ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

捉え方

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追悼が終わりサジュに呼ばれたアシオンを尻目に俺はそそくさとそこから離れた。俺はサジュとは反対側にいたため定かではないが、それの後を追うようにソエルが真顔で歩いて行った。それより里の方を眺めると焼け野原が広がっており、虚しさと無力さそして決断力の無さがこの惨状を招いていると思うと胸が締め付けられるような感覚に陥る

「ビスさんが気にすることではないのじゃ。儂たちの力不足が招いた結果なのじゃから。逆にビスさんたちが来てくれなければこれ以上の被害が出ていたに違いない。このルミラクムもセヘルスも無事では済まなかっただろうの」

「レスプケ様」

この数日レスプケは悲しむ暇もなさそうなほど追悼の準備や復興の仕切りで大変そうであった。しかしその疲れを見せず、声色もあった時そのままだ。若いエルフたちもそれに鼓舞されるかの様に動きまわっていた。レスプケがなるべく動かないように済むようにかもしれない。まあ、その甲斐虚しく人一倍レスプケは動き回っているような気がした。老体にはきついのではないかとサジュに聞いたら、“言っても聞きませんから”と一言返ってきただけだった。そう言われても気になってしまうものだ

「ほっほっほ。そんな暗い顔をするでない。それに儂たちの居住区は無事で生活には困ることは当分ないじゃろうて」

「それがせめてもの救いです。それよりレスプケ様、体調は変わりないですか?」

「何じゃ、若いエルフたちと同じようなことを聞くのじゃな。儂はまだまだ現役じゃ、若いもんには負けんぞ」

「・・・そうですね。そこいらの若者より元気そうだ」

「そんなことより、実はビスさんに渡したいものがあるのじゃ」

そういうとレスプケ様は、懐から何やら取り出した

「これは」

それに目をやるとどこかで見たことがある石で作られたネックレスだった

「セヘルスの欠片で作ったものじゃ。これをビスさんに持っていて欲しいのじゃ」

レスプケ様は有無を言わさず俺の首にそれをかけてきた

「そんなに怖い顔をしなさんな。まあ、これをどう捉えるかはビスさん次第じゃ。それともいらぬか?」

「・・・いえ、レスプケ様のご厚意有難く頂戴いたします」

俺は片膝をつきレスプケ様にお辞儀をした

「ふぉふぉふぉ。そんなに畏まらんでもよい。もっと軽く考えてはくれぬのか」

「そうできたら楽なのかもしれませんね」

俺は立ち上がりレスプケ様に告げた

「俺たちは明日旅立ちます」

「そうか、達者でな。出口までの案内はサジュに任せるでの。あとで話を通しておく」

「ありがとうございます」

「これで儂の用は終わりじゃ」

そう言うとレスプケ様はこの場を去っていった

「いやー、参ったぜ。サジュにこっぴどく説教されちまった。それにソエルまでサジュと一緒に俺のこと責めるんだぜ」

ひどく疲れた様子のアシオンが俺の元にやってきた。まあ、アシオンも悪いことだと分かっているからこそ2人の説教から逃げなかったのだろうけど

「明日出発するんだろ。話をしておかなくていいのか?」

「もうみんなに出発することは告げてある。来るか来ないかは置いといて」
「いや、そうじゃなくてだな・・・」

アシオンは頭を掻きむしりながら何かいいたそうにこちらを見ている

「はあ、もういい。勝手にしろ。後悔しても知らないからな。オレは作業に戻る」

アシオンが何を言いたいのかはなんとなくわかってはいた。ただそれをしてしまうと決意が揺らいでしまいそうで怖いのだ。俺は一人自室へと戻った
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