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第一章
ランク
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簡単な朝食を胃の中におさめ、私たちは森の中を進む。
途中狩りをしたり、木の実を摘んだり、食料をある程度確保しながら私たちは進んでいく。
途中ジェダイドの体力を見ながら休憩をはさむが、会話と言う会話はあまりなかった。
そして、あの日から三回日が沈み、三回目の日が昇って、ようやく森の終わりが近づいてきた。
「ジェダイド、そろそろ休憩しようか。」
「さっき、休んだところだろう。」
「ええ、でも、あと少しすればエメーリエにたどり着くわ。」
「……。」
私の言葉にジェダイドは軽く目を見張っていた。
「もうつくのか。」
「ええ、村出てからもう四日だもの。」
「……。」
早いのか遅いのかマラカイトには測りかねるが、ジェダイドはどう思っているのだろう。
「このまま進めば夜には着くとは思うけど、無理して入る必要はないから。」
「そうだな。」
「取り敢えずはもう少し進んで、また野営をしてエメーリエに入って、ギルドに行って薬草をいくつか売って、それから、ギルドの紹介を得てから宿で一泊ね。」
「ギルド?」
聞きなれないのかジェダイドは小首を傾げている。
「冒険者になるのに特に資格なんてものはないんだけど、どんな人がいるのかって国が把握する為にある程度大きな町とかには小さなギルドが設けられているの。」
「どういうところだ?」
「冒険者になる人に対して手続きをして、登録、仕事の斡旋、登録する事によって、冒険者は仕事を得たり、自分が狩った動物や採取した薬草を売ってお金を稼げるし、ギルドはどんな人がいるのか把握できるの、たとえば、力量を把握できたらその人がこなせられるランクが分かって、その人が無理をしていないかなど注意できるでしょ?」
「……つまり、死ぬような無茶な行動をするのを抑制するという感じか?」
「うん。」
「……。」
ジェダイドは何か言いたげに私を見ているが、私はその視線の意味を理解する事が出来なかった。
「お前はどのくらいのランク何だ?」
「私?私はFランクよ。」
「F……?」
「ええ。」
ジェダイドはFランクが低いのか高いのか分からず、眉間に皺を寄せているようで、私はそう難しい話じゃないんだけど、と思いながら説明する。
「Fランクはいわゆる駆け出し、入りたての冒険者の事を言うの。」
「えっ?」
「そこから、そうね、五つくらいギルドの仕事をこなせばDランクに上がって、Cランクからはギルドの試験とかあるらしいね。」
「……。」
疑いを持った目で見られ、私は苦笑する。
「仕方ないわよ、私の年齢を考えてよ。」
「……。」
私に言われてジェダイドはハッとしたような顔をする。
基本十五くらいはどんなに強くともFランクどまりだ、まだ体の発達だって終わっていないような子どものランクを上げてしまえば間違いなく、命を落とすような結果になるだろう。
だから、ギルドは十五までは基本Fランク、ただし、例外があり、騎士の候補生とかの場合は十三から騎士の学校に通える訳なので、それに見合ったランクに昇格が出来るのだが、それまでは一律Fランクなのだ。
「私はまだ十歳よ。」
「……。」
ジェダイドは何とも言えない顔をしているが、私は、嘘は言っていない。
「……。」
「まあ、私のランクは置いといて、ギルドに行けば次の目的地であるダルヤに行く乗合馬車とかを紹介してもらえるから。」
「そうか、便利なんだな。」
「……。」
ジェダイドのその言葉に私は黙り込む、正直に言えば、担当するギルドの受付の人によって私のような子どもの態度が変わってくる。
出世意欲が高い人は私たちのような子どもやどんなに頑張ってもBランクどまりの冒険者には容赦がない。
だから、ギルドに着いた時、受付の人の反応で、ジェダイドがどうなるかが分からないので、今から少しどう対処しようかと悩んでいる。
「ジェダイド、水はどう?」
「いや、大丈夫だ。」
「そう?」
私は水筒を腰に下げ直し、セラフィナイトを見る。
静かにしているセラフィナイトは口の中に木の実を入れてもごもごと動かしている。
少し前からセラフィナイトは私からじゃなく木の実などで魔素を自分でとれるようになっていた。
お蔭で街に入っても私がセラフィナイトに与えなくて済んだので、何故かジェダイドはホッとしていたのだが、何でだろうかと、未だに不思議に思っている。
「そろそろ、行くか?」
