46 / 136
第一章
合流
しおりを挟む
「マラカイトっ!」
しばらく歩いていると分かれた場所から一歩も動いていないジェダイドと、彼に抱きかかえられたセラフィナイトの姿があった。
「ジェダイド。」
「無事――。」
ジェダイドは私に声を掛けようとするが、私の後ろにコーラルがいた事に気づくと警戒する。
「誰だ。」
「あっ、この子は。」
「あ、あのわたしはコーラルって言います。こちらのマラカイトさんに助けていただきまして、あの、その、わたしは決して怪しいものではなくて、あの、その、だから、そんなに睨まないでください。」
今にも土下座をしそうな勢いのコーラルに私だけじゃなくジェダイドも呆気に取られる。
「さっき、異変を感じた場所にいた子だったの。」
「そうか。」
何故か溜息を零すジェダイドに私は首を傾げる。
「お前は俺を含め、変なのを拾ってくるなと思って。」
「そんな事はないわよ。」
「あるよ、しかも厄介なモノばかりだな。」
「そんな事はないわ。」
「無自覚つーのは怖いな。」
「……。」
私はこれ以上ジェダイドの言葉を否定した所で、彼はそれを受け入れる事はないのだと理解し、黙り込む。
「どうするんだ、こいつ。」
ジェダイドも話題を変えた方がいいと思ったのか、そう言ってきた。
私もそれに便乗して、話題を変える。
「目的地は一緒だから、そこまで、送るつもりよ。」
「そうか。」
「申し訳ありません……。」
シュンとしているコーラルにジェダイドはこいつの扱いをどうすればいいんだ、と目で訴えてくるが、私はどうする事も出来ないので、気づかないふりをする。
ジェダイドは私が助けに入らないので、ジッと私を見ていたが、割り込む気がないと分かったのか、諦めたように肩を竦める。
「おい。」
「は、はい。」
「俺はジェダイドだ。」
「はい、ジェダイド様っ!」
「……。」
行き成り様付けされたジェダイドは不機嫌になる。
「あの、何で彼には様付けするの。」
「だって、明らかに貴族様って雰囲気なんですものっ!」
「……。」
「あっ、いえ、マラカイトさんが決して貴族ぽくないという意味ではないんですっ!」
「えっ?」
「安心してください、マラカイトさんはお綺麗で、そして、凛としていて、何と言いますか、そうです、何でも許してくれる聖女様のような……。」
「えっと……。」
物凄い迫力でコーラルが迫ってきますが、私はけっして貴族じゃないですし、それに、綺麗だとか凛としているとか、聖女なんて恐れ多い言葉が並んできますが…。
「その、本当は様付けがいいとは思ったのですが、マラカイトさんはきっと断るんじゃないかなと思ったんです。」
「……そうですね、私は様付けされるような、そんなすごい人物ではありませんしね。」
「「そんな事」」
「ない。」
「ありません。」
「……。」
何故か、コーラルだけじゃなく、ジェダイドまで否定してきました。
もう何が何だかわかりませんが、取り敢えず――。
「あの、もう出発しません?」
「あっ。」
「そうだな、これ以上ここにとどまっていても仕方ないしな。」
私たちはようやく目的地に向かって歩き出した。
しばらく歩いていると分かれた場所から一歩も動いていないジェダイドと、彼に抱きかかえられたセラフィナイトの姿があった。
「ジェダイド。」
「無事――。」
ジェダイドは私に声を掛けようとするが、私の後ろにコーラルがいた事に気づくと警戒する。
「誰だ。」
「あっ、この子は。」
「あ、あのわたしはコーラルって言います。こちらのマラカイトさんに助けていただきまして、あの、その、わたしは決して怪しいものではなくて、あの、その、だから、そんなに睨まないでください。」
今にも土下座をしそうな勢いのコーラルに私だけじゃなくジェダイドも呆気に取られる。
「さっき、異変を感じた場所にいた子だったの。」
「そうか。」
何故か溜息を零すジェダイドに私は首を傾げる。
「お前は俺を含め、変なのを拾ってくるなと思って。」
「そんな事はないわよ。」
「あるよ、しかも厄介なモノばかりだな。」
「そんな事はないわ。」
「無自覚つーのは怖いな。」
「……。」
私はこれ以上ジェダイドの言葉を否定した所で、彼はそれを受け入れる事はないのだと理解し、黙り込む。
「どうするんだ、こいつ。」
ジェダイドも話題を変えた方がいいと思ったのか、そう言ってきた。
私もそれに便乗して、話題を変える。
「目的地は一緒だから、そこまで、送るつもりよ。」
「そうか。」
「申し訳ありません……。」
シュンとしているコーラルにジェダイドはこいつの扱いをどうすればいいんだ、と目で訴えてくるが、私はどうする事も出来ないので、気づかないふりをする。
ジェダイドは私が助けに入らないので、ジッと私を見ていたが、割り込む気がないと分かったのか、諦めたように肩を竦める。
「おい。」
「は、はい。」
「俺はジェダイドだ。」
「はい、ジェダイド様っ!」
「……。」
行き成り様付けされたジェダイドは不機嫌になる。
「あの、何で彼には様付けするの。」
「だって、明らかに貴族様って雰囲気なんですものっ!」
「……。」
「あっ、いえ、マラカイトさんが決して貴族ぽくないという意味ではないんですっ!」
「えっ?」
「安心してください、マラカイトさんはお綺麗で、そして、凛としていて、何と言いますか、そうです、何でも許してくれる聖女様のような……。」
「えっと……。」
物凄い迫力でコーラルが迫ってきますが、私はけっして貴族じゃないですし、それに、綺麗だとか凛としているとか、聖女なんて恐れ多い言葉が並んできますが…。
「その、本当は様付けがいいとは思ったのですが、マラカイトさんはきっと断るんじゃないかなと思ったんです。」
「……そうですね、私は様付けされるような、そんなすごい人物ではありませんしね。」
「「そんな事」」
「ない。」
「ありません。」
「……。」
何故か、コーラルだけじゃなく、ジェダイドまで否定してきました。
もう何が何だかわかりませんが、取り敢えず――。
「あの、もう出発しません?」
「あっ。」
「そうだな、これ以上ここにとどまっていても仕方ないしな。」
私たちはようやく目的地に向かって歩き出した。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど

異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
不定期更新になります。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる