逆行したら別人になった

弥生 桜香

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第一章

いえ、待遇はそのまま……駄目ですか

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「可笑しいと思わなかったのか。」
「だって、私は招かれざる客だし。」
「んな訳ないだろう。」
「でも…。」
「いいか、着替えろ。」
「……。」

 ジェダイドは私を一睨みする。

「……私、このままでいいのに。」
「ああ?」

 ……可笑しい、少し前は少し態度の悪い貴族の御曹司みたいな感じだったのに、柄の悪い不良に退化している。

「おい、マラカイト。」
「…ふぅ。」

 思わずあの旅で彼に悪影響を与えてしまったのだと思い頬に手を置いて溜息を吐く。

「……マラカイト。」
「あら、何かしら。」
「お前何を考えていやがる。」
「何にも。」
「……。」
「そう言えば着替えって、私の元の服なんかなかったし、あったのはこのメイド服とその予備だったのだけど。」
「……。」
「それでも、何か着替えなければいけないかしら。」
「母上に相談してくる。」
「あの、私このままでいいわよ。」
「あん?」
「……………やはりダメですか。」

 私の言葉で一気に機嫌を損ねるジェダイドに私は思わず溜息を零してしまう。

「いいから、お前は自室に戻っていろ。」
「……。」
「返事は?」
「分かったわ。」

 完全に自分の家に帰って来たからか主導権を握ろうとするジェダイドに私はこっそりと溜息を零すのだった。
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