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第一章
ギルドの窓口
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私たちは門の前に立っていた衛兵の方に入る時に二人分のこの街に入る時の料金を支払った。
私はギルドに登録しているのでその時の仕事の紹介料とか中に各街に入る時の税金が含まれているので、カードを見せればそのまま入れるのだが、ジェダイドとマラカイトは持っていない為支払いが発生した。
「すまん。」
「大丈夫だよ。」
ジェダイドはお金を持っていないので、必然的に私の財布からお金を出すことになるので、彼は少し落ち込んでいる。
「仕方ない事だよ。」
「だが…。」
私は苦笑を浮かべ、そして、ギルドの前に立つと、中から感じた気配に思わず顔を顰める。
「どうかしたか?」
ジェダイドが私の表情を呼んだ事に驚きを隠せなかった、私の表情はかなり読みにくいと思う、仏頂面に近い私の表情を読めるのは、今は亡き義父、義母、マギーおばさんくらいだと思う。
今だって顰めたと言ってもほんのわずかに頬が引きつったような、そうじゃないような、そんな僅かな動きだったはずなのに、彼は気づいてしまった。
「いえ…。」
「……。」
訝しむ彼に私は何と説明をすればいいのか分からない、そう、多分このまま中に入ればジェダイドは嫌な思いをするだろう。
それは気の所為じゃないはずだ、何故か私の事に関しては怒りの感情を抱く彼は間違いなくこの後の出来事に憤慨するだろう。
だから、私は迷った。
「……。」
もし、中に入ればジェダイドが怒るだろう。
しかし、このまま彼を外で待たすのも問題がある、ここには嫌な目がないが、彼は立っているだけでも貴族だと分かるような人間だ。
そんな人がこんなギルドの前に立っていれば色々と噂が立つだろう。
そうすれば、きっと彼をさらった人たちの耳に入るだろう。
何せここは彼らのおひざ元なのだから。
「……。」
迷った末、私は彼と一緒に中に入る事にした。
もし、彼が怒ったとしても、力づくで抑え込もう、そう決意して、ギルドの入り口の扉を開けた。
中は流石エメーリエ、綺麗で清潔感が溢れている。
「さーて、コーラルちゃんたちは飲み物でも飲む?」
「あの、私は持ち物を売りたいので。」
「あっ、そんじゃ、こっちのカウンターだね、コーラルちゃんたちもう少し立っている事になるけど大丈夫?」
「うん。」
「ああ。」
二人の返事にサーリャさんはニッコリと笑う。
「うん、いい返事だね。」
私はサーリャさんが指差したカウンターに向かい、そして、買取りのギルド職員の目に辟易する。
彼は私の容姿を見て、まるで、汚らわしいものを見たような目をしている。
「いらっしゃい。」
さっさと要件を言え、と言うような目に私は溜息を零しそうになるが、そんな事をすれば間違いなく彼の態度は悪化するだろう。
だから、私は鞄から薬草を5束差し出した。
「これを買い取って欲しいのですが、よろしいでしょうか?」
「畏まりました、全部で50ルートですね。」
彼はそういうと薬草をさっさと自分の手元に置き、お金を机に置く。
「……。」
彼のこの態度に後ろから怒りの感情を読み取る。
私はこのままではよくないと思い、一応ギルド職員の方に抗議する。
「その薬草は一束400ルードのはずですけれども。」
「保存状態が悪いと判断いたしました。」
「…そうだとしても、どんなに状態が悪くても一束の100ルードはギルド規則にあったはずです、もし、それが本当に50ルードと言うのならば、50ルードはお返しいたしますので、薬草はお返しいただけないでしょうか。」
「餓鬼がなにほざいているんだ。」
低い小さな呟きに私は僅かに首を横に振った。
「何か私は間違っていましたか?」
「ああ、間違えまくりだ、わたしがそう判断したんだから、それが規則だ。」
「……。」
私があきれ果てていると、バンと目の前のカウンターをサーリャさんが叩く。
「あんた、何言っているのか分かっているのかな?」
「ああ、サーリャ様いらっしゃいませ、もしかして、こちらのお嬢様は貴方様のお連れ様でしたか、でしたら仕方ありませんね。」
私にしか分からない程度で舌打ちをするギルド職員はカウンターの上に450ルードを足す。
「これで、満足でしょうか、お嬢様。」
その眼に忌々しいという色が浮かび、私は諦めながらそれを受取ろうとしたが、サーリャさんが私の手を掴む。
「サーリャさん?」
「あんたさ、このあたしが見てもその薬草が一束500ルードする事くらい分かるのに、全部で500ルードってふざけている訳っ!」
「あ、あのサーリャさん。」
「マラカイトちゃんは黙っていて。」
「なんのことをおっしゃっておられるのか分かりかねますが、わたしはしっかりと仕事をこなしているだけですよ?それに貴方方だってわたしの買取価格は正確だと褒めていらっしゃったでしょう。」
「……。」
言った記憶があるのか苦虫を噛み潰しているようなサーリャさんに私はこれ以上は悪目立ちをしてしまうと思い、彼女の服を引っ張る。
「マラカイトちゃん。」
「これ以上は他の方々のご迷惑になってしまいます。」
「そのお嬢さんはよく分かっているようですね、これにはそんな価値がないという事でしょう。」
「……。」
唇を噛むサーリャさんに私は溜息を吐く。
「申し訳ありませんが、今回の取引はなかったころにしていただけませんか?」
「はぁ?」
「私はそれを最低でも、2000ルードで買い取っていただこうと考えておりましたので、500ルードで買い取っていただくよりも、自分で活用した方が良さそうなので。」
「この薬草で何ができるというのですか。」
「煎じて、痛み止めや解毒剤にいたします。」
「…世間知らずのお嬢さんがそんな事をなされば、薬草の無駄になりますよ?」
「練習にもなりますし。500ルードよりもずっと有意義になりますので。」
「……。」
「すみません、サーリャさんご迷惑をおかけいたしまして。」
「マラカイトちゃん……。」
「お忙しいなかお時間を取らせてしまい申し訳ございませんが、そちらはお返しいただけますか?」
「……。」
ギルド職員は薬草を見てそして、4束私に返す。
「……。」
色々言いたいが、これ以上ここにいればサーリャさんだけじゃなくジェダイドやコーラルまでも怒りを爆発してしまうと思い、大人しく薬草を鞄に入れようとした時、入り口付近からプレッシャーを感じ、思わず振り返った。
私はギルドに登録しているのでその時の仕事の紹介料とか中に各街に入る時の税金が含まれているので、カードを見せればそのまま入れるのだが、ジェダイドとマラカイトは持っていない為支払いが発生した。
「すまん。」
「大丈夫だよ。」
ジェダイドはお金を持っていないので、必然的に私の財布からお金を出すことになるので、彼は少し落ち込んでいる。
「仕方ない事だよ。」
「だが…。」
私は苦笑を浮かべ、そして、ギルドの前に立つと、中から感じた気配に思わず顔を顰める。
「どうかしたか?」
ジェダイドが私の表情を呼んだ事に驚きを隠せなかった、私の表情はかなり読みにくいと思う、仏頂面に近い私の表情を読めるのは、今は亡き義父、義母、マギーおばさんくらいだと思う。
今だって顰めたと言ってもほんのわずかに頬が引きつったような、そうじゃないような、そんな僅かな動きだったはずなのに、彼は気づいてしまった。
「いえ…。」
「……。」
訝しむ彼に私は何と説明をすればいいのか分からない、そう、多分このまま中に入ればジェダイドは嫌な思いをするだろう。
それは気の所為じゃないはずだ、何故か私の事に関しては怒りの感情を抱く彼は間違いなくこの後の出来事に憤慨するだろう。
だから、私は迷った。
「……。」
もし、中に入ればジェダイドが怒るだろう。
しかし、このまま彼を外で待たすのも問題がある、ここには嫌な目がないが、彼は立っているだけでも貴族だと分かるような人間だ。
そんな人がこんなギルドの前に立っていれば色々と噂が立つだろう。
そうすれば、きっと彼をさらった人たちの耳に入るだろう。
何せここは彼らのおひざ元なのだから。
「……。」
迷った末、私は彼と一緒に中に入る事にした。
もし、彼が怒ったとしても、力づくで抑え込もう、そう決意して、ギルドの入り口の扉を開けた。
中は流石エメーリエ、綺麗で清潔感が溢れている。
「さーて、コーラルちゃんたちは飲み物でも飲む?」
「あの、私は持ち物を売りたいので。」
