逆行したら別人になった

弥生 桜香

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第一章

突然の手紙

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「ジェダイド様。」
「何だ?」

 私の部屋でくつろいでいたジェダイドは執事から手紙を受け取る。

「ジェダイド、使う?」

 私はペーパーナイフを彼に差し出す。

「ありがたく使わせてもらうな。」

 ジェダイドは私からナイフを借り、手紙の封を切る。

「……。」

 手紙に目を走らせる彼に私はナイフを仕舞う為彼から離れる。

「……………はぁ。」
「どうしたの?」

 ものすごく面倒くさそうなため息に私は首を傾げる。

「ああ、友人が家に伺いたいと言っていてな。」
「そうなの?」
「ああ。」
「嫌なの?」
「お前とセラフィナイトを見せたくない。」
「粗相はしないと思うんだけど。」
「お前たちじゃなくて、あっちがな。」
「……どなた?」
「言っても分からないと思う。」

 頑なに言わないジェダイドに私は一つ提案をする。

「それだったら、その方が来る日は私とセラフィナイトは外出してようか?」
「……。」

 私の提案にジェダイドは眉間の皴を増やす。

「ジェダイド。」
「それはそれで、嫌だな。」
「…なら、お部屋でジッとしておきます。」
「……その方がいいな、俺もあいつから目を離さないようにしておくし、騎士、執事、メイドたちにも言い聞かせておく。」
「そこまでしなくても…。」

 呆れる私たが、ジェダイドは本気だった。

「いや、そこまでしても、絶対と言い切れないんだ。」
「……。」
「ほどほどにね?」
「……。」

 私の言葉にジェダイドはそっと目を逸らす。
 これはほどほどじゃなく、本気でやるのだと悟り、私は寸前の所で出そうなため息をこらえるのだった。
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