは今日の夕食にでもしましょうか。」
「……貴族のお嬢様が料理なんかできるのかよ。」
「……。」
クォーツの言葉に私は微苦笑を浮かべていると。
「大丈夫ですよっ!」
「何がだよ。」
「ペリドットさんの手料理は美味しいですっ!」
「食った事があるのかよ。」
「はい、何年か前のお話ですけれども、本当においしかったんです。」
「……。」
「あれからだいぶと経っているので、きっと料理の腕も上がっているのではないでしょうか。」
「そこまで褒めてもらうほどの腕前ではないと思うけれども、食べれない事はないと思うわ。」
「……。」
クォーツは何とも言えない顔をしていたが、大人しく私にウサギの肉を渡す。
「黒焦げにすんなよ。」
「ええ、大事に調理させてもらうわ。」
私はひとまず近くにあった大きな葉をちぎり、ウサギの肉をくるむ。
「取り敢えず今は休めるような場所を探しましょう?」
「ああ。」
「はいっ!」
私の言葉に二人は頷いてくれた。
そして、クォーツ、コーラル、私の順で進み始める。
しばらく歩いていると、精霊たちが囁いてくる。
近くに良い場所があるよ。
小川があるよ。
私はその声に耳を傾け、前を歩くクォーツに言う。
最初こそ疑っていた彼だったが、私の言うとおりになると、だんだん信じてくれるようになってくれた。
そして、今回ももう少し進むと休めるような場所があるというのと、近くに小川があるので水を補充するように言う。
しばらく進むと精霊たちが言ってくれた通り丁度いい休めるスペースがあった。
「今日はここで野宿ね。」
「ああ、取り敢えず水を汲んでくる。」
「ええ、お願いします。」
「えっと、わたしは。」
「コーラルさんはここで荷物を見ていてくれるかしら、私は近くで枝と食べられる植物、後、調味料になる植物を探してくるわ。」
「えっ、でも。」
「荷物を持ったままだと動きにくいの。」
「分かりました。」
しゅんとしおれているコーラルには悪いけれども、彼女の脚は彼女が思っているほどよくはないだろう。
しばらく休んでいるときっと痛みがあるだろし、後で診てあげる必要があるだろうと私は思った。
「よろしくお願いしますね。」
「はい、ペリドットさんたちも気を付けてくださいね。」
「鈍くさいお前と違う。」
「コーラルさんももし何かありました指笛を鳴らしてくださいね。」
「はい、勿論です。」
クォーツはぼそりと過保護だな、と呟き、そのまま小川のある方向に歩いていく。
私は彼とは反対方向に向かって歩き出す。
しばらく歩いていると、目当てのキノコや木の実を見つける。
「……穴場ね。」
私はほくほくとしながら必要な物だけを摘み取っていく。
「……。」
ポキリと何か踏んでしまい、私は足元を見るとそこには動物の白骨体があった。
「……。」
その獣はかなり大きく、私の身長よりも大きかった。
だけど、問題はそこじゃない。
「この骨って…。」
ここでは見かけないはずの緋猪の骨だった。
彼らの骨は一見普通の猪と変わらないが、その大きさと、特徴である牙が目印で、この白骨体はまさしくそれそのものだった。
今回は緋猪の牙を持ちかえればいいのだが、自分が倒したわけでもないそれを持って帰るのは気が引ける上に、ここでは絶対に狩れないそれを持ち帰っても疑われるだけなのは目に見えてわかる。
私はこれを見なかったことにしたかったが、それでも、この森の異変の事を考えると同じグループの彼れには話さなければならないと思い、ひとまず牙の骨だけを拾い上げる。
「……何も起こらなければいいのだけど。」
嫌な胸騒ぎが私の中で膨れ上がっている。
本当に何もなく三日が過ぎればいいのだけれども…。
クォーツは慣れた手つきで一角ウサギの血抜きを済ませている。
「おい、こいつはどうする?」
