ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

苛立ち

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ラオダムの攻撃は徐々に威力が増していく。俺たちが一向に声を出さないことに腹を立てているのか、焦っているように感じる。それにしても、自分に攻撃されることよりも目の前の光景に声が出てしまいそうだ。リュミエがどんどんボロ雑巾のようになっていくのだ。内部は健康そのものなのに、一箇所だけ想像もつかない痛みが襲ってくる


「なぜ声を出さないのだ‼我慢をせず泣き叫びやがれ‼」


口調が崩れてきた。俺たちが苦痛の声を上げないものだから冷静さがかけてきたらしい。それでも、こちらも限界をとうに超えていた。受けたところから最新の注意を払いながら自分自身に魔法をかけている。リュミエも限界そうだった。根気比べといったところか。ラオダムが大技を繰り出す瞬間隙が必ず来るはずだ、その時こそ勝機。今こそ仕掛け時か


「お、まえが、いくら、攻撃して、きても無駄だ‼」

「何だと⁉“エクプロス”」

「っ・・・」


さっきより一段と強い攻撃に声がでそうになったが寸でのところで抑えることができた。極めつけに笑顔を向けてやる。それが気に食わないのか苦虫を噛んだような顔をしている


「ぐぬぬ。馬鹿にしおって・・・もうよい。そんなに殺されたいのなら殺してやる。リュミエからな」


「な!?」


「おやおや。動揺の声を出したな」


こちらの一挙手一投足見逃さないと言わんばかりに、俺に一瞬で近づき、顔を近づけてきた。ただ、最初はニヤニヤ顔で見てきていたが、段々と顔をしかめ始め、俺の紙を鷲掴みにする


「ぐあ」

「やつによく似ている、特にその目忌々しい。お前を先に殺してしまいたいが、お前が苦しむ様を報告してやりたいからな。後にしてやる、よく見ておけ‼」


言われなくても、見ておくさ。お前が隙を作るのを。ラオダムは俺の頭を投げるように放しリュミエに魔法を放つ準備をし始めた。ラオダムの掲げた両手の上には、小さい太陽のようなものが出来上がっていく。遠くにいるはずなのにここまで熱気が及ぶ。あれがリュミエに辺りでもしたら灰すら残らないような気がする。それに、俺のところまで、いやそれ以上の範囲まで被害が出るだろう。ラオダム自身にさえ。まあ、逃げる術又は防ぐ術を持ち合わせているのだろうが


「これで最後だ消し炭になれ‼“グマラン・・・」

「“カヴァ、グロムス”‼」

「“プティオ”‼」


黄色い光が空中から地面へと解き放たれた、その直後、視界がオレンジ色に染まった。それ以外何も見えない。そして、爆風に体が宙に浮かび後方へと飛ばされてしまった
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