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第二章

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「じゃあ、一人で寝たいからあんたは別の所で寝なさいよね、あっ、言っておくけど、ちゃんと起こしなさいよっ!」

 そう言うとホリアムット男爵令嬢は腕力で私を部屋から追い出した。
 今の時間は少し遅い夜だけど、多分飲食店はどこもやっていないだろう。
 私はため息を零し、仕方なく、宿の誰かがまだいる事を願って下に降りようと階段に向かう途中、腕を引かれ、どこかの部屋に連れ込まれる。

「……。」
「……。」

 部屋は先ほどいた部屋と同じ作りで、目の前にはあきれ顔のメイカがいた。

「主、もっと、やりようがあったんじゃないか?」
「手っ取り早いだろう。」
「そうかもしれないが、傍から見れば誘拐、監禁と捉えられても可笑しくないぞ。」
「そうか。」
「それにだ、イザベラ様が暴れたらどうするつもりだ。」
「あら、アルファードだとはじめから気づいていたわよ?」
「……。」
「ただ、どこの部屋かと思ったけれど、貴方たちの部屋だったのね。」
「ああ。」
「はあ、オレは外に出た方がいいか?」
「いや、怪しまれるからな。」
「……。」

 否定の言葉を言う、彼にメイカは可哀そうなほど表情を無くす。

「分かった、オレは寝るから、静かにやってくれ。」
「……食事をさせて、ここで寝かすだけだぞ。」
「……。」

 メイカは本当にか?と疑うような目を向けてくる。

「当たり前だ、こんな場所でこいつに子どもが出来てみろ、大騒ぎだ。」
「……。」
「……。」

 色々アウトのような言葉を言う彼は多分色々来ていると思う。

 まあ、当然と言えば当然だろう。

 予定していた半分以下の距離。

 ごじゃごじゃと文句を言う人。

 さらには最愛の私をこき使う上に、部屋から追い出す人が仲間なのだから、彼のストレスは相当なものだろう。

「分かった、オレは寝るから、お休み。」

 メイカは色々放棄をして、さっさと自分のベッドに寝転がりそのまま目を瞑った。

「イザベラ、食べようか?」

 そう言うと、小さな机の上にはパンとスープとサラダと肉料理が乗っていた。
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