「そうですね、そろそろ野宿の準備を始めましょう、そちらのウサギは今日の夕食にでもしましょうか。」
「……貴族のお嬢様が料理なんかできるのかよ。」
「……。」
クォーツの言葉に私は微苦笑を浮かべていると。
「大丈夫ですよっ!」
「何がだよ。」
「ペリドットさんの手料理は美味しいですっ!」
「食った事があるのかよ。」
「はい、何年か前のお話ですけれども、本当においしかったんです。」
「……。」
「あれからだいぶと経っているので、きっと料理の腕も上がっているのではないでしょうか。」
「そこまで褒めてもらうほどの腕前ではないと思うけれども、食べれない事はないと思うわ。」
「……。」
クォーツは何とも言えない顔をしていたが、大人しく私にウサギの肉を渡す。
「黒焦げにすんなよ。」
「ええ、大事に調理させてもらうわ。」
私はひとまず近くにあった大きな葉をちぎり、ウサギの肉をくるむ。
「取り敢えず今は休めるような場所を探しましょう?」
「ああ。」
「はいっ!」
私の言葉に二人は頷いてくれた。
そして、クォーツ、コーラル、私の順で進み始める。
しばらく歩いていると、精霊たちが囁いてくる。
近くに良い場所があるよ。
小川があるよ。
私はその声に耳を傾け、前を歩くクォーツに言う。
最初こそ疑っていた彼だったが、私の言うとおりになると、だんだん信じてくれるようになってくれた。
そして、今回ももう少し進むと休めるような場所があるというのと、近くに小川があるので水を補充するように言う。
しばらく進むと精霊たちが言ってくれた通り丁度いい休めるスペースがあった。
「今日はここで野宿ね。」
「ああ、取り敢えず水を汲んでくる。」
「ええ、お願いします。」
「えっと、わたしは。」
「コーラルさんはここで荷物を見ていてくれるかしら、私は近くで枝と食べられる植物、後、調味料になる植物を探してくるわ。」
「えっ、でも。」
「荷物を持ったままだと動きにくいの。」
「分かりました。」
しゅんとしおれているコーラルには悪いけれども、彼女の脚は彼女が思っているほどよくはないだろう。
しばらく休んでいるときっと痛みがあるだろし、後で診てあげる必要があるだろうと私は思った。
「よろしくお願いしますね。」
「はい、ペリドットさんたちも気を付けてくださいね。」
「鈍くさいお前と違う。」
「コーラルさんももし何かありました指笛を鳴らしてくださいね。」
「はい、勿論です。」
クォーツはぼそりと過保護だな、と呟き、そのまま小川のある方向に歩いていく。
私は彼とは反対方向に向かって歩き出す。
しばらく歩いていると、目当てのキノコや木の実を見つける。
「……穴場ね。」
私はほくほくとしながら必要な物だけを摘み取っていく。
「……。」
ポキリと何か踏んでしまい、私は足元を見るとそこには動物の白骨体があった。
「……。」
その獣はかなり大きく、私の身長よりも大きかった。
だけど、問題はそこじゃない。
「この骨って…。」
ここでは見かけないはずの緋猪の骨だった。
彼らの骨は一見普通の猪と変わらないが、その大きさと、特徴である牙が目印で、この白骨体はまさしくそれそのものだった。
今回は緋猪の牙を持ちかえればいいのだが、自分が倒したわけでもないそれを持って帰るのは気が引ける上に、ここでは絶対に狩れないそれを持ち帰っても疑われるだけなのは目に見えてわかる。
私はこれを見なかったことにしたかったが、それでも、この森の異変の事を考えると同じグループの彼れには話さなければならないと思い、ひとまず牙の骨だけを拾い上げる。
「……何も起こらなければいいのだけど。」
嫌な胸騒ぎが私の中で膨れ上がっている。
本当に何もなく三日が過ぎればいいのだけれども…。
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