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第三章 変化
最悪な朝
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翌朝、お腹に何か違和感を覚え、目を覚ました。
「ビスお兄ちゃん、起きて。」
そして、重さがなくなる。なんだか嫌な予感がする。
「ちょ、ちょっと待て、ベル。・・・ぐへっ。」
思った通りであった。ベルが俺の腹の上で飛び跳ねたのだ。
乗るだけならまだ大丈夫だったが、飛び跳ねられるとさすがに痛い。骨が折れるかと思った。
「ベル、起こしてくれてありがとう。でもさっきの起こし方はもうやめてくれないか?」
「えっ。嫌だった?お父さんがビスお兄ちゃんはこの起こし方が好きだって言ってたけど。ごめんね。」
あの夫婦は全く、質が悪い。一言言わないといけないだろう。
「早く行かないと飯が冷めちゃうな。ベル行くか。」
「うん。」
ベルを肩車して降りていく。一階に降りていく途中怒声が聞こえてくる。
「あなたにそんなこと言われる筋合いはありません‼」
「父親に向かってあなたとはなんだ‼」バチン。
鈍い音が聞こえてくる。そして足音が近づいてきた。
俺は急いでベルを肩車から抱っこに切り替える。
おそらく今からこっちに向かってくる相手の顔をベルに見せてはいけないそう思った。
そこには頬を腫らしたモルテが一直線に上に向かっていく。声をかけづらいが一応挨拶をしておく。
「おはよう。モルテ。」
「・・・おはようございます。」
てっきり返事は返ってこないものだと思ったが、普通に返ってきた。
いや、普通ではないか。立ち止まらずにすれ違い様に返してきたのだから。
ベルが少し震えているようだった。
「モルテお兄ちゃん、たまに怖いの。」
「大丈夫。大丈夫だからな。」
ベルの背中を叩きながら階段を降り、
身を乗り出すとそこには頭を抱えているハウとテーブルにかけているリベの姿があった。
「あんた何やったの?」
「いや、俺は別に・・・」
これはまずい。止めなくては。文句を言っている暇はない。
「んん。ああ。おはよう。ハウ、リベ。ご飯はもうできてる?俺お腹すいちゃった。」
ベルに気付かれないようにジェスチャーで二人に訴えかける。
「あ、ああ、できてるわよ。今持ってくるわね。」
リベは気付いてくれたみたいだ。ハウはというとまだ頭を抱えていた。さてどうしたものか。
「ベルちょっと運ぶの手伝ってくれる?」
リベが手助けしてくれる。
「ほら、ベル、お母さんが呼んでるよ。行っといで。」
「・・・うん。」
俺はベルの足を地面につけると、駆け足でベルはリベの方に向かった。
俺は二人に聞こえないようにハウに声を掛けた。
「ハウさん、何やったんですか?」
ハウは顔をあげ、ゆっくりと話し出した。
「いや、俺は別にただ仕事の他愛もないことを聞いただけだ。
それであいつ何も言わないから、つい強く問い詰めちゃってな。
それでも言わないから”家族に隠し事か”っていったらあれだよ。
・・・聞いてたんだろ。」
「ええ。まあ。」
なんでモルテがあんなにハウを毛嫌いするか、なんとなくわかったような気がする。
「はあ、気持ちはわかりますが、ベルもいます。今はいつも通りに戻ってください。」
「あ、ああ、わかったよ。はあ、ビス、お前に諭されるようになるなんてな。俺もダメだな。」
また落ち込んじゃったよ。もうどうすればいいんだと頭を悩ませていると
ベルがちょこちょこハウに向かっていく。
「お父さん、はいこれ。どうぞ。」
ベルがハウに話しかけるといつもの調子に戻っていた。ハウはベルの頭を撫でている。
「おっ、ありがとうな。お母さんのお手伝いか。ベルはえらいなぁ。」
「えへへっ。」
ベルがハウに褒められて嬉しそうにしている。はあ、よかった。
リベの方を見ると、ドヤ顔をしていた。私を褒めろ、感謝しろと言わんばかりに。
なんだか悔しいがナイスタイミングだった。言葉にはできないので、ペコっと会釈をする。
すると、リベは勝ち誇った顔を止め、手を合わせ会釈、そして最後にウィンクしてきた。
忙しい人だ。まあ多分だけど”ごめんね。ありがとう。”ってことなんだと思う。