「あっ、そんじゃ、こっちのカウンターだね、コーラルちゃんたちもう少し立っている事になるけど大丈夫?」
「うん。」
「ああ。」
二人の返事にサーリャさんはニッコリと笑う。
「うん、いい返事だね。」
私はサーリャさんが指差したカウンターに向かい、そして、買取りのギルド職員の目に辟易する。
彼は私の容姿を見て、まるで、汚らわしいものを見たような目をしている。
「いらっしゃい。」
さっさと要件を言え、と言うような目に私は溜息を零しそうになるが、そんな事をすれば間違いなく彼の態度は悪化するだろう。
だから、私は鞄から薬草を5束差し出した。
「これを買い取って欲しいのですが、よろしいでしょうか?」
「畏まりました、全部で50ルートですね。」
彼はそういうと薬草をさっさと自分の手元に置き、お金を机に置く。
「……。」
彼のこの態度に後ろから怒りの感情を読み取る。
私はこのままではよくないと思い、一応ギルド職員の方に抗議する。
「その薬草は一束400ルードのはずですけれども。」
「保存状態が悪いと判断いたしました。」
「…そうだとしても、どんなに状態が悪くても一束の100ルードはギルド規則にあったはずです、もし、それが本当に50ルードと言うのならば、50ルードはお返しいたしますので、薬草はお返しいただけないでしょうか。」
「餓鬼がなにほざいているんだ。」
低い小さな呟きに私は僅かに首を横に振った。
「何か私は間違っていましたか?」
「ああ、間違えまくりだ、わたしがそう判断したんだから、それが規則だ。」
「……。」
私があきれ果てていると、バンと目の前のカウンターをサーリャさんが叩く。
「あんた、何言っているのか分かっているのかな?」
「ああ、サーリャ様いらっしゃいませ、もしかして、こちらのお嬢様は貴方様のお連れ様でしたか、でしたら仕方ありませんね。」
私にしか分からない程度で舌打ちをするギルド職員はカウンターの上に450ルードを足す。
「これで、満足でしょうか、お嬢様。」
その眼に忌々しいという色が浮かび、私は諦めながらそれを受取ろうとしたが、サーリャさんが私の手を掴む。
「サーリャさん?」
「あんたさ、このあたしが見てもその薬草が一束500ルードする事くらい分かるのに、全部で500ルードってふざけている訳っ!」
「あ、あのサーリャさん。」
「マラカイトちゃんは黙っていて。」
「なんのことをおっしゃっておられるのか分かりかねますが、わたしはしっかりと仕事をこなしているだけですよ?それに貴方方だってわたしの買取価格は正確だと褒めていらっしゃったでしょう。」
「……。」
言った記憶があるのか苦虫を噛み潰しているようなサーリャさんに私はこれ以上は悪目立ちをしてしまうと思い、彼女の服を引っ張る。
「マラカイトちゃん。」
「これ以上は他の方々のご迷惑になってしまいます。」
「そのお嬢さんはよく分かっているようですね、これにはそんな価値がないという事でしょう。」
「……。」
唇を噛むサーリャさんに私は溜息を吐く。
「申し訳ありませんが、今回の取引はなかったころにしていただけませんか?」
「はぁ?」
「私はそれを最低でも、2000ルードで買い取っていただこうと考えておりましたので、500ルードで買い取っていただくよりも、自分で活用した方が良さそうなので。」
「この薬草で何ができるというのですか。」
「煎じて、痛み止めや解毒剤にいたします。」
「…世間知らずのお嬢さんがそんな事をなされば、薬草の無駄になりますよ?」
「練習にもなりますし。500ルードよりもずっと有意義になりますので。」
「……。」
「すみません、サーリャさんご迷惑をおかけいたしまして。」
「マラカイトちゃん……。」
「お忙しいなかお時間を取らせてしまい申し訳ございませんが、そちらはお返しいただけますか?」
「……。」
ギルド職員は薬草を見てそして、4束私に返す。
「……。」
色々言いたいが、これ以上ここにいればサーリャさんだけじゃなくジェダイドやコーラルまでも怒りを爆発してしまうと思い、大人しく薬草を鞄に入れようとした時、入り口付近からプレッシャーを感じ、思わず振り返った。
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