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第二章
レクリエーション
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「おい。」
「あっ。」
「……。」
不機嫌そうに私たちに話しかけてきた少年は最近騒ぎの中心にいる彼だった。
コーラルは苦手意識を持っているのか、私の後ろに隠れるように逃げる。
「何でしょうか?」
「何が何でしょうかだ、お高く留まりやがって。」
「……。」
「なっ!」
毒づく少年にコーラルは反応を示すが、少年が何だというように睨めばヒュッと彼女は引っ込む。
「ちっ!」
少年は舌打ちをしてズイッと紙を私たちの前に突き出す。
「ああ。」
「……。」
その紙は先ほどの講義の中で次回のレクリエーションの組み合わせの番号が書かれた紙だった。
そして、その紙の数字は私たちと同じ三番だった。
「よろしくお願いしますね。」
「……。」
少年は鼻を鳴らし立ち去っていく。
「何なんだったんでしょう…。」
「さあ、でも挨拶に来てくれるなんて良い人ね。」
「……。」
私の言葉にコーラルはギョッとなっているけれど、私はその言葉は心からの言葉だった。
きっと他の人だったら私たちに声をかける事無く、下手をすれば他の人にお願いして代わったりしていただろう。
なのに、あの少年は代わる事無く自分から姿を見せてくれたのだ。
だから、きっと彼は根は良い子なのだろう。
すこし言動にとげを持っているけれども…。
刹那、私の脳裏に一つの光景が流れる。
砂嵐から始まり、いくつかの場面が過ぎ去る。
少し背が高くなった少年。
剣を持ち自分たちに襲い掛かる。
そして、天を見上げながら血反吐を吐きながら静かに息を引き取った姿。
嗚呼、「彼」は自分たちが殺してしまった中の一人だったと、今更ながらに気づく。
何度も自分たちの前に現れ、幾度となく阻んできた。
だけど、最終的には殺してしまった相手だ。
ただ、彼の側にもう一人、誰かが居た気がしたが、思い出せなかった。
「ペリドットさん?」
急にぼんやりとしてしまった私をコーラルは心配そうにのぞき込む。
「今回のレクリエーションは確か五人一組だったわよね?」
「はい。」
「だとすれば、後二人いるはずだけれども。」
「来るんでしょうか?」
心配そうな顔をするコーラルに私は苦笑するしか出来なかった。
正直話を聞いた後、私は私とコーラルしか残らないと思っていた、だけど、嬉しい誤算があった。
でも、残りの二人はきっと姿を見せないだろう。
何せ、問題児が二人もいるのだから。
さてさて、どうなる事やら。
「ペリドットさん?」
「次の講義に送れてしまうわね、行きましょうか。」
「はい。」
私たちは少し速足で次の教室に向かった。
「あっ。」
「……。」
不機嫌そうに私たちに話しかけてきた少年は最近騒ぎの中心にいる彼だった。
コーラルは苦手意識を持っているのか、私の後ろに隠れるように逃げる。
「何でしょうか?」
「何が何でしょうかだ、お高く留まりやがって。」
「……。」
「なっ!」
毒づく少年にコーラルは反応を示すが、少年が何だというように睨めばヒュッと彼女は引っ込む。
「ちっ!」
少年は舌打ちをしてズイッと紙を私たちの前に突き出す。
「ああ。」
「……。」
その紙は先ほどの講義の中で次回のレクリエーションの組み合わせの番号が書かれた紙だった。
そして、その紙の数字は私たちと同じ三番だった。
「よろしくお願いしますね。」
「……。」
少年は鼻を鳴らし立ち去っていく。
「何なんだったんでしょう…。」
「さあ、でも挨拶に来てくれるなんて良い人ね。」
「……。」
私の言葉にコーラルはギョッとなっているけれど、私はその言葉は心からの言葉だった。
きっと他の人だったら私たちに声をかける事無く、下手をすれば他の人にお願いして代わったりしていただろう。
なのに、あの少年は代わる事無く自分から姿を見せてくれたのだ。
だから、きっと彼は根は良い子なのだろう。
すこし言動にとげを持っているけれども…。
刹那、私の脳裏に一つの光景が流れる。
砂嵐から始まり、いくつかの場面が過ぎ去る。
少し背が高くなった少年。
剣を持ち自分たちに襲い掛かる。
そして、天を見上げながら血反吐を吐きながら静かに息を引き取った姿。
嗚呼、「彼」は自分たちが殺してしまった中の一人だったと、今更ながらに気づく。
何度も自分たちの前に現れ、幾度となく阻んできた。
だけど、最終的には殺してしまった相手だ。
ただ、彼の側にもう一人、誰かが居た気がしたが、思い出せなかった。
「ペリドットさん?」
急にぼんやりとしてしまった私をコーラルは心配そうにのぞき込む。
「今回のレクリエーションは確か五人一組だったわよね?」
「はい。」
「だとすれば、後二人いるはずだけれども。」
「来るんでしょうか?」
心配そうな顔をするコーラルに私は苦笑するしか出来なかった。
正直話を聞いた後、私は私とコーラルしか残らないと思っていた、だけど、嬉しい誤算があった。
でも、残りの二人はきっと姿を見せないだろう。
何せ、問題児が二人もいるのだから。
さてさて、どうなる事やら。
「ペリドットさん?」
「次の講義に送れてしまうわね、行きましょうか。」
「はい。」
私たちは少し速足で次の教室に向かった。
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