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第一章
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「……。」
「……。」
私たちはあの魔獣退治の後遅れて来た騎士団の中にいた私の姉であるクラウディアお姉さまに叱られております。
「何で大人しくしていないかったのですか。」
「まあ、まあ、クラウーー。」
「貴方は黙っていてくれっ!」
「……。」
「お姉さま。」
「幾らイザベラのお願いでも今回ばかりは聞けないから。」
「……。」
「確かにわたしたちが来た時には手遅れにはなっていただろう、しかしだ、何故王族の貴方が戦う必要があった。」
「あの中でまともに戦えるのが自分だけだったからだ。」
「上級生でも戦えるものだっていたはずだ。」
「あの大軍をみて怯まない生徒などいないだろう。」
「それを言うならば、貴方様だって生徒のおひとりでしょう。」
「確かにそうだ、だがな、あの大軍でお前たち騎士団を待っていてどのくらいの犠牲が出ると思う。」
「そうかもしれない、ですが、貴方様の命と多くの命。」
お姉さまの言葉に思わず、私は遮るように拳を床にたたきつけた。
「イザベラ…?」
「命に重いも軽いも、そして、一人の命と多数の命が同等のはずがありません。」
今にもお姉さまに飛びかかりそうな私にあの人が服を押さえとどまらせている。
「多を犠牲にして一人が生き残る、笑止。」
「……イザベラ?」
「お姉さま、お姉さまは逆はお考えになった事はありますか?」
「逆?」
「一人の命で多が助かると言われれば助かると言われれば、お姉さまはその命を差し出しますか?」
「それは……。」
「……人は身勝手なものですね。」
目を逸らすお姉さまに私は嘲笑を浮かべる。
「その人の命はその人のもの、犠牲はなくならないのは分かります…でも、望んでいないのに……。」
これ以上口にすれば怨嗟が漏れそうになる。
私は唇を噛み、そして、それを見かねた彼が動き出す。
「申し訳ありませんが、叱責は後ほど受けます、ですから、この場は失礼します。」
「ま、待て。」
止めようとするお姉さまを無視して、アルファードはさりげなく私を横抱きにして歩きだす。
「おい、待て、話しはまだ。」
最初は呆気に取られていたお姉さまでしたが、すぐにハッとなり、引き留めようと手を伸ばすが、牽制すようにアルファードの炎が行く手を阻む。
「――っ!」
「安心してください。」
「何がだ。」
「今日中には戻りますよ。」
「はぁ?」
気の抜けた声が聞こえたが、残念ながら私はお姉さまの姿は見えなかった。
ただ、彼の温もりを感じながら私は自分の中に巻き起こっている感情を抑え込んでいた。
「……。」
私たちはあの魔獣退治の後遅れて来た騎士団の中にいた私の姉であるクラウディアお姉さまに叱られております。
「何で大人しくしていないかったのですか。」
「まあ、まあ、クラウーー。」
「貴方は黙っていてくれっ!」
「……。」
「お姉さま。」
「幾らイザベラのお願いでも今回ばかりは聞けないから。」
「……。」
「確かにわたしたちが来た時には手遅れにはなっていただろう、しかしだ、何故王族の貴方が戦う必要があった。」
「あの中でまともに戦えるのが自分だけだったからだ。」
「上級生でも戦えるものだっていたはずだ。」
「あの大軍をみて怯まない生徒などいないだろう。」
「それを言うならば、貴方様だって生徒のおひとりでしょう。」
「確かにそうだ、だがな、あの大軍でお前たち騎士団を待っていてどのくらいの犠牲が出ると思う。」
「そうかもしれない、ですが、貴方様の命と多くの命。」
お姉さまの言葉に思わず、私は遮るように拳を床にたたきつけた。
「イザベラ…?」
「命に重いも軽いも、そして、一人の命と多数の命が同等のはずがありません。」
今にもお姉さまに飛びかかりそうな私にあの人が服を押さえとどまらせている。
「多を犠牲にして一人が生き残る、笑止。」
「……イザベラ?」
「お姉さま、お姉さまは逆はお考えになった事はありますか?」
「逆?」
「一人の命で多が助かると言われれば助かると言われれば、お姉さまはその命を差し出しますか?」
「それは……。」
「……人は身勝手なものですね。」
目を逸らすお姉さまに私は嘲笑を浮かべる。
「その人の命はその人のもの、犠牲はなくならないのは分かります…でも、望んでいないのに……。」
これ以上口にすれば怨嗟が漏れそうになる。
私は唇を噛み、そして、それを見かねた彼が動き出す。
「申し訳ありませんが、叱責は後ほど受けます、ですから、この場は失礼します。」
「ま、待て。」
止めようとするお姉さまを無視して、アルファードはさりげなく私を横抱きにして歩きだす。
「おい、待て、話しはまだ。」
最初は呆気に取られていたお姉さまでしたが、すぐにハッとなり、引き留めようと手を伸ばすが、牽制すようにアルファードの炎が行く手を阻む。
「――っ!」
「安心してください。」
「何がだ。」
「今日中には戻りますよ。」
「はぁ?」
気の抜けた声が聞こえたが、残念ながら私はお姉さまの姿は見えなかった。
ただ、彼の温もりを感じながら私は自分の中に巻き起こっている感情を抑え込んでいた。
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