そう思うことにした。ウィンクが大量に飛んでくるは気にしない。
「ビスお兄ちゃん、起きて。」
そして、重さがなくなる。なんだか嫌な予感がする。
「ちょ、ちょっと待て、ベル。・・・ぐへっ。」
思った通りであった。ベルが俺の腹の上で飛び跳ねたのだ。
乗るだけならまだ大丈夫だったが、飛び跳ねられるとさすがに痛い。骨が折れるかと思った。
「ベル、起こしてくれてありがとう。でもさっきの起こし方はもうやめてくれないか?」
「えっ。嫌だった?お父さんがビスお兄ちゃんはこの起こし方が好きだって言ってたけど。ごめんね。」
あの夫婦は全く、質が悪い。一言言わないといけないだろう。
「早く行かないと飯が冷めちゃうな。ベル行くか。」
「うん。」
ベルを肩車して降りていく。一階に降りていく途中怒声が聞こえてくる。
「あなたにそんなこと言われる筋合いはありません‼」
「父親に向かってあなたとはなんだ‼」バチン。
鈍い音が聞こえてくる。そして足音が近づいてきた。
俺は急いでベルを肩車から抱っこに切り替える。
おそらく今からこっちに向かってくる相手の顔をベルに見せてはいけないそう思った。
そこには頬を腫らしたモルテが一直線に上に向かっていく。声をかけづらいが一応挨拶をしておく。
「おはよう。モルテ。」
「・・・おはようございます。」
てっきり返事は返ってこないものだと思ったが、普通に返ってきた。
いや、普通ではないか。立ち止まらずにすれ違い様に返してきたのだから。
ベルが少し震えているようだった。
「モルテお兄ちゃん、たまに怖いの。」
「大丈夫。大丈夫だからな。」
ベルの背中を叩きながら階段を降り、
身を乗り出すとそこには頭を抱えているハウとテーブルにかけているリベの姿があった。
「あんた何やったの?」
「いや、俺は別に・・・」
これはまずい。止めなくては。文句を言っている暇はない。
「んん。ああ。おはよう。ハウ、リベ。ご飯はもうできてる?俺お腹すいちゃった。」
ベルに気付かれないようにジェスチャーで二人に訴えかける。
「あ、ああ、できてるわよ。今持ってくるわね。」
リベは気付いてくれたみたいだ。ハウはというとまだ頭を抱えていた。さてどうしたものか。
「ベルちょっと運ぶの手伝ってくれる?」
リベが手助けしてくれる。
「ほら、ベル、お母さんが呼んでるよ。行っといで。」
「・・・うん。」
俺はベルの足を地面につけると、駆け足でベルはリベの方に向かった。
俺は二人に聞こえないようにハウに声を掛けた。
「ハウさん、何やったんですか?」
ハウは顔をあげ、ゆっくりと話し出した。
「いや、俺は別にただ仕事の他愛もないことを聞いただけだ。
それであいつ何も言わないから、つい強く問い詰めちゃってな。
それでも言わないから”家族に隠し事か”っていったらあれだよ。
・・・聞いてたんだろ。」
「ええ。まあ。」
なんでモルテがあんなにハウを毛嫌いするか、なんとなくわかったような気がする。
「はあ、気持ちはわかりますが、ベルもいます。今はいつも通りに戻ってください。」
「あ、ああ、わかったよ。はあ、ビス、お前に諭されるようになるなんてな。俺もダメだな。」
また落ち込んじゃったよ。もうどうすればいいんだと頭を悩ませていると
ベルがちょこちょこハウに向かっていく。
「お父さん、はいこれ。どうぞ。」
ベルがハウに話しかけるといつもの調子に戻っていた。ハウはベルの頭を撫でている。
「おっ、ありがとうな。お母さんのお手伝いか。ベルはえらいなぁ。」
「えへへっ。」
ベルがハウに褒められて嬉しそうにしている。はあ、よかった。
リベの方を見ると、ドヤ顔をしていた。私を褒めろ、感謝しろと言わんばかりに。
なんだか悔しいがナイスタイミングだった。言葉にはできないので、ペコっと会釈をする。
すると、リベは勝ち誇った顔を止め、手を合わせ会釈、そして最後にウィンクしてきた。
忙しい人だ。まあ多分だけど”ごめんね。ありがとう。”ってことなんだと思う。
そう思うことにした。ウィンクが大量に飛んでくるは気にしない。
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