「そうね。」
私はセラフィナイトを抱き直し、ジェダイドもまた下した荷物を抱え直す。
途中狩りをしたり、木の実を摘んだり、食料をある程度確保しながら私たちは進んでいく。
途中ジェダイドの体力を見ながら休憩をはさむが、会話と言う会話はあまりなかった。
そして、あの日から三回日が沈み、三回目の日が昇って、ようやく森の終わりが近づいてきた。
「ジェダイド、そろそろ休憩しようか。」
「さっき、休んだところだろう。」
「ええ、でも、あと少しすればエメーリエにたどり着くわ。」
「……。」
私の言葉にジェダイドは軽く目を見張っていた。
「もうつくのか。」
「ええ、村出てからもう四日だもの。」
「……。」
早いのか遅いのかマラカイトには測りかねるが、ジェダイドはどう思っているのだろう。
「このまま進めば夜には着くとは思うけど、無理して入る必要はないから。」
「そうだな。」
「取り敢えずはもう少し進んで、また野営をしてエメーリエに入って、ギルドに行って薬草をいくつか売って、それから、ギルドの紹介を得てから宿で一泊ね。」
「ギルド?」
聞きなれないのかジェダイドは小首を傾げている。
「冒険者になるのに特に資格なんてものはないんだけど、どんな人がいるのかって国が把握する為にある程度大きな町とかには小さなギルドが設けられているの。」
「どういうところだ?」
「冒険者になる人に対して手続きをして、登録、仕事の斡旋、登録する事によって、冒険者は仕事を得たり、自分が狩った動物や採取した薬草を売ってお金を稼げるし、ギルドはどんな人がいるのか把握できるの、たとえば、力量を把握できたらその人がこなせられるランクが分かって、その人が無理をしていないかなど注意できるでしょ?」
「……つまり、死ぬような無茶な行動をするのを抑制するという感じか?」
「うん。」
「……。」
ジェダイドは何か言いたげに私を見ているが、私はその視線の意味を理解する事が出来なかった。
「お前はどのくらいのランク何だ?」
「私?私はFランクよ。」
「F……?」
「ええ。」
ジェダイドはFランクが低いのか高いのか分からず、眉間に皺を寄せているようで、私はそう難しい話じゃないんだけど、と思いながら説明する。
「Fランクはいわゆる駆け出し、入りたての冒険者の事を言うの。」
「えっ?」
「そこから、そうね、五つくらいギルドの仕事をこなせばDランクに上がって、Cランクからはギルドの試験とかあるらしいね。」
「……。」
疑いを持った目で見られ、私は苦笑する。
「仕方ないわよ、私の年齢を考えてよ。」
「……。」
私に言われてジェダイドはハッとしたような顔をする。
基本十五くらいはどんなに強くともFランクどまりだ、まだ体の発達だって終わっていないような子どものランクを上げてしまえば間違いなく、命を落とすような結果になるだろう。
だから、ギルドは十五までは基本Fランク、ただし、例外があり、騎士の候補生とかの場合は十三から騎士の学校に通える訳なので、それに見合ったランクに昇格が出来るのだが、それまでは一律Fランクなのだ。
「私はまだ十歳よ。」
「……。」
ジェダイドは何とも言えない顔をしているが、私は、嘘は言っていない。
「……。」
「まあ、私のランクは置いといて、ギルドに行けば次の目的地であるダルヤに行く乗合馬車とかを紹介してもらえるから。」
「そうか、便利なんだな。」
「……。」
ジェダイドのその言葉に私は黙り込む、正直に言えば、担当するギルドの受付の人によって私のような子どもの態度が変わってくる。
出世意欲が高い人は私たちのような子どもやどんなに頑張ってもBランクどまりの冒険者には容赦がない。
だから、ギルドに着いた時、受付の人の反応で、ジェダイドがどうなるかが分からないので、今から少しどう対処しようかと悩んでいる。
「ジェダイド、水はどう?」
「いや、大丈夫だ。」
「そう?」
私は水筒を腰に下げ直し、セラフィナイトを見る。
静かにしているセラフィナイトは口の中に木の実を入れてもごもごと動かしている。
少し前からセラフィナイトは私からじゃなく木の実などで魔素を自分でとれるようになっていた。
お蔭で街に入っても私がセラフィナイトに与えなくて済んだので、何故かジェダイドはホッとしていたのだが、何でだろうかと、未だに不思議に思っている。
「そろそろ、行くか?」
「そうね。」
私はセラフィナイトを抱き直し、ジェダイドもまた下した荷物を抱え直す。
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