上 下
3 / 3

バイブ

しおりを挟む
力を失った肉棒がずるりと抜け落ちた。その後を追いかけるように白濁した液体が蜜口から溢れ出す。

「あっ、ごめん」

男の口から下着を引き抜いた。唾液を吸ってどろどろになっており、とても履いて帰れる物ではない。

「す、すみません…、俺、我慢出来なくてっ、中に―」
「いいよ、薬飲んでるから大丈夫。君は?」
「あっ、はい…大丈夫です」

何故か尻すぼまりに答える男。もじもじと手をこすりあわせている。

「どうしたの?」
「えっと…、ど、どうでしたか…?」

恥ずかしそうに問われ、 逡巡した。正直に言って、最高でした。バイブなんて糞です。と言うのはあまりにも色気が無さすぎるだろうか。

「…とっても良かったよ」

男が嬉しそうに笑う。

「あの、良かったら…なんですけど」
「なあに?」
「名前、教えて貰えませんか?」

ぽりぽりと頬を掻き、口を開いた。

「そっか、ごめんね。名乗りもせずに。私は彩乃。君は?」
「彩乃さん…。俺、恭也です。桐谷恭也」
「恭也くん、ね」

差し出された手を握ると、そのまま引っ張られて胸の中に抱き込まれてしまった。規則的な心音に心が安らぐ。

「あの、彩乃さん。また俺と会ってくれますか?」

眉を八の字に下げた顔がこちらを向く。先程までの姿が嘘のような、小動物然とした仕草だ。

「私、あんな卑怯な事したし、バイブ作りしちゃう変なやつだけど…。いいの?」
「問題ないです。こんなにえろくて、相性よくて、可愛いなら、そんな事気になりません」

恭也は照れ臭そうに笑うと、抱き締める腕に力を込めた。自分自身が変なやつだという自覚はあるが、この男も同じくらいにやばそうだ。

「…ありがと」

頬が染まるのを隠すように胸板に顔を埋めた。優しい手付きで頭が撫でられる。

「俺、バイブよりも好きになってもらえるように頑張りますね」
「う、うん…」

今日、家に帰ったら真っ先にやることが決まった。

一生懸命作ったバイブだけど、思いきって捨ててしまおう。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

さして仲良くない職場の先輩と飲み会の後に毎回セックスして繰り返し記憶をなくしている百合

風見 源一郎
恋愛
真雪が目を覚ますと、セックスをした後だった。隣には、すごくエッチな体をした女の人がいた。前日には会社の飲み会があったことだけを覚えている。 酔った勢いで、さして仲良くもない会社の先輩を相手に処女を散らしてしまった真雪は、しかし、見知らぬはずの部屋に、見知ったものばかりが置かれていることに気がついたのだった。

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

姉弟遊戯

笹椰かな
恋愛
※男性向け作品です。女性が読むと気分が悪くなる可能性があります。 良(りょう)は、同居している三歳年上の義姉・茉莉(まつり)に恋をしていた。美しく優しい茉莉は手の届かない相手。片想いで終わる恋かと思われたが、幸運にもその恋は成就したのだった。 ◆巨乳で美人な大学生の義姉と、その義弟のシリーズです。 ※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様 ※使用画像/アンティーク パブリックドメイン 画像素材様

大学のトイレで強姦魔に調教されたその時人が…

sleepingangel02
恋愛
大学のトイレでレイプされる。その相手とは……

ミユはお兄ちゃん専用のオナホール

屑星とあ
恋愛
高校2年生のミユは、母親が再婚した父親の息子で、義理の兄であるアツシに恋心を抱いている。 ある日、眠れないと言ったミユに睡眠薬をくれたアツシ。だが、その夜…。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...