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第一章
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「水よ 我が声に応えよ
光よ 我が声に応えよ
我乞う この者に人形(ひとかた)を与えん事に
水よ 核となれ
光よ 形となれ
交われ 交われ」
謡うように詠唱しながら私は願いを込める。
「そなたは 彼の者の影
彼の者の助けとなる事を 我願う
秘術 映身」
水がアルファードの髪を包み込み、核となる。
そして、私の魔力で人形(ひとかた)を作る。
前にミナを作った事があるので、少し楽だったが、それでも、思っていたよりもごっそりと力が減ってしまった。
どうやら、ミナは私の分身と言う事で、水属性が強いので、私との相性がよく作れたようだったが、アルファードは火の属性の為、私の力がミナの時以上に必要となってしまったようだ。
でも、これが失敗に終わらなくてよかったと思った。
もし、これが暴走すれば間違いなくこの城が吹っ飛んでしまっただろう。
「イザベラ。」
「……。」
気づいたら私はアルファードに支えられていた。
どうやら、脚の力が抜け、尻餅をつく前に彼が私の腰を支えてくれたようだった。
「アルファード、ありがとう。」
「いや、俺は良いのだが、お前は大丈夫なのか?」
「ええ、まさか、火の属性がここまで相性が良くなかったとは思わなかったわ。」
「……。」
私の言葉を聞き、アルファードは眉間に皺を寄せた。
「無理をしたのか?」
「少しね、言っておくけど、途中で止める方が危険だからね。」
「……。」
私の言葉に文句が言えなくなったのか、彼は黙り込む。
「イザベラ様、こちらにおかけください。」
「いえ。」
ミナの言葉に私はゆるゆると首を振った。
「……。」
イザベラはぼんやりとしている彼を見た。
彼はしばらくして彼の瞳に光が宿る。
視線を彷徨わせ、彼はミナを見る。
その表情が彼とよく似ていて思わず吹き出しそうになるが、寸前のところで踏みとどまる。
「…初めましてだな…名前は何て言うんだ?」
ミナは目に見えて動揺している。
「わ、わた…しは…ミナ。」
「…ミナ…ミナ。」
まるで甘い甘い飴玉をその口の中で転がすようにその名前を口にしている彼に、私は思わず、彼を見る。
彼は顔を真っ赤にして自分の分身から目をそらしている。
「ねー、アルファード。」
「……何だ。」
ちょっと不機嫌そうに聞こえる声に私は思わず吹いてしまう。
「流石は貴方ね。」
「どういう意味だ。」
「そう言う意味よ。」
「……。」
私がニッコリと微笑めば彼は撃沈する。
「マジ、俺だよな。」
「ええ、貴方ね。」
「つーか、今のお前は気づくんだな。」
「そうね、第三者になるとよく分かるわ。」
「…当事者の時は気づかなかった癖に。」
「ええ、不思議ね。」
明らかにミナに熱い視線を向ける彼に私は頬に手を置き、首を傾げる。
「そう言えば、彼の名前。」
「メイカだろう。」
「……。」
彼の言葉に私は良いのかと彼に目で問う。
「いいんだ、あいつがミナならその名前しかないだろう。」
「そうね、ミナとメイカ…その名前がいいわね。」
私は一物の不安を抱くが、彼がいいのなら大丈夫だろう。
私と彼との始まりの名前。
でも、同時に私たちが死に別れした名前。
いいのかと、自問自答しつつも、彼女がミナならば、それ以外の名前を思いつく事はなかった。
願わくは、彼女たちが幸せであることを。
光よ 我が声に応えよ
我乞う この者に人形(ひとかた)を与えん事に
水よ 核となれ
光よ 形となれ
交われ 交われ」
謡うように詠唱しながら私は願いを込める。
「そなたは 彼の者の影
彼の者の助けとなる事を 我願う
秘術 映身」
水がアルファードの髪を包み込み、核となる。
そして、私の魔力で人形(ひとかた)を作る。
前にミナを作った事があるので、少し楽だったが、それでも、思っていたよりもごっそりと力が減ってしまった。
どうやら、ミナは私の分身と言う事で、水属性が強いので、私との相性がよく作れたようだったが、アルファードは火の属性の為、私の力がミナの時以上に必要となってしまったようだ。
でも、これが失敗に終わらなくてよかったと思った。
もし、これが暴走すれば間違いなくこの城が吹っ飛んでしまっただろう。
「イザベラ。」
「……。」
気づいたら私はアルファードに支えられていた。
どうやら、脚の力が抜け、尻餅をつく前に彼が私の腰を支えてくれたようだった。
「アルファード、ありがとう。」
「いや、俺は良いのだが、お前は大丈夫なのか?」
「ええ、まさか、火の属性がここまで相性が良くなかったとは思わなかったわ。」
「……。」
私の言葉を聞き、アルファードは眉間に皺を寄せた。
「無理をしたのか?」
「少しね、言っておくけど、途中で止める方が危険だからね。」
「……。」
私の言葉に文句が言えなくなったのか、彼は黙り込む。
「イザベラ様、こちらにおかけください。」
「いえ。」
ミナの言葉に私はゆるゆると首を振った。
「……。」
イザベラはぼんやりとしている彼を見た。
彼はしばらくして彼の瞳に光が宿る。
視線を彷徨わせ、彼はミナを見る。
その表情が彼とよく似ていて思わず吹き出しそうになるが、寸前のところで踏みとどまる。
「…初めましてだな…名前は何て言うんだ?」
ミナは目に見えて動揺している。
「わ、わた…しは…ミナ。」
「…ミナ…ミナ。」
まるで甘い甘い飴玉をその口の中で転がすようにその名前を口にしている彼に、私は思わず、彼を見る。
彼は顔を真っ赤にして自分の分身から目をそらしている。
「ねー、アルファード。」
「……何だ。」
ちょっと不機嫌そうに聞こえる声に私は思わず吹いてしまう。
「流石は貴方ね。」
「どういう意味だ。」
「そう言う意味よ。」
「……。」
私がニッコリと微笑めば彼は撃沈する。
「マジ、俺だよな。」
「ええ、貴方ね。」
「つーか、今のお前は気づくんだな。」
「そうね、第三者になるとよく分かるわ。」
「…当事者の時は気づかなかった癖に。」
「ええ、不思議ね。」
明らかにミナに熱い視線を向ける彼に私は頬に手を置き、首を傾げる。
「そう言えば、彼の名前。」
「メイカだろう。」
「……。」
彼の言葉に私は良いのかと彼に目で問う。
「いいんだ、あいつがミナならその名前しかないだろう。」
「そうね、ミナとメイカ…その名前がいいわね。」
私は一物の不安を抱くが、彼がいいのなら大丈夫だろう。
私と彼との始まりの名前。
でも、同時に私たちが死に別れした名前。
いいのかと、自問自答しつつも、彼女がミナならば、それ以外の名前を思いつく事はなかった。
願わくは、彼女たちが幸せであることを。
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