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「サミュエル様の様な方を、良く見付けてきましたね?あんなに知見があって美しくて良家生まれのオメガなんて、そうそう居ませんよ」
「だろう?それでいてたまに突拍子も無くて、平気で庭で香辛料の葉を育てようとするんだ。可愛くて仕方が無い」
ニヤニヤ、とする俺に、臣下で傍付きのザイードが呆れたようにため息をついた。
俺がサミュエル、という美しいオメガの男を娶って、早半年が経つ。サミュエルは北の国出身の良家のオメガだが、よくこんな男が余っていたな……と感心する程である。サミュエルは長年むこうの王族の婚約者として、様々な教養を身に付けている上、見た目もまるで絵画の天使のように美しい。俺がサミュエルをこの国に嫁として連れ帰ってきた際、最早誰一人反対する者は居なかった。
皇家との縁を作りたくて、俺に娘を輿入れさせようとしていた古狸のジジイなんかは数人反発してきたが、サミュエルより聡明な相手を連れてこいと言ったら皆押し黙った。
臣下も皆喜んでくれた上に、父と母も良くぞ連れ帰ったと俺を褒める程だ。婚約者として民にお触れを出した際も、反発は殆ど無かったように思う。何しろサミュエルは北のクローヴィア家の息子だ。クローヴィアと言えば、かつては北を統治していた一族である。家柄も良く、見目も良く、知的なオメガの男を非難出来る人間は居なかった。
つくづく向こうの王家は馬鹿な事をしたなと思うし、北のオメガに対する価値観の古臭さにも笑える。しかしだからこそ俺のものになったのだ。そのあたりは感謝する他ない。
元々俺は特定の誰かを番にするつもりは無く、適当に国のためになるような人間を妻に迎えるつもりでいた。
自身の立場はよく理解している。アルファの第一皇子であれば、国の利益となる人間を娶るべきだ。家柄、能力、後ろ盾、それらの中で一番国益となる人間を適当に見繕えばいい。つい半年ほど前まで、本気でそう思っていた。
俺は皇家の中では社交性がある、ということで、普段は各国を飛び回って商売をしている。無論、一国の皇子という立場が分かると面倒だ。適当に身分を隠し、自国の貿易のルートを開拓する仕事をしていた。
あの日もそうだ。海を渡って北側にある国の港町で、俺は商談に来ていた。最近では茶葉の流通を試みているが、長期管理に金がかかるのと知名度の低さから貴族にしか流通していない。もう少し庶民にも親しまれるようになれば、うちの国でももっと生産できる。しかし良い案も今のところなく、目下の悩みの一つだった。
俺は現地の商人と商談の後、夜に商家の人間の集まりがあると言われたので、顔を出す事にした。商売というのは人との繋がりが大切だ。流通、仕入れ、加工、全ては良い会社や良い商人と繋がれる事で生まれると言ってもいい。だからこそ、この手の夜会には基本的に顔を出す事にしていた……もちろん身分は隠して。
この街の集まりにも、何度も参加した事はある。何人か見知った顔と話をしつつ辺りを窺えば……今日は一際目立つ知らない男が一人、参加しているのが見えた。
やや灰色かかった透き通る金髪に、青い瞳。端正すぎる顔立ちは人形のようだ。仕立ての良い淡い色のスーツを身に纏い、首元には洒落た刺繍のオメガ用ネックガードが付いていた。この国のオメガにしてはやや背が高く、比較的男らしい体型をしている。
しかし何よりもその所作に目が奪われた。葡萄酒が入ったグラスに口を付け、ひと口飲んでいるその様は……まるで絵画のように美しかった。
あまりにも……あまりにも極上の男である。だからこそ俺は警戒した。こういう集まりで、明らかに取り入り目的の男女が紛れ込む事はたまにある。しかしそういう奴らとは一線を画す程、その男は洗練されていた。
雰囲気がある仕上がりのいい男なので、周りの人間たちも遠巻きにしている。もう少し中の下くらいのランクの方が、一夜の相手としても人が寄り付き易い。このレベルになってしまうと、そうそう話しかける奴はいない。むしろ皆あの男を訝しんでいる様子だ。
そして俺も、直ちに部下にあれが何者なのか調べるよう命じた。俺には敵も多い。明らかにこの会場では異質な人間なので、もし俺に害を成す存在なら容赦はしないつもりでいた。この会場を出た瞬間、その美しい姿を骸にする事も辞さない。この時までは確かに……そう思っていたんだが。
「あの」
「ん?」
例の人物に声を掛けられた。振り向くまでは、やはり俺狙いの刺客か、はたまた美人局か……なんて警戒していたが、振り向いた瞬間にそれらは一瞬忘れてしまった。
間近でみる例の男だが……思った以上に破壊力がある。美しい北生まれらしい凛とした顔立ちに、すらっとした体躯。淡い色のスーツが似合う上品さもありながら、ネックガードが色気を誘う。そして何よりもその瞳だ。吸い込まれそうなほど澄んだ色で、純粋に俺を見上げている。
正直な話、かなりタイプの男だった。普通にこのまま連れ去りたいし、寝床に引き摺りこみたい。
だが、この男が怪しくて場違いなのは事実だ。寝首を搔かれてはいけない。
思惑を探るため、俺はこの男……サミュエルの、二人で話をしようという誘いに乗った。
そうしたら、サミュエルの余りの博識さと話題の豊富さに驚いてしまったのだ。
「この港町に店を出してみるのはいかがです?値段的に安価で流行れば、他の地域にも波及していくでしょうし」
茶葉の流通について話せば、俺では思いつかなかった提案をさらりとされた。安価で流行らせる施策は考えていたが、店を出店するというのは考えていなかった。そこから知名度を上げるのは有りだ。口コミで認知度が広がっていくことも期待できる。
サミュエルは、話せば話す程楽しくてテンポも良く、また全ての事柄に精通しているかのように詳しかった。益々何者なのか分からない。むしろ怪しさが増すが、それよりも個人的に、このサミュエルという男が気に入ってしまった。
しかもなんと、俺の国の言葉を話せるというでは無いか。
『うちの言葉は発音が難しいのに、よくそこまで喋れるようになったな』
『ありがとうございます。外国語はいくつも勉強しましたが、実際その国の方と話す機会はあまり無くて。そう言って頂けて嬉しいです』
『他にも話せるのか?凄いな、サミュエルは』
純粋にそう褒めれば、サミュエルははにかんで微笑み、グラスに口をつけた。
なんなんだ、お前?めちゃくちゃに可愛い。俺に褒められて、照れて嬉しくなってしまっているのが伝わる。これで間者や美人局だと?笑わせるな。どう見てもただの天然な可愛い男だ。
そこまで思っていた時に、部屋のドアがノックされる。サミュエルについて探らせていた部下が戻ってきたのだ。部下が屈み、ひっそりと俺に耳打ちする。
『サミュエル・ヨハン・クローヴィア。最近王家に捨てられた行き遅れのオメガとして、噂されています。どうやら家ぐるみで画策し、何か目的があってここに来ているようです』
クローヴィア。その名は知っている、何しろ数代前はこの国を取り仕切っていた家柄だ。そんな家の人間が、こんな平民の成り上がりも集まる会に何の用だ?相手探しにしても家柄が釣り合わないし……。そこまで考えて、やはり俺狙いでは無いかという気がしてくる。何しろクローヴィアという家は名家なので、釣り合うならそれ相応の家でないといけない。そして俺は隣国の皇家の人間だ。
まさかな……と思い探る様にサミュエルを見詰めると、サミュエルは胸元の襟に手をやった。人間は焦ると大切なものを確認する仕草を見せる。そこに何かある……と思った俺はすかさずサミュエルの腕を取り拘束し、その襟の袂を探った。
「……あ!」
「何だこれは?」
そこには綺麗に畳まれたサテン地の袋が入っており、中身を取り出すと……それは明らかな薬の錠剤だった。
睡眠薬か麻薬の類かと思い瞬時に警戒するが、よくその薬の刻印に目を凝らせば、それは所謂オメガの発情期を誘発する薬だった。どういう事だ?これはアルファの俺が飲んでも意味が無い。つまり、これを自分で飲んで強制的に発情期にするつもりだったという事か。特定のアルファと番うために。
俺は一瞬、心に悲しみが浮かんだ。裏切られた様な気持ちだったからだ。もちろんサミュエルの事は最初から訝しんでいた。こんなに頭が良くて知識も豊富で、洗練された美しい男はこの場には不釣り合いだから。
でも話をする中で、サミュエルの愛らしさにすっかり心を奪われていた自分を今更ながらに自覚したのだ。それなのにこの仕打ちとは。
……まあでも、いいだろう。
何しろ俺は皇子だ、こんな事もある。
もしサミュエルが間者だったら?俺側に寝返らせばいい。もし美人局だったら?ベッドで主導権を譲らなければいい。この国の王家と繋がっていたとしても、情報を渡さなければ問題ない。
万が一にもただの俺の金狙い、地位狙いなら最高だ……俺の傍に置いておく口実になる。
そこまで考えて、俺は苦笑した。どっちにしろもう、俺はすっかりこのオメガの男に惚れていたのだ。騙されて利用されても、俺ならどうにでも出来る。だったら今据え膳を食らうのも悪くないだろう?
「この後どうなろうと別に構わない。それに俺は、お前に謀られるのも……悪くないと思ってるしな」
そう言うと、サミュエルが目を見開いた。そんな顔も可愛いと思ってしまうから、俺は多分もう重症だ。
惚れた方が負け、という言葉が世の中にはあるが、その通りだと思う。
俺は見せつけるかのようにその薬を口に含んで噛み砕き、サミュエルに口移しで飲ませた。
さあ、お前の痴態を見せてくれ。どんな目的でもいいから、俺を利用して番にしてくれよ。
そんな風に思いながら、俺はサミュエルを押し倒し……。
だから思ってもみなかったのだ。こんなに頭が良い男が、まさか俺を本当に知らなかったとは。知らないままに俺に惹かれて抱かれ、そもそもこの国の王子に捨てられたから、強行手段を使ってでも相手を探しに来ていただけだったとは……誰が思うかよ?
───────
「噂をすれば、サミュエル様ですね」
「また庭を耕す気か?まあいいけどな、でも肌が焼けるだろう」
臣下のザイードが、城の外を眺めながら言った。俺も窓の外を覗くと、確かにそこにはサミュエルがいた。また抜け出してきたのか、そこそこ軽装のまま庭の土を掘り返していた。きちんと肌は露出せずにいるが、それでも日傘を差してやらないと心配だ。俺はザイードの制止を無視して日傘を手に取り、庭の方に向かった。
サミュエルはあんなに綺麗な男のくせに、実家では畑作業を手伝っていたとか。しかも聞けばクローヴィア家は没落寸前の家系で、最早名前と歴史くらいしか価値がないとの事だ。俺の中で北の名家のイメージがガラガラと崩れたが、まあだからこそこんな他国にも快く嫁がせてくれたんだろう。
サミュエルの両親とも後に挨拶も兼ねて会ったが、二人とも俺とサミュエルの結婚を泣いて喜んでくれた。
「まさかうちの行き遅れ四男サミュエルが、第一皇子さまみたいな大物を引っ掛けてくるなんて!」
「本当に、ありがとう……根は真面目な子だ、よろしく頼む」
泣く両親の横で、サミュエルは笑っていた。確かにいい両親だが、それとこれとは別で俺は憤っている。
行き遅れオメガ行き遅れオメガと、なんなんだそれは?
確かにサミュエルが嫁ぐ前も、本人がずっと言っていた。
「私はもう二十五歳なので貰い手が無くて……」
「実家の手伝いをしていたせいもあって、背がわりと高くて筋肉質なんです。幻滅しませんか?」
どうやら北の国でのオメガに対しての価値観らしいが、南出身の俺からしたら馬鹿らしくて笑ってしまう。十八歳で結婚しなかったら行き遅れ?背が高くて筋肉があったらモテない?なんだそれは、数百年前の価値観か。
どうやら元々サミュエルが向こうの第三王子に婚約破棄されたのも、華奢で可愛い女の方が良かったんじゃないかという話だ。
全くもって、馬鹿らしい!
そんな阿呆な価値観のために、この知識があって美しい良家のオメガの男を手放すなんて、北は馬鹿としか言いようがない。ただ、そんな馬鹿だったからこそサミュエルが俺のものになったとも言えるので、そのあたりだけは感謝しよう。
しかしサミュエルが受けた屈辱は、夫である俺が晴らしたって良いだろう?サミュエル本人は向こうの王子に惚れてもおらず、どうでもいいみたいだが……だからと言って俺の溜飲が下がらない。
なに。どちらにしろ、北は国民から王家への支持率が下がっており、不安定な状態だった。しかも風の噂だが……第三王子はサミュエルみたいな出来た男じゃなく、平民育ちの女を選んだ事で、教育に苦労しているらしかった。
当たり前だ、サミュエルが十年以上努力して身に付けた経済や歴史の知識、語学力や作法、貴族や王族としての立ち振る舞いや考え方、何一つ分からない娘だ。それを一朝一夕で身に付けるなんて無理な話である。その事で結局国民からも徐々にサミュエル公子の方が良かったのでは、と不満が上がり始めているらしい。
だから俺はちょっとだけ報復した。うちの国から輸出しているものの値段を釣り上げたのだ。だからと言って法外な値段にもしていない。何しろうちから北には絨毯や布などの装飾品だけでなく、香辛料や塩、石油なんかも輸出しているのだ。生活必需品のそれらの値段が上がれば、国民に不満が募る。
しかし本当に賢ければ、それくらいはいくらでも自国内で賄うなり別ルートを確保するなりで凌げる筈だ。ただ無能な王や王子が何もしなければ、国民からの不信は膨れ上がる。そして平民育ちの小娘が無作法なまま王家に居座り、国民たちは我慢出来ずいずれは……。
まあ、数年後が楽しみだよな。じわじわと苦しめばいい。俺のサミュエルを軽視する国なんて、どうなろうと関係ないしな。クローヴィア家の人間だけはうちに移住させるか、あの領地をうちの管轄にしておこう。俺は一人ほくそ笑んだ。
「サミュエル」
「……あ、ハリム。どうしたんですか、執務中では?」
「部屋からお前が見えたからな。日焼け対策は念入りにしろ。サミュエルの肌は白くて、この国の日差しは強いから負けてしまう」
俺は持ってきた日傘をサミュエルの頭上に差してやった。サミュエルは立ち上がり、日傘を受け取るとにこり、とこちらに微笑みかけた。
可愛いな。そして首に伝う汗がエロい。
しかしうちの国の気候は、北出身のサミュエルにとってはやや暑くて辛いようだ。よく汗をかいている。可哀想なので部屋では大きな氷を用意して、従者に風で扇がせてはいるものの、サミュエルが暑さに倒れるような事はあってはならない。
俺は立ち上がったサミュエルの腰を抱き寄せて、袖で額の汗を拭ってやった。サミュエルは慌てて俺のその手を取って握った。
「そんな事しなくていいです、服が汚れてしまう」
「別にお前の汗なんて汚くないだろう」
サミュエルの細い顎を掴み顔を近付け、ぺろりとその頬を舐めた。途端に赤くなった頬が可愛い。色が白いから、赤くなるとすぐに分かる。
ああ、食っちまうか。
まだ昼間だが、別に良いだろう。臣下のザイードにはその分夜に仕事をすると伝えておけばいい。
俺はサミュエルの顎を掴んだまま、その唇に口付けた。避けようとするその顔を逃がさず、そのまま口付けを深める。舌でサミュエルの口内を舐り舌同士をからめれば、吐息と小さな喘ぎ声が漏れた。
俺はもう片方の手でサミュエルの腰を抱き、体を密着させた。うちの国の服は薄手だ。サミュエルの下半身に俺の下半身をぐっと推し当てれば、そこがどうなっているのか簡単に相手に伝わってしまう。
唇を離せば、先程よりも真っ赤に染まった顔で俺を睨む目がそこにはあった。
「まだ昼間なのに、こんな……」
「別にいいだろ、俺たちは夫婦なんだし」
「っ……」
下半身をぐい、と余計に押し付ければ、サミュエルから色っぽい吐息が漏れる。お前だってこれが好きなくせに、何を嫌がるんだ?そう言ってやりたいが、あまり怒らせたくもない。
俺たちは日傘の下で再び口付けを交わし、二人の寝室へと向かった。
結婚の披露宴は再来月を予定している。民にもサミュエルを初めて顔見せをするが、反発は起きないだろう。それが終わる頃、ちょうどサミュエルも発情期となる。二人で迎える三回目の発情期だが、漸く避妊をせず迎えられる手筈だ。
子供は欲しいし、皇族としては産む義務もある。ただ俺としては、子供が欲しくてサミュエルと番った訳でもない。元から俺には弟たちも居るし、サミュエルが最悪授からなくても問題は無い。
いずれ俺は玉座に座る日が来るだろう。暫くは忙しくなってしまうが、落ち着いたら引退し、サミュエルと共に田舎でゆったりと過ごしたいものだ。
要は……俺はサミュエルさえ傍に居れば、何でもいい。
寝室でサミュエルの上着を脱がせながら、俺は苦笑した。まさかのとんでもない出会いの末に、ここまで溺愛する番となるとは……。あの時の俺からは想像も出来なかっただろう。
「ハリム?」
「ん?いや、何でもない。ちょっと考え事だ……引退した後、サミュエルと過ごす日々の事を妄想していた」
「……随分気が早いですね」
サミュエルは微笑み、俺に口付けた。ああ……可愛いな。
俺はすっかり骨抜きになってしまった番に口付けを送りながら、これからの二人を思って微笑んだ。
「だろう?それでいてたまに突拍子も無くて、平気で庭で香辛料の葉を育てようとするんだ。可愛くて仕方が無い」
ニヤニヤ、とする俺に、臣下で傍付きのザイードが呆れたようにため息をついた。
俺がサミュエル、という美しいオメガの男を娶って、早半年が経つ。サミュエルは北の国出身の良家のオメガだが、よくこんな男が余っていたな……と感心する程である。サミュエルは長年むこうの王族の婚約者として、様々な教養を身に付けている上、見た目もまるで絵画の天使のように美しい。俺がサミュエルをこの国に嫁として連れ帰ってきた際、最早誰一人反対する者は居なかった。
皇家との縁を作りたくて、俺に娘を輿入れさせようとしていた古狸のジジイなんかは数人反発してきたが、サミュエルより聡明な相手を連れてこいと言ったら皆押し黙った。
臣下も皆喜んでくれた上に、父と母も良くぞ連れ帰ったと俺を褒める程だ。婚約者として民にお触れを出した際も、反発は殆ど無かったように思う。何しろサミュエルは北のクローヴィア家の息子だ。クローヴィアと言えば、かつては北を統治していた一族である。家柄も良く、見目も良く、知的なオメガの男を非難出来る人間は居なかった。
つくづく向こうの王家は馬鹿な事をしたなと思うし、北のオメガに対する価値観の古臭さにも笑える。しかしだからこそ俺のものになったのだ。そのあたりは感謝する他ない。
元々俺は特定の誰かを番にするつもりは無く、適当に国のためになるような人間を妻に迎えるつもりでいた。
自身の立場はよく理解している。アルファの第一皇子であれば、国の利益となる人間を娶るべきだ。家柄、能力、後ろ盾、それらの中で一番国益となる人間を適当に見繕えばいい。つい半年ほど前まで、本気でそう思っていた。
俺は皇家の中では社交性がある、ということで、普段は各国を飛び回って商売をしている。無論、一国の皇子という立場が分かると面倒だ。適当に身分を隠し、自国の貿易のルートを開拓する仕事をしていた。
あの日もそうだ。海を渡って北側にある国の港町で、俺は商談に来ていた。最近では茶葉の流通を試みているが、長期管理に金がかかるのと知名度の低さから貴族にしか流通していない。もう少し庶民にも親しまれるようになれば、うちの国でももっと生産できる。しかし良い案も今のところなく、目下の悩みの一つだった。
俺は現地の商人と商談の後、夜に商家の人間の集まりがあると言われたので、顔を出す事にした。商売というのは人との繋がりが大切だ。流通、仕入れ、加工、全ては良い会社や良い商人と繋がれる事で生まれると言ってもいい。だからこそ、この手の夜会には基本的に顔を出す事にしていた……もちろん身分は隠して。
この街の集まりにも、何度も参加した事はある。何人か見知った顔と話をしつつ辺りを窺えば……今日は一際目立つ知らない男が一人、参加しているのが見えた。
やや灰色かかった透き通る金髪に、青い瞳。端正すぎる顔立ちは人形のようだ。仕立ての良い淡い色のスーツを身に纏い、首元には洒落た刺繍のオメガ用ネックガードが付いていた。この国のオメガにしてはやや背が高く、比較的男らしい体型をしている。
しかし何よりもその所作に目が奪われた。葡萄酒が入ったグラスに口を付け、ひと口飲んでいるその様は……まるで絵画のように美しかった。
あまりにも……あまりにも極上の男である。だからこそ俺は警戒した。こういう集まりで、明らかに取り入り目的の男女が紛れ込む事はたまにある。しかしそういう奴らとは一線を画す程、その男は洗練されていた。
雰囲気がある仕上がりのいい男なので、周りの人間たちも遠巻きにしている。もう少し中の下くらいのランクの方が、一夜の相手としても人が寄り付き易い。このレベルになってしまうと、そうそう話しかける奴はいない。むしろ皆あの男を訝しんでいる様子だ。
そして俺も、直ちに部下にあれが何者なのか調べるよう命じた。俺には敵も多い。明らかにこの会場では異質な人間なので、もし俺に害を成す存在なら容赦はしないつもりでいた。この会場を出た瞬間、その美しい姿を骸にする事も辞さない。この時までは確かに……そう思っていたんだが。
「あの」
「ん?」
例の人物に声を掛けられた。振り向くまでは、やはり俺狙いの刺客か、はたまた美人局か……なんて警戒していたが、振り向いた瞬間にそれらは一瞬忘れてしまった。
間近でみる例の男だが……思った以上に破壊力がある。美しい北生まれらしい凛とした顔立ちに、すらっとした体躯。淡い色のスーツが似合う上品さもありながら、ネックガードが色気を誘う。そして何よりもその瞳だ。吸い込まれそうなほど澄んだ色で、純粋に俺を見上げている。
正直な話、かなりタイプの男だった。普通にこのまま連れ去りたいし、寝床に引き摺りこみたい。
だが、この男が怪しくて場違いなのは事実だ。寝首を搔かれてはいけない。
思惑を探るため、俺はこの男……サミュエルの、二人で話をしようという誘いに乗った。
そうしたら、サミュエルの余りの博識さと話題の豊富さに驚いてしまったのだ。
「この港町に店を出してみるのはいかがです?値段的に安価で流行れば、他の地域にも波及していくでしょうし」
茶葉の流通について話せば、俺では思いつかなかった提案をさらりとされた。安価で流行らせる施策は考えていたが、店を出店するというのは考えていなかった。そこから知名度を上げるのは有りだ。口コミで認知度が広がっていくことも期待できる。
サミュエルは、話せば話す程楽しくてテンポも良く、また全ての事柄に精通しているかのように詳しかった。益々何者なのか分からない。むしろ怪しさが増すが、それよりも個人的に、このサミュエルという男が気に入ってしまった。
しかもなんと、俺の国の言葉を話せるというでは無いか。
『うちの言葉は発音が難しいのに、よくそこまで喋れるようになったな』
『ありがとうございます。外国語はいくつも勉強しましたが、実際その国の方と話す機会はあまり無くて。そう言って頂けて嬉しいです』
『他にも話せるのか?凄いな、サミュエルは』
純粋にそう褒めれば、サミュエルははにかんで微笑み、グラスに口をつけた。
なんなんだ、お前?めちゃくちゃに可愛い。俺に褒められて、照れて嬉しくなってしまっているのが伝わる。これで間者や美人局だと?笑わせるな。どう見てもただの天然な可愛い男だ。
そこまで思っていた時に、部屋のドアがノックされる。サミュエルについて探らせていた部下が戻ってきたのだ。部下が屈み、ひっそりと俺に耳打ちする。
『サミュエル・ヨハン・クローヴィア。最近王家に捨てられた行き遅れのオメガとして、噂されています。どうやら家ぐるみで画策し、何か目的があってここに来ているようです』
クローヴィア。その名は知っている、何しろ数代前はこの国を取り仕切っていた家柄だ。そんな家の人間が、こんな平民の成り上がりも集まる会に何の用だ?相手探しにしても家柄が釣り合わないし……。そこまで考えて、やはり俺狙いでは無いかという気がしてくる。何しろクローヴィアという家は名家なので、釣り合うならそれ相応の家でないといけない。そして俺は隣国の皇家の人間だ。
まさかな……と思い探る様にサミュエルを見詰めると、サミュエルは胸元の襟に手をやった。人間は焦ると大切なものを確認する仕草を見せる。そこに何かある……と思った俺はすかさずサミュエルの腕を取り拘束し、その襟の袂を探った。
「……あ!」
「何だこれは?」
そこには綺麗に畳まれたサテン地の袋が入っており、中身を取り出すと……それは明らかな薬の錠剤だった。
睡眠薬か麻薬の類かと思い瞬時に警戒するが、よくその薬の刻印に目を凝らせば、それは所謂オメガの発情期を誘発する薬だった。どういう事だ?これはアルファの俺が飲んでも意味が無い。つまり、これを自分で飲んで強制的に発情期にするつもりだったという事か。特定のアルファと番うために。
俺は一瞬、心に悲しみが浮かんだ。裏切られた様な気持ちだったからだ。もちろんサミュエルの事は最初から訝しんでいた。こんなに頭が良くて知識も豊富で、洗練された美しい男はこの場には不釣り合いだから。
でも話をする中で、サミュエルの愛らしさにすっかり心を奪われていた自分を今更ながらに自覚したのだ。それなのにこの仕打ちとは。
……まあでも、いいだろう。
何しろ俺は皇子だ、こんな事もある。
もしサミュエルが間者だったら?俺側に寝返らせばいい。もし美人局だったら?ベッドで主導権を譲らなければいい。この国の王家と繋がっていたとしても、情報を渡さなければ問題ない。
万が一にもただの俺の金狙い、地位狙いなら最高だ……俺の傍に置いておく口実になる。
そこまで考えて、俺は苦笑した。どっちにしろもう、俺はすっかりこのオメガの男に惚れていたのだ。騙されて利用されても、俺ならどうにでも出来る。だったら今据え膳を食らうのも悪くないだろう?
「この後どうなろうと別に構わない。それに俺は、お前に謀られるのも……悪くないと思ってるしな」
そう言うと、サミュエルが目を見開いた。そんな顔も可愛いと思ってしまうから、俺は多分もう重症だ。
惚れた方が負け、という言葉が世の中にはあるが、その通りだと思う。
俺は見せつけるかのようにその薬を口に含んで噛み砕き、サミュエルに口移しで飲ませた。
さあ、お前の痴態を見せてくれ。どんな目的でもいいから、俺を利用して番にしてくれよ。
そんな風に思いながら、俺はサミュエルを押し倒し……。
だから思ってもみなかったのだ。こんなに頭が良い男が、まさか俺を本当に知らなかったとは。知らないままに俺に惹かれて抱かれ、そもそもこの国の王子に捨てられたから、強行手段を使ってでも相手を探しに来ていただけだったとは……誰が思うかよ?
───────
「噂をすれば、サミュエル様ですね」
「また庭を耕す気か?まあいいけどな、でも肌が焼けるだろう」
臣下のザイードが、城の外を眺めながら言った。俺も窓の外を覗くと、確かにそこにはサミュエルがいた。また抜け出してきたのか、そこそこ軽装のまま庭の土を掘り返していた。きちんと肌は露出せずにいるが、それでも日傘を差してやらないと心配だ。俺はザイードの制止を無視して日傘を手に取り、庭の方に向かった。
サミュエルはあんなに綺麗な男のくせに、実家では畑作業を手伝っていたとか。しかも聞けばクローヴィア家は没落寸前の家系で、最早名前と歴史くらいしか価値がないとの事だ。俺の中で北の名家のイメージがガラガラと崩れたが、まあだからこそこんな他国にも快く嫁がせてくれたんだろう。
サミュエルの両親とも後に挨拶も兼ねて会ったが、二人とも俺とサミュエルの結婚を泣いて喜んでくれた。
「まさかうちの行き遅れ四男サミュエルが、第一皇子さまみたいな大物を引っ掛けてくるなんて!」
「本当に、ありがとう……根は真面目な子だ、よろしく頼む」
泣く両親の横で、サミュエルは笑っていた。確かにいい両親だが、それとこれとは別で俺は憤っている。
行き遅れオメガ行き遅れオメガと、なんなんだそれは?
確かにサミュエルが嫁ぐ前も、本人がずっと言っていた。
「私はもう二十五歳なので貰い手が無くて……」
「実家の手伝いをしていたせいもあって、背がわりと高くて筋肉質なんです。幻滅しませんか?」
どうやら北の国でのオメガに対しての価値観らしいが、南出身の俺からしたら馬鹿らしくて笑ってしまう。十八歳で結婚しなかったら行き遅れ?背が高くて筋肉があったらモテない?なんだそれは、数百年前の価値観か。
どうやら元々サミュエルが向こうの第三王子に婚約破棄されたのも、華奢で可愛い女の方が良かったんじゃないかという話だ。
全くもって、馬鹿らしい!
そんな阿呆な価値観のために、この知識があって美しい良家のオメガの男を手放すなんて、北は馬鹿としか言いようがない。ただ、そんな馬鹿だったからこそサミュエルが俺のものになったとも言えるので、そのあたりだけは感謝しよう。
しかしサミュエルが受けた屈辱は、夫である俺が晴らしたって良いだろう?サミュエル本人は向こうの王子に惚れてもおらず、どうでもいいみたいだが……だからと言って俺の溜飲が下がらない。
なに。どちらにしろ、北は国民から王家への支持率が下がっており、不安定な状態だった。しかも風の噂だが……第三王子はサミュエルみたいな出来た男じゃなく、平民育ちの女を選んだ事で、教育に苦労しているらしかった。
当たり前だ、サミュエルが十年以上努力して身に付けた経済や歴史の知識、語学力や作法、貴族や王族としての立ち振る舞いや考え方、何一つ分からない娘だ。それを一朝一夕で身に付けるなんて無理な話である。その事で結局国民からも徐々にサミュエル公子の方が良かったのでは、と不満が上がり始めているらしい。
だから俺はちょっとだけ報復した。うちの国から輸出しているものの値段を釣り上げたのだ。だからと言って法外な値段にもしていない。何しろうちから北には絨毯や布などの装飾品だけでなく、香辛料や塩、石油なんかも輸出しているのだ。生活必需品のそれらの値段が上がれば、国民に不満が募る。
しかし本当に賢ければ、それくらいはいくらでも自国内で賄うなり別ルートを確保するなりで凌げる筈だ。ただ無能な王や王子が何もしなければ、国民からの不信は膨れ上がる。そして平民育ちの小娘が無作法なまま王家に居座り、国民たちは我慢出来ずいずれは……。
まあ、数年後が楽しみだよな。じわじわと苦しめばいい。俺のサミュエルを軽視する国なんて、どうなろうと関係ないしな。クローヴィア家の人間だけはうちに移住させるか、あの領地をうちの管轄にしておこう。俺は一人ほくそ笑んだ。
「サミュエル」
「……あ、ハリム。どうしたんですか、執務中では?」
「部屋からお前が見えたからな。日焼け対策は念入りにしろ。サミュエルの肌は白くて、この国の日差しは強いから負けてしまう」
俺は持ってきた日傘をサミュエルの頭上に差してやった。サミュエルは立ち上がり、日傘を受け取るとにこり、とこちらに微笑みかけた。
可愛いな。そして首に伝う汗がエロい。
しかしうちの国の気候は、北出身のサミュエルにとってはやや暑くて辛いようだ。よく汗をかいている。可哀想なので部屋では大きな氷を用意して、従者に風で扇がせてはいるものの、サミュエルが暑さに倒れるような事はあってはならない。
俺は立ち上がったサミュエルの腰を抱き寄せて、袖で額の汗を拭ってやった。サミュエルは慌てて俺のその手を取って握った。
「そんな事しなくていいです、服が汚れてしまう」
「別にお前の汗なんて汚くないだろう」
サミュエルの細い顎を掴み顔を近付け、ぺろりとその頬を舐めた。途端に赤くなった頬が可愛い。色が白いから、赤くなるとすぐに分かる。
ああ、食っちまうか。
まだ昼間だが、別に良いだろう。臣下のザイードにはその分夜に仕事をすると伝えておけばいい。
俺はサミュエルの顎を掴んだまま、その唇に口付けた。避けようとするその顔を逃がさず、そのまま口付けを深める。舌でサミュエルの口内を舐り舌同士をからめれば、吐息と小さな喘ぎ声が漏れた。
俺はもう片方の手でサミュエルの腰を抱き、体を密着させた。うちの国の服は薄手だ。サミュエルの下半身に俺の下半身をぐっと推し当てれば、そこがどうなっているのか簡単に相手に伝わってしまう。
唇を離せば、先程よりも真っ赤に染まった顔で俺を睨む目がそこにはあった。
「まだ昼間なのに、こんな……」
「別にいいだろ、俺たちは夫婦なんだし」
「っ……」
下半身をぐい、と余計に押し付ければ、サミュエルから色っぽい吐息が漏れる。お前だってこれが好きなくせに、何を嫌がるんだ?そう言ってやりたいが、あまり怒らせたくもない。
俺たちは日傘の下で再び口付けを交わし、二人の寝室へと向かった。
結婚の披露宴は再来月を予定している。民にもサミュエルを初めて顔見せをするが、反発は起きないだろう。それが終わる頃、ちょうどサミュエルも発情期となる。二人で迎える三回目の発情期だが、漸く避妊をせず迎えられる手筈だ。
子供は欲しいし、皇族としては産む義務もある。ただ俺としては、子供が欲しくてサミュエルと番った訳でもない。元から俺には弟たちも居るし、サミュエルが最悪授からなくても問題は無い。
いずれ俺は玉座に座る日が来るだろう。暫くは忙しくなってしまうが、落ち着いたら引退し、サミュエルと共に田舎でゆったりと過ごしたいものだ。
要は……俺はサミュエルさえ傍に居れば、何でもいい。
寝室でサミュエルの上着を脱がせながら、俺は苦笑した。まさかのとんでもない出会いの末に、ここまで溺愛する番となるとは……。あの時の俺からは想像も出来なかっただろう。
「ハリム?」
「ん?いや、何でもない。ちょっと考え事だ……引退した後、サミュエルと過ごす日々の事を妄想していた」
「……随分気が早いですね」
サミュエルは微笑み、俺に口付けた。ああ……可愛いな。
俺はすっかり骨抜きになってしまった番に口付けを送りながら、これからの二人を思って微笑んだ。
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素敵なお話をありがとうございました。
サミュエルさんは綺麗可愛いし、ハリムさんは格好いいし✨
おバカさん殿下は後々来るざまぁで、自分のいたらなさを痛感するのでしょうね。
ハリムさんのささやかな?報復にクスッと笑いがw
でも、サミュエルさんの学びの年数を考えたらこれくらい、良いのかも。
他の作品もぜひ読んでみたいと思います。
こちらこそ読んでくださりありがとうございます!
微ざまあですが、北の国は色々閉鎖的なので自業自得ですね🤨笑
コメントありがとうございました🙌🥰
すっごく好きなストーリーでした!!!
努力家のサミュエルが可愛すぎて、ハリムと出会えて本当によかったぁぁ^^
ハリム側の視点も読めて最高です。
サクッと読めちゃうのにストーリーもしっかりあって、素敵なお話つくれる天才ですね👍👍
また他の作品も楽しみにしています
努力家ですが報われなかったサミュエルも、溺愛してくれる大物な相手とうっかり出会えて良かったですよね😊
受け視点と攻め視点両方書くのが好きなので、そう言っていただけて嬉しいです🥰🙌
短編や中編多めですが、また読んでいただけたら嬉しいです!コメントありがとうございました🙌
丁度いい虐げらさ(??)にざまぁ加減
何よりサミュエルの朗らかさやメンタルの強さがいい❤ハリムのカッコ良さも素晴らしい(*´ ω`*)💕
サミュエルの両親もいいね笑
兄弟もちょい見てみたかったかな
(´>∀<`)
世界観や色んな描写が目に浮かぶようで北と南の国の匂いまで感じられてすごく良かった⟡.*
これからずっと幸せなふたりが想像出来ました🎶
悲痛すぎるほど虐げられてざまあすると辛くなっちゃうので軽めにいつも書いちゃうので、そう言っていただけて嬉しいです😇🙌
サクッと書いたのですがもう少し掘り下げても楽しそうですよね✨
国の特色も拾っていただけて嬉しいです🥹
コメントありがとうございました!