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第二章
図書館
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「す、凄いです。」
「……。」
感嘆の声を上げるコーラルの声を聴きながら、私も心の中ではかなり驚いている。
前に訪れた図書館よりもずっと本の数は少ないけれども、それでも、十分すぎるほどの本がここにはあった。
「ペリドットさんはどんな本を読まれるんですか?」
「そうね、せっかくだから軍記とかあったら嬉しいわね。」
「……いっぱいありすぎて分からないですね。」
「今日は色々見て回りましょう?どうせお昼休みは短いから。」
「そうですね。」
私たちはゆっくりと図書館を見て回る。
古い紙の臭い。
インクの臭い。
私はワクワクしながら本棚を眺める。
「難しそうな文字ばっかりです。」
「ここは東にある集落の独自の文化とかの書物が多いみたいね。」
「えっ、そんな場所があるんですか?」
驚いているコーラルに私は苦笑する。
「まあ、知らなくても仕方のない話ね。」
「……。」
「私も偶然知ったのよ。」
「本当にペリドットさんは凄いです、とても自分と同じ年とは思えません。」
「そう言えば、コーラルさんって幾つ?」
「わたしですか?わたしは十四です。」
「…私は十三よ。」
「えっ、一つ下ですか?」
「そうみたいね。」
「……あっ、何月生まれですかっ!」
「五月よ、ついこの間。」
「……。」
私の答えを聞いてコーラルはひどく落ち込む。
「わたし十月生まれです。」
「あら、だったら、お祝いしましょうね。」
「わたし、二つも上です。」
「……。」
「二つもお姉さんなのに不甲斐ないです。」
コーラルの言葉を聞き私はそっと彼女から目を逸らす。
気持ち的には確かに彼女よりも年上だろう、しかし、体つきを見ても多分私たちが二つも差があるとは思わない気がした。
「……多分、今の学年だったらペリドットさんが断トツで年下ですね。」
「そうなの?」
「はい、基本的に十四から十六当たりが入学すると聞いています。」
「規定範囲は十三だったと思うけど。」
「大昔に自分の息子さんを入学させる為に作ったみたいですけど、やはり一歳の差って大きかったみたいで、すぐに辞められたそうです。」
「……。」
「それから貴族の人は見栄を張って十三で入学させる人はまずいなくなったそうで、平民の人も十四歳くらいが多いんです。」
「そうなのね…。」
私はここで自分の年齢を馬鹿正直に言わない方がいいのだと悟った。
確実に色んなやっかみを受けるのが目に見えているのに、さらに年齢までやっかみの対象に入ってしまうのなら隠した方がいいに決まっている。
「あっ、あそこに植物の書かれた本があります。」
「……。」
コーラルはわざとらしくそう言う、会話の流れを変えたいのは分かるけど、申し訳なく思うほどバレバレだった。
それにその本は…。
「あっ、この植物見た事があります。
こっちは家の花壇にあります。
こっちの植物もお母さんの職場にたくさん植えられていますっ!」
「……。」
私は無邪気なコーラルの声を聴きながらそっと目を逸らす。
コーラルが今手ににしている本は古今東西の毒の植物の本だった。
しかも、彼女の家にある植物は麻痺毒。
ギルドにあるのは幻聴、幻覚などを引き起こす毒の植物が植えてあるそうだ。
あまり知りたくなかった情報だけれども、もしかしたら、万が一それを必要とする可能性もあるかもしれないので、こっそりと心の中でメモった。
意外にも本に載っている四分の一程度はこのエメーリエで手に入るのだと知ることが出来たのはある意味行幸だったのかもしれない。
ただ、それを使う機会に恵まれればいいのか、よくないのかは分からないけれども。
「……。」
感嘆の声を上げるコーラルの声を聴きながら、私も心の中ではかなり驚いている。
前に訪れた図書館よりもずっと本の数は少ないけれども、それでも、十分すぎるほどの本がここにはあった。
「ペリドットさんはどんな本を読まれるんですか?」
「そうね、せっかくだから軍記とかあったら嬉しいわね。」
「……いっぱいありすぎて分からないですね。」
「今日は色々見て回りましょう?どうせお昼休みは短いから。」
「そうですね。」
私たちはゆっくりと図書館を見て回る。
古い紙の臭い。
インクの臭い。
私はワクワクしながら本棚を眺める。
「難しそうな文字ばっかりです。」
「ここは東にある集落の独自の文化とかの書物が多いみたいね。」
「えっ、そんな場所があるんですか?」
驚いているコーラルに私は苦笑する。
「まあ、知らなくても仕方のない話ね。」
「……。」
「私も偶然知ったのよ。」
「本当にペリドットさんは凄いです、とても自分と同じ年とは思えません。」
「そう言えば、コーラルさんって幾つ?」
「わたしですか?わたしは十四です。」
「…私は十三よ。」
「えっ、一つ下ですか?」
「そうみたいね。」
「……あっ、何月生まれですかっ!」
「五月よ、ついこの間。」
「……。」
私の答えを聞いてコーラルはひどく落ち込む。
「わたし十月生まれです。」
「あら、だったら、お祝いしましょうね。」
「わたし、二つも上です。」
「……。」
「二つもお姉さんなのに不甲斐ないです。」
コーラルの言葉を聞き私はそっと彼女から目を逸らす。
気持ち的には確かに彼女よりも年上だろう、しかし、体つきを見ても多分私たちが二つも差があるとは思わない気がした。
「……多分、今の学年だったらペリドットさんが断トツで年下ですね。」
「そうなの?」
「はい、基本的に十四から十六当たりが入学すると聞いています。」
「規定範囲は十三だったと思うけど。」
「大昔に自分の息子さんを入学させる為に作ったみたいですけど、やはり一歳の差って大きかったみたいで、すぐに辞められたそうです。」
「……。」
「それから貴族の人は見栄を張って十三で入学させる人はまずいなくなったそうで、平民の人も十四歳くらいが多いんです。」
「そうなのね…。」
私はここで自分の年齢を馬鹿正直に言わない方がいいのだと悟った。
確実に色んなやっかみを受けるのが目に見えているのに、さらに年齢までやっかみの対象に入ってしまうのなら隠した方がいいに決まっている。
「あっ、あそこに植物の書かれた本があります。」
「……。」
コーラルはわざとらしくそう言う、会話の流れを変えたいのは分かるけど、申し訳なく思うほどバレバレだった。
それにその本は…。
「あっ、この植物見た事があります。
こっちは家の花壇にあります。
こっちの植物もお母さんの職場にたくさん植えられていますっ!」
「……。」
私は無邪気なコーラルの声を聴きながらそっと目を逸らす。
コーラルが今手ににしている本は古今東西の毒の植物の本だった。
しかも、彼女の家にある植物は麻痺毒。
ギルドにあるのは幻聴、幻覚などを引き起こす毒の植物が植えてあるそうだ。
あまり知りたくなかった情報だけれども、もしかしたら、万が一それを必要とする可能性もあるかもしれないので、こっそりと心の中でメモった。
意外にも本に載っている四分の一程度はこのエメーリエで手に入るのだと知ることが出来たのはある意味行幸だったのかもしれない。
ただ、それを使う機会に恵まれればいいのか、よくないのかは分からないけれども。
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