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第一章
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「やってしまった。」
「まあ、いいじゃねぇか?」
「いいわけないじゃない。」
お昼休み私たちは人気のない場所で一緒に食事をとりながら今日の実技について話した。
「はぁ…。」
「お前も負けず嫌いだからな。」
「そういう貴方はいつも私たちに勝ちを譲るわよね。」
「お前たちにはいつも負けるからな。」
「……。」
爽やかな笑みに私はうっと息を詰まらせる。
「イザベラ。」
「もう、本当に貴方はずるい。」
本当にずるい、どういう顔をすれば私が許してしまうのか理解しているから、そんな顔をする。
もう、本当に反則。
「……どちらかと言えば、無意識でやっているお前の方が反則だと思うけどな。」
「えっ?何か言った?」
彼が言った言葉を聞き逃してしまい、私は聞き直す。
「本当にお前は。」
そう言いながら彼は誤魔化すように私の髪をクシャリと撫でる。
「……。」
「……あー、分かった、分かった。」
私の誤魔化すのは禁止よという視線に耐えられなかったのか彼は苦笑する。
「お前は本当に魔性だな。」
「………へぇ?」
えっ、何でそんな言葉が出るのか理解できない。
どちらかと言えば、貴方の色気の方が魔性だと……。
いえ……。
「う~……。」
その目本当に反則です。
ジッと見てくる瞳に私は思わず耐え切れなくなり、両手で顔を隠す。
「可愛いし、綺麗だし、……しな。」
「もうっ!」
私は耐え切れなくなりバシバシと彼を叩く。
「本当にお前は初心だな。」
「だって。」
「何年経っても変わらない何て、マジですげーよ。」
「貴方だって同じじゃない。」
「俺は結構変わったと思うぞ。」
「そんな事ないわよ?」
首を傾げる、私に彼はそっと私の額に自分の額を押し当てる。
「変わったぞ、俺はお前を生かす為ならば自分の命なんて別にどうでもよかった、でも、お前に受け入れられたあの日から徐々に変わったんだよ。」
「アルファード?」
「本当にお前は凄くて、でも、危なっかしい奴だ。」
「……。」
上げて落とされた私はムッとする。
「何処が危なっかしいのよ。」
「全部。」
「なっ!」
まさかの全部発言に私は絶句する。
「はー、お前が今回も一人で突っ走るんじゃないかと気が気じゃないんだぞ。」
「そんな事は。」
「ある、まあ、お前が貴族で本当に良かった。」
「……聞きたくないけど、その意味は?」
「足かせがある。」
「……。」
「人の目がある。」
「……。」
「それだったら、お前はよっぽどじゃない限りは暴走しないからな。」
「そんな事は。」
「あるだろう、俺たちが三人暮らしの時だって、俺たちが留守の間何度危ない目に遭いに行こうとしたことか。」
「そ、それは。」
「俺たちで交互で護衛していたとはいえ、中々骨が折れたんだぞ。」
「…その節はーー。」
私が謝ろうと口を開けば彼はその利き手の人差し指で私の唇に触れて、私の言葉を奪う。
「まあ、俺たちが好きでしてたんだけどな。」
「……。」
私の目の前にフッとあの頃の彼の姿が見えた気がした、高校生だった時のあの時の彼、私は思わず、その名前で呼びそうになったが、ぐっと押し黙る。
「どうした?」
「ううん、何でもないの。」
「そうか?」
「うん。」
まだ訝しむ彼に私は首を振って、ふっと、無理を承知でお願いを言う。
すると、意外にもそれは二つ返事だった。
「それじゃ、明日。」
「うん、ありがとう。」
私は満面の笑みを浮かべて、彼にお礼を言った。
「まあ、いいじゃねぇか?」
「いいわけないじゃない。」
お昼休み私たちは人気のない場所で一緒に食事をとりながら今日の実技について話した。
「はぁ…。」
「お前も負けず嫌いだからな。」
「そういう貴方はいつも私たちに勝ちを譲るわよね。」
「お前たちにはいつも負けるからな。」
「……。」
爽やかな笑みに私はうっと息を詰まらせる。
「イザベラ。」
「もう、本当に貴方はずるい。」
本当にずるい、どういう顔をすれば私が許してしまうのか理解しているから、そんな顔をする。
もう、本当に反則。
「……どちらかと言えば、無意識でやっているお前の方が反則だと思うけどな。」
「えっ?何か言った?」
彼が言った言葉を聞き逃してしまい、私は聞き直す。
「本当にお前は。」
そう言いながら彼は誤魔化すように私の髪をクシャリと撫でる。
「……。」
「……あー、分かった、分かった。」
私の誤魔化すのは禁止よという視線に耐えられなかったのか彼は苦笑する。
「お前は本当に魔性だな。」
「………へぇ?」
えっ、何でそんな言葉が出るのか理解できない。
どちらかと言えば、貴方の色気の方が魔性だと……。
いえ……。
「う~……。」
その目本当に反則です。
ジッと見てくる瞳に私は思わず耐え切れなくなり、両手で顔を隠す。
「可愛いし、綺麗だし、……しな。」
「もうっ!」
私は耐え切れなくなりバシバシと彼を叩く。
「本当にお前は初心だな。」
「だって。」
「何年経っても変わらない何て、マジですげーよ。」
「貴方だって同じじゃない。」
「俺は結構変わったと思うぞ。」
「そんな事ないわよ?」
首を傾げる、私に彼はそっと私の額に自分の額を押し当てる。
「変わったぞ、俺はお前を生かす為ならば自分の命なんて別にどうでもよかった、でも、お前に受け入れられたあの日から徐々に変わったんだよ。」
「アルファード?」
「本当にお前は凄くて、でも、危なっかしい奴だ。」
「……。」
上げて落とされた私はムッとする。
「何処が危なっかしいのよ。」
「全部。」
「なっ!」
まさかの全部発言に私は絶句する。
「はー、お前が今回も一人で突っ走るんじゃないかと気が気じゃないんだぞ。」
「そんな事は。」
「ある、まあ、お前が貴族で本当に良かった。」
「……聞きたくないけど、その意味は?」
「足かせがある。」
「……。」
「人の目がある。」
「……。」
「それだったら、お前はよっぽどじゃない限りは暴走しないからな。」
「そんな事は。」
「あるだろう、俺たちが三人暮らしの時だって、俺たちが留守の間何度危ない目に遭いに行こうとしたことか。」
「そ、それは。」
「俺たちで交互で護衛していたとはいえ、中々骨が折れたんだぞ。」
「…その節はーー。」
私が謝ろうと口を開けば彼はその利き手の人差し指で私の唇に触れて、私の言葉を奪う。
「まあ、俺たちが好きでしてたんだけどな。」
「……。」
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「どうした?」
「ううん、何でもないの。」
「そうか?」
「うん。」
まだ訝しむ彼に私は首を振って、ふっと、無理を承知でお願いを言う。
すると、意外にもそれは二つ返事だった。
「それじゃ、明日。」
「うん、ありがとう。」
私は満面の笑みを浮かべて、彼にお礼を言った。
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