アナスタシス・フルム

文字の大きさ
上 下
77 / 98
第5章 異常気象の正体

無意識

しおりを挟む
真っ暗で何も見えない。感じるのは生暖かい温度とブニュブニュとあたる触覚。奥に進むにつれ腐ったような焦げ臭いようなにおいがしてくる。このまま進んでいけばどうなるか検討はついていた。ただ、抵抗しなければいけないことはわかってはいるが、頭がボーっとして体も動かない


一つ頭のなかにあったのは、あの白い霧がどういう意図があったのかという今はどうでもいいことだった。ああ、俺このまま死ぬのか。何もかもがどうでもよくなってくる。それにしても、あいつに悪いことしたな。一人で勝手に突っ走って俺失敗しちゃったよ、かっこ悪いな


あいつにあとでどやされるな、いやそうなることもないのか俺死ぬんだから。それにしても、なんで一緒に冒険してきたんだっけ。いつも俺は一人でやってきていたはずなのに。いや、そんなことはないのか、あの時もそれにあの時だって、側には誰かいた。まあ、あれを機に段々とちょっかいをかける人もいなくなっていったけど数人やめない奴がいた。何かにつけてちょっかいをかけてきたからな


まあ、馬鹿にされるのは慣れていたけど、あいつはそんな感じじゃなかった。何なんだよそんなに気に食わないなら俺にちょっかいをかけなければいいじゃないか、と苛立った時もあった。最初あいつの意図がわからなかった。でも、段々となぜあいつがちょっかいをかけてくるのかわかってきた、勘でしかないが。なぜなら、あいつが俺にちょっかいをかけてくる時は決まって同じようなことでかけてきたから


俺みたいな馬鹿でもわかる。わかったところで苛立ちは消えず、余計に苛立った、だから拒絶し続けた。勝手に人のことを決めつけるな、と。そんなことをしなくても俺の夢は変わらない、他の奴らとお前と一緒にするな、最近までそう思っていた。そうフォルクさんに出逢うまでは。あの出来事で知らず知らずのうちに変わっていたこと、そして自分自身が夢のことを馬鹿にしていたと。


ただ、それを認めたくなかった。認めてしまえば他の奴らと一緒になってしまうから、直接約束したわけでもないがそれを破ってしまう気がしたから。だからあいつに追い抜かれた。ほんのわずかな差かもしれないが仲間だろうが何だろうが、俺はそれを許したくなかった、負けたくなかった


だからこそ、胸の内を吐き出せたのかもしれない、そんなくだらない意地で。ああ、ヤバいにおいがきつくなってきた、それにより頭がボーっとしてきた。幻聴も聞こえてくる。こんな時まであいつの声が聞こえてくるなんて、それに怖いことを言っている。もう無理だよ、頭も体も動かないのだから


「あんたが死んでも私は必ず攻略してやる‼」


「・・・“フレイムソード”‼」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~

ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆ ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様にて先行公開しております。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

悪役令嬢の無念はわたしが晴らします

カナリア55
ファンタジー
【完結】同棲中の彼の浮気現場を見てしまい、気が動転してアパートの階段から落ちた、こはる。目が覚めると、昔プレイした乙女ゲームの中で、しかも、王太子の婚約者、悪役令嬢のエリザベートになっていた。誰かに毒を盛られて一度心臓が止まった状態から生き返ったエリザベート。このままでは断罪され、破滅してしまう運命だ。『悪役にされて復讐する事も出来ずに死ぬのは悔しかったでしょう。わたしがあなたの無念を晴らすわ。絶対に幸せになってやる!』自分を裏切る事のない獣人の奴隷を買い、言いたい事は言い、王太子との婚約破棄を求め……破滅を回避する為の日々が始まる。  誤字脱字、気をつけているのですが、何度見直しても見落としがちです、申し訳ございません。12月11日から全体の見直し作業に入ります。大きな変更がある場合は近況ボードでお知らせします。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。 貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。 序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。 だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。 そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」 「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「すまないが、俺には勝てないぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!

可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん
ファンタジー
[お知らせ] 書籍化決定!! 皆様、応援ありがとうございます!!      2023年03月20日頃出荷予定です!! 詳しくは今後の刊行予定をご覧ください。  施設で暮らす中学1年生の長瀬蓮。毎日施設の人間にいいように使われる蓮は、今日もいつものように、施設の雑用を押し付けられ。ようやく自分の部屋へ戻った時には、夜22時を過ぎていた。  そして自分お部屋へ戻り、宿題をやる前に少し休みたいと、ベッドに倒れ込んだ瞬間それは起こった。  強い光が蓮を包み込み、あまりの強い光に目をつぶる蓮。ようやく光が止んできたのが分かりそっと目を開けると…。そこは今まで蓮が居た自分の部屋ではなく、木々が生い茂る場所で。しかも何か体に違和感をおぼえ。  これは蓮が神様の手違いにより異世界に飛ばされ、そこで沢山の友達(もふもふ)と出会い、幸せに暮らす物語。 HOTランキングに載せていただきました。皆様ありがとうございます!! お気に入り登録2500ありがとうございます!!

僕、聖騎士もハーレムも目指します

ナルミン
ファンタジー
魔導学園に入学した白月 仁(しろつき じん)はクラスの中で最強と異型(イレギュラー)と言う変わり者だった。だからなのか仁の周りには変わり者が集まる。仁はその変わり者と共に魔物や反勢力と戦う事になる。

処理